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嫌いだ  作者: 飛び出目猫
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20/24

二十



『――――別れよう。』



 手紙に書かれたその文言を見たとき、僕の頭は著しく回転した。



 窓際でなぜか肩を揺らしているK岡の姿が見える。



 何泣いてんだよ。クソ野郎。



 この手紙が置かれたタイミングは、僕が他クラスに行っている間だった。僕が他クラスに行くことなんて珍しいことではない。普段からクラスを転々としているからこそ、今こうして観衆を集めることが出来たのだ。



 じゃあどうして、このタイミングで置いたのか。



 僕がいろんな人に『今日の昼休みにK岡を振る』という事を話しているのを聞いたのかもしれない。でも、このクラスでは一切口に出していない。



 つまりは、他クラスでそのことを聞いた人が、K岡に共有したということに他ならない。



 だからと言って、普通ならば傷つきはしても、僕が振るより先に振るなんて行為には至らないだろう。それも、手紙で。



 結論―――K岡は恥をかきたくなかったのだ。



 僕に振られるのも僕を口頭で振るのも、嫌だったから手紙で書くだけにした。



 せめて口頭だったなら、僕も反論できたのに。反論させないように自分からとりあえず振るだけ振って、逃げた。



 そこまで思考が加速して、僕の怒りは頂点に達した。



「おい、K岡!お前――――」



 と、K岡の座る席に向かって行った時、僕とK岡の間に壁が出来た。



 それはあの、彫りの深い顔をしたモアイの委員長―――Y下によるものだった。



「なんだよ、どけよ。」



 Y下は両手を大きく広げて、どかなかった。



「―――あなたは、女心が分かってない。」



 澄ました顔で、Y下は言った。



「部外者は口を挟むなよ。」



 言いたかった。



「お前に関係ないだろ。」



 言いたかった。



「飾った台詞を吐いてんじゃねぇよ。」



 言いたかった。



 けれど、言えなかった。



 僕はそれに何も反論できずに、観衆の元に逃げ帰った。



「女心が分からない?僕の心の事も分からないのによく言うよ。」



 言った。けれど、それを僕が言った相手は観衆たちだった。



 そうして僕の、最初で最後の恋は終わりを迎えた。

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