第059話 今後
着替えを取りに2階の自室に入った時にチラッとベッドを見る。
うーん、変態っぽいからやめておこう。
俺のベッドなんだけどね……
そのまま着替えを持って、風呂場に行き、お風呂に入った。
湯に浸かると、数日の疲れが一気に取れるような気分になる。
「やっぱ風呂に入らないとなー……」
とはいえ、風呂はさすがに向こうでは厳しいだろう。
水が多い国、それこそ母親が巫女をしていた水の国である東のイースなんかは風呂があるらしい。
だが、イースはロスト以上に行きたくない国だ。
俺はまったく関係ないし、伝説(笑)の巫女の息子とは思われないだろうが、近づきたくはない。
「……24時間という充電時間が問題なんだよなー」
正直、好きに転移できたら色々な問題が解決する。
「まあ、しゃーない」
フィリアが待っていると思い、風呂から上がると、服を着て、リビングに戻った。
「上がったぞー」
ソファーに座っているフィリアに声をかける。
「はーい。私も入ってこようかな」
「そうしろー。ゆっくりでいいからなー」
「うん。じゃあ行ってくるー」
フィリアがお風呂に向かったのでソファーに座って、一息ついた。
しばらく待っていると、修道服からこっちの世界の服に着替えたフィリアが戻ってくる。
「お待たせー。時間がかかっちゃった」
まあ、結構、待った。
でも、女は時間がかかるからなー。
「大丈夫だよ。飲もう」
ソファーから立ち上がり、フィリアとキッチンに行く。
そして、コップに氷を入れて、好きな飲み物を一緒に持って、ソファーまで戻った。
ソファーに並んで座った俺達は乾杯をすると、時刻はまだ9時にもなっていないのに酒を飲みだす。
「あー、生き返るー」
「ホント、美味しいねー」
ギルドでヘイゼルと飲んでいるあっちの世界のお酒も十分に美味しいけど、やっぱこっちの世界の方が美味く感じる。
「あー、それでさっきの電話な」
「電話ね。本当にその転移ができる機械で遠くの人と話せるんだね」
そういえば、前にちょろっと説明したかもしれん。
「そうそう。まあ、そもそも異世界に飛べるんだけども」
「それが一番の不思議だよねー。それで? どうしたの?」
「実は俺がこの世界とあっちの世界を行き来できるってなった時に最初に思いついたのがこっちの世界の物を向こうで売って、向こうの世界の物をこっちで売るという貿易的な金儲けなんだ」
ヘイゼルに怒られそうだが、これが俺の錬金術。
「良いと思う。実際、砂糖とか売ってるしね。それで向こうの世界のものって? 売れるものがあるの? 魔法?」
「魔法は無理だ。こっちの世界の商品を向こうの世界で売る比じゃないくらいに騒がれる。売るのは金貨だ」
「金貨? お金を売るの?」
「あっちの世界の鉱石事情は知らないが、こっちの世界では金が限られていて、めっちゃ高い。それで金貨を鑑定に出したんだが、金貨10枚を100万円。つまり、あっちの世界でいう金貨100枚で買うそうだ」
別の所で売れば、本当はもっと高く売れそうだが、さすがに足が付きそうだ。
闇に流すのが一番である。
あそこはそういう質屋なのだ。
「金貨10枚が100枚になるってすごくない!? その100万円で物を買って、あっちで売って、金貨を仕入れ、その金貨を売る! このサイクルで永久に金儲け!!」
テンション高っ!
「まあ、そうなるね」
「私が持っている金貨80枚が800万円に……」
そういやフィリアって、かなりの金を持ってたな。
「売りたければ、売りにいってもいいぞ。近所だし」
「ちょっと考えてみる……」
フィリアが真剣に悩みだした。
「ゆっくりでいいぞ。そんな高い物を買ってもって感じだし」
「まあ、そうだよね。そういえば、今回の帰省はどうするの? 何か買いに行く?」
帰省……まあ、合ってるけど。
「クーラーボックスをもう1個買うくらいかなー。逆に何か買うか? 食べ物は買うんだろうけど」
「そうだねー……一応、色々と考えがあるんだけど、ヘイゼルさんにこっちの世界を説明してからかなー」
フィリアには何かの計画があるらしい。
「次の帰省であいつを誘拐する予定だけど、何?」
「誘拐……ああ、そういえば、私も誘拐されたね……いや、たいした考えじゃないよ。氷を売る用以外のクーラーボックスに氷とお酒を入れて、ヘイゼルさんの家に置かせてもらえれば、冷えたこっちのお酒が飲めるなって思っただけ。お酒に限らず食品とかもいける」
なるほど。
数日なら余裕で氷も持つだろうし、冷蔵庫代わりになるのか。
「それはいいかも。ヘイゼルが勝手に飲むだろうけど、あいつは酒があまり強くないから量は飲まないし」
ヘイゼルは酒が好きでよく一緒に飲んでいるが、いつもちびちびと飲んでいる。
まあ、飲みすぎて泥酔状態になり、例のポーション100個納品事件を引き起こしたのだから自重もしているとは思う。
「あー、ヘイゼルさんって、確かにいつも飲んでるイメージだけど、おかわりをしているイメージはないね」
「というか、俺もそんなに飲まないぞ。お前が飲みすぎなの」
「隣にいる人が楽しくてお酒が進むんだよ」
フィリアの良い女攻撃!
きゅうしょにあたった!
「……お前、たまにズルいよな」
「詐欺師さんほどじゃないよ」
うーん、女って怖いね。
「ヘイゼルはあんなに純粋なのに」
「純粋……? まあ、純粋かな……それにしても、あの人をここに呼ぶのかー……うーん」
フィリアが悩み始めた。
「どうした? 嫌? 別に次じゃなくてもいいけど」
「いや、そういうわけじゃない。色々と準備とかしないとなーって」
「準備?」
「うん。私がそうであったように色々な物を欲しがると思う」
あー……食料品はもちろんのこと、服やシャンプーとかかなー。
化粧品にアクセサリーとかも欲しがるかもしれん。
あいつ、貴族だし。
「まーた、下着コーナーに行くのは嫌だなー」
フィリアに任せたいが、通訳がいる。
「まあ、そこはしょうがないよ。逆にサイズを知れると思って役得と思えばー?」
あ、こいつがDって知った時にちょっと興奮してたことがバレてそう……
でも、ヘイゼルさんのサイズはちょっと気になる。
「尊敬……はあんまできないけど、師匠に悪いよ。まあ、あいつが欲しがれば付き合うわ」
「ヘイゼルさん、いつも黒ローブに三角帽子だけど、靴やアクセサリーやらは目立たない小物を毎回変えてるくらいにはオシャレだよ?」
やっべ……
まったく気付かなかったわ。
人を観察するのが仕事のようなものなのに。
まあ、あそこばっか見てるからだけど……
ごめんね、師匠。
でも、仕方がないから許して。
お前が悪いんだ。
「お前、そのネックレス似合ってるな」
「ありがと。本当に嬉しいよ。ヘイゼルさんにも言ってあげて」
「あいつは水晶玉あげたら喜んでたから大丈夫」
あれからあいつに水晶玉を持たせて占っているが、水晶玉を持っている時、すげー笑顔だもん。
「水晶玉……その話を詳しく聞きましょう!」
目がね……また金貨だよ。
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