十九
修学旅行が終わった。
三日目に何が起こったのかはほとんど覚えてないけれど、多分結構楽しかったと思う。
そうしていつも通りの日常が始まる。学校生活が幕を開ける。いつの間にか引退して部活にはいかなくなっていたし、これからは高校受験のために勉強をするのみだ。
小さな頃『涼宮ハルヒの憂鬱』のアニメをDVDに親が焼いていたのを観た。
「あと告白がほとんど電話だったのは何なの、あれ。そういう大事なことは面と向かって言いなさいよ!」
K岡からチャットで告白された時、同じことを思った。だけど、その思いを『恋』という一文字で覆い隠した。
『お前にはもっといい奴がいるだろ?』
櫻井翔の言葉を思い返す。
僕はその通りだとは思えない。でもK岡は僕とは合わなかったんだと思う。友達としてならかなり相性は良かったけど、それ以上の関係にはなってはいけなかった。
そう、合わなかっただけ。僕の方が人として上とか下とか、そういうのは無かった。
だけど
それでも
このままでいるのは溜飲が下がらない。
僕は決めていた。今日の昼休みに何をしてやるのかを。
朝から僕は、他クラスのS木だったりO田だったりO形だったり、僕が知っているありとあらゆる人たちを教室に呼び、とにかく人を集めた。
どういう文言で呼んだかというと
「昼休み、K岡を振ってやるから見に来い。」
というものだ。
僕はありとあらゆる人に辱められた。その仕返しをK岡にもしてやろう。そういう心意気だ。
K岡がどんな考えを持って僕の事を広めたか何てことはこの際どうだっていい。僕ばかりが他人の事を考えて行動しなければならない、なんていう了見は不公平だ。もしそんなことを言ってくる奴がいるなら、考えなしにぶん殴ってやる。
僕はありとあらゆる、自分の人脈の有る限りを用いて人を集めた。
そして昼休み、復讐を開始する時。
僕は一旦、再度他クラスの人達を呼びに自分の教室を後にした。
そして、ぞろぞろと引き連れて帰って来た時、教室に入った瞬間、僕の机の上に何かが置かれているのを発見した。
それはあの、小さくてピンク色の紙であり、そこには文字が長々と書かれていた。
『ごめんね。ごめんね。ごめんね。どうして二宮君が起こっているのか分からないの。私はバカだしブスだし私もこんな私の事が嫌い。本当にごめんね。だから――――
―――――別れよう。』