↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
遊頁譚  作者: 劉白雨


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
100/118

第玖拾捌話 「どうしようもない願い」


 あなたと出かけるのが好きだ。

 朝、あなたがポンポンと私を叩いて起こしてくれて、隅々までおかしな所がないか確認してくれるのも好き。身嗜みを整えてくれたり、ご飯を食べさせてくれたり、身体を綺麗にしてくれたりするのも好き。

 あなたが私を連れてどこかに出掛けるのは、もっと好き。


 私は自分じゃ何も出来ないから、あなたの言うとおりにしなきゃいけないけど、別にそれを苦痛に感じたことは一度も無い。

 だって、私はあなたのすべてが好きだから。いつも優しくしてくれるし、私に気を遣ってくれる。この前買ってくれた香水は、今でも毎日使っているし、私のために買ってくれたアクセサリーも、ずっと着けてる。


 もう、何年になるかな。あなたと出会ってから、二人で色んな所に行ったよね。

 海辺の街、山間の村、雪国から、常夏の島まで、全国津々浦々、二人で行ったよね。

 私の中には、その思い出がいっぱい詰まっていて、二人で見た景色は、今でも忘れてない。すべての思い出が私にとって宝石なの。


 でも、もうすぐ、私は逝かなくちゃいけない。

 運命かな、こんな身体だから、文句も言えないけど、寿命だと思って諦めてる。

 ただ、最後まであなたと一緒にいられれば、それだけで幸せ。だから、後悔はないし、心残りもない。


 一つだけ心配なのは、遺していくあなたの健康だけ。

 あなたは、最近溜息が増えた。

 私には見せないけど、ふとした折に、溜息を吐いているのを、私は知っている。

 日々の仕事で疲れているのかな、それとも会社で上手く行かないことがあるのかな、人間関係に悩んでたりするのかな、それとも、私との関係に嫌気が差したのかな。


 色んなことを考えちゃうけど、あなたは何も教えてくれない。いつも一人で抱え込んでしまうのよね。

 それが凄く寂しいんだけど、それがあなたの優しさであり、私があなたを大好きな点でもあるんだよね。


 でも、こんなことになるなら、もっと早く相談して欲しかった。

 あなたは、私の運転席で突然突っ伏した。

 私は、なすすべもなく、信号待ちをしている車列に突っ込むしかなかったの。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。