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スマホ転移で始める異世界ゆるゆる生活 ~日本の商品が高値で売れたのでスローライフを目指すことにしました~  作者: 出雲大吉
第1章

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第038話 所詮は金よ


「申し訳ない。根は良い子なんですが、少々、おてんばでして……」


 フィリアが退室すると、神父様が頭を下げてくる。


「いえ、元気で良い子じゃないですか。すばらしい子ですよ」


 本当に。

 可愛いし。


「そう言ってもらえると……あの子をよろしくお願いいたします」

「もちろんです」

「感謝します……では、見てみましょう」


 神父様は俺のことをじーっと見始める。


「………………」

「………………」


 ……まだ?


「……ふぅ」


 長い沈黙のあと、神父様が息を吐いた。

 そして、右手で目を揉むと、そのままこめかみを押さえる。


「失礼ですが、あなたは本当に異世界人でしょうか?」


 この反応でもうわかった。


「ギフトがありませんでしたか?」

「はい……」

「そんな気はしていました。異世界人はギフトをもらった時にその力がどんなものかわかると友人から聞いていました。ですが、私にはその覚えがない。つまりギフトをもらえなかったということです」


 まあ、ある程度、予想はしていた。


「この世界にはたまに異世界人が現れます。昔は迷い人と呼んでいました。何かの事故でこちらの世界にやってくる右も左もわからない人間を助けるために女神様が力を授けるのです。それがギフトです」

「まあ、何らかの原因でもらえなかったのでしょうね」

「その可能性もあります」


 もしくは、俺がただのとち狂った現地人という可能性もある。

 さすがにこれは考えなくていいが。


「わかりました。まあ、いいでしょう。幸い、加護は頂いており、会話も文字も問題ありません」

「お力になれず……料金はお返ししましょう」


 神父様は引き出しを開け、先ほどの金貨が入った袋を取り出す。


「いや、それは結構。何もないということがわかっただけで十分です」

「そういうわけには……」

「では、寄付ということで納得してください。孤児院もあるでしょう」


 こういうのは大事。


「わかりました。ご厚意に感謝します」


 神父様は再び、引き出しに金貨が入った袋をしまった。


「もう一つ、用件をよろしいですか?」

「何でしょう?」

「フィリアのことです」

「フィリア? ああ、なるほど……私が言うのも何ですが、あの子は器量も良く、しっかりしています。きっと支えてくれるでしょう」


 いや、お孫さんをください、じゃねーんだけど……


「違います」

「……町中を腕を組んで歩いてたとか、宿屋で1日籠りっきりと聞いているが?」


 あ、じいさんから変なオーラが!

 歴戦の猛者のオーラが見える。

 多分、霊媒師じゃなくても見えるやつ。

 多分、占い師じゃなくてもぶった切られる未来が見えるやつ。


「……その話はまた後日です」

「さようですか……早とちりしましたなー」


 じいさんは先ほどの優しそうな神父様に戻ってくれた。


「私にはもったいない子ですよ」


 ホント、ホント。


「お似合いですよ……して、フィリアが何か?」

「神父様、腹を割って話しませんか?」

「いいでしょう。もはや我らは身内」


 いや、ちょっと待って。

 ホント、待ってよ。

 マジで娶るの?


「いや、そのー……」


 何と言いましょうか。


「その話は後日でしたね……して? 腹を割るとは? フィリアが何か?」


 神父様が改めて聞いてくる。


「神父様、フィリアの蛇が見えているでしょう?」

「ほう……!」


 神父様が目を細め、笑う。


「私は詐欺師かもしれませんが、本物の占い師であり、霊媒師です」

「失礼、霊媒師とは?」

「精霊を見ることができるという認識で構いません」

「なるほど……」


 神父様がひげを触りながら天井を見る。

 すると、急に目がつり上がった。


「ハハッ! 本物か! 確かに本物だ!」


 神父様が豪快に笑った。

 雰囲気もさっきまでの優しそうな雰囲気から豪快な男になっている。


「左様です。もしよろしければ占いますよ?」

「初回は金貨1枚だったか? オリバーが次の10枚が高いって文句を言ってたぞ」


 しゃべり方も変わっている。

 こちらが素だろう。

 さっきちょっと出てたし。


「物の価値がわからない奴は商人失格って言っておいてください」

「確かにそうだ! よし! 腹を割ろうではないか! 貴様にギフトはない。これは本当だ。だが、その力はギフトを超えるものだ」

「さっきはそれを見てたんですね?」

「わかるか?」


 そりゃね。

 見る時間が長すぎだもん。

 ギフトがないならないってさっさと言えばいい。


「詐欺師は人を見ることから始めます。あなたが本当は腰を痛めていないのもわかります」

「観察力か……それに未来視と精霊を見れる……女神様が貴様にギフトを授けなかったのもそれではないか? お前は持ちすぎだ」


 お前にはギフトいらねーだろって女神様が思ったのかね?

 もしくはスマホのアプリがギフトなのかもしれない。


「かもしれませんね」


 右も左もわからない人間を助けるためにギフトを授ける。

 俺はアプリも含め、そうじゃない。


「正直に言う。これは上に報告せんといけない案件だ」

「どこがでしょう?」

「未来視や精霊を見ることができるのは巫女候補筆頭だ。まあ、貴様は男だが……」


 ヘイゼルも言ってたな。

 巫女って、女限定なのかね?


「黙ってもらえると……」

「そうする。孫が悲しむ顔を見たくないしな」


 あー……外堀がー。


「感謝します」

「まあ、貴様はその前に逃げそうだがな……未来視を持ってる奴はこれだから……」


 よくご存じで。

 他にもいたの?


「以前にも耳にしましたが、未来視とは?」

「そのままだ。未来を見る力だな。巫女様しか持っていないと言われている」


 今度から占いをする時はもっとぼやかそう。

 トラブル臭がすごい。


「私は未来視など持っていませんね」

「うむ! きっとそうだろう! 私の鑑定でも貴様は持ってなかったと思う!」


 おじいちゃん……

 金貨20枚を寄付しておいて良かった。


お読み頂き、ありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
この爺様やり手だなぁ
ユダヤの格言で 「金貨がチャリンと鳴ると悪口が止む」 なんてのがありまして。 言い換えると「カネにものを言わせる」ですな。口くらいは噤むでしょうよ。
このジジイであの孫ありだろ
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