第014話 モンスター!
翌朝、早めに起きた俺はサラに飴をあげ、朝食を食べる。
そして、大森林とやらがある西の門に向かった。
西の門では2人の兵士が門番をしているのが見えたので暇そうな門番から情報収集をしようと思い、近づく。
「ご苦労さん」
兵士の一人に声をかけた。
「ん? ああ、冒険者か?」
「そうそう。ちょっと聞きたいんだが、大森林とやらはあれか?」
門の外から遠くに見える森を指差す。
「そうだよ。お前、見覚えがないが、よそから来たのか?」
「ああ、この前来たばかりだ。それでちょっと教えてほしくてな」
「まあいいぜ。本当なら金を取ってもいいんだが、めっちゃ暇なんだよ」
まあ、暇そうにしてたから声をかけたんだがね。
「大森林のモンスターって、どんな感じ?」
「わかりやすいぞ。奥に行けば行くほど、出てくる魔物が強い。浅いところではゴブリン程度だ。運が悪ければ、ウルフに遭遇かもな」
確かにわかりやすい。
ウルフか……狼だな。
ハンドガンで当てられる自信はない。
「ここは自由に通っていいのか?」
「そりゃそうだろ。戦時中でもなければ魔物もいない」
その辺は適当なんだな。
スパイが入り放題じゃん。
「夜も?」
「あー、夕方には閉める。夜に来ても開けてやらんでもないが、金を取るぞ。結構、面倒なんだよ」
兵士はそう言って門を見上げる。
門は大きく、簡単に開け閉めができるようには見えない。
「なるほどね。早めに帰るか」
「そうしろ。いくら町の近くとはいえ、野宿はおすすめしない」
俺も野宿は嫌だな。
「わかった。良い情報に感謝する。では、礼をしようかな」
「あん? 金か?」
「悪いが、金は持っていない。お前、右肩が重くないか?」
この兵士の右肩にはカエルの霊がふてぶてしく乗っている。
「え? わかるのか? もしかして、医者? 実は1週間前から肩が重いんだよー。痛めたかな?」
兵士の右肩に手を伸ばし、デコピンでカエルを弾く。
すると、カエルはすぐにぴょーんと跳ねて、地面に落ちると、そのままどこかに行ってしまった。
「まだ重いか?」
「ん? あれ? 軽くなったぞ!」
兵士は右肩をグルグルと回す。
「これは礼だ。では、行ってくる」
「おー、マジかー! すげー! ありがとよ! 気を付けてなー!」
兵士に手を挙げ、大森林に向けて歩いく。
「こっちに来て、初めて除霊の仕事をしたな……」
相手はカエル君だったけどさ。
そのまま歩いていくと、すぐに大森林とやらに到着した。
目の前には見渡す限りの木々が見え、右を向いても、左を向いても木が並んでいる。
「確かに大森林だわー。絶対に日本にはない風景だわー」
すごいわ。
「さて、黄金草はどこかなー?」
今回、ちゃんと道具を持ってきている。
それはダウジングに使うL字の棒だ。
ダウジング棒を両手に持ち、不思議パワーを込める。
すると、ダウジングの棒が斜め左を向いた。
「あっちか……」
大森林に入り、棒が指示した方向に歩いていく。
そのまま木をかわしたりしながら進んでいくと、ダウジング棒が左右に大きく開いたので足元を見る。
すると、そこには依頼票に描かれていた草が生えていた。
「めっちゃ簡単に見つかったな……さすがは俺の不思議パワー」
腰を下ろすと、フィリアに教えてもらった通り、ちゃんと根ごと採取し、持ってきた袋に入れる。
「これで1万円。しかし、スコップが欲しいな……まあいいか。次に行ってみよう」
再度、不思議パワーを使い、ダウジングを再開する。
すると、またもやすぐに黄金草を見つけた。
「フィリアは浅いところでは滅多に見つからないって言ってたけど、結構あるじゃん」
そのまま採取を続け、1時間くらいで8つの黄金草を採取した。
「時給8万円! すげー! 草の分際ですげー!」
今日から俺は霊媒師ではなく、黄金草ハンターだ!
除霊ではなく、除草で生きよう!
ルンルン気分でテンションを上げていると、脳に危険信号が走った。
「来たか……」
予想はしていたし、大森林に入ると決めていた時から覚悟はできていた。
「よし」
外套に隠していた銃を取り出すと、セーフティーロックを解除し、構える。
すると、木の間から子供サイズの醜悪なバケモノが姿を現した。
ゴブリンである。
ゴブリンは何も持っていないが、長い爪と鋭い牙が見えている。
「雑魚、らしいが……」
俺とゴブリンの距離は10メートル弱であり、ここからでは銃を撃っても当たらない。
俺の腕ではその半分以下の距離まで近づかないといけないだろう。
ゴブリンは俺を確認すると、ゆっくりとこちらに向かって歩いてくる。
1歩、2歩と歩くと、ゴブリンが急に駆け出してきた。
少しびっくりしたが、冷静に狙いを定める。
まだだ!
まだだ!!
焦る気持ちを押し殺し、十分に引き付ける。
そして、俺とゴブリンの距離が5メートルを切ったところで引き金を引いた。
大きな破裂音と共に大きな反動が俺の腕を襲う。
しかし、気にせずにもう一度、引き金を引いた。
銃から放たれた弾は2発ともゴブリンの肩に命中する。
ゴブリンは驚いたように怯むが、足は止まっていなかった。
俺とゴブリンの距離が肉薄しそうになる。
剣を抜け!
とっさに腰の剣を抜くと、前方に突き出した。
俺の目には剣に吸い込まれるゴブリンが映っている。
ゴブリンは苦しそうに暴れるが、徐々に力が弱くなり、そのままガクッと項垂れた。
すると、俺の脳内の危険信号が消えたので剣から手を離し、その場でへたり込んだ。
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