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ヤラカシ家族の386日  作者: たかさば


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226/226

5/6 ☆あつくてたまらない

ピ、ピピピ…

ピ、ピピピ……


スマホのアラームが鳴り、目を覚ます。


時刻は、朝5時ちょうど。

あたりはまだ薄暗いが、ベッドから起き上がって、キッチンへと向かう。


今日一日頑張って働く家族のために、お弁当をこしらえなきゃね。

息子は給食があるからいらないけど、娘と旦那と私の分、三つこしらえなければね。


昨日は目玉焼き入れたから、今日は卵焼きにしようか、それとも何かを卵とじにしようか……。

毎晩のはりきったメニュー作りも楽しいけど、手早く作るメニューも楽しいんだよね。

手を抜きつつも、ほんのり喜べるような…、そういうお弁当作りが大好きっていうか。


冷蔵庫を開け、目についた材料を手早く取り出し、準備など。


卵一個にちくわ一パック、冷凍のホウレンソウとコーン、玉ねぎが半分あるから使っちゃいたいな、鳥ハム作ろうと思って買っといたささみ、使っちゃおっかな。

よし、今日はちくわと玉ねぎの卵とじと焼き鳥、ホウレンソウとコーンのバター炒めだな。


片手鍋とフライパンをコンロにセット。

玉ねぎとちくわを切って、片手鍋に入れ、水としょうゆ、みりん、砂糖と一緒に煮込み始める。


フライパンにバターをひとかけ入れて火をつけ、溶けたところで冷凍ホウレンソウとコーンを投入、しんなりしてきたら塩コショウをして、手早く混ぜたら火を切る。

お弁当箱にホウレンソウとコーンを詰め、空いたフライパンでそのままささみを焼く。

フライパンの表面には塩コショウが多少残っているけれど、焼き鳥のタレがかかってしまえばさほど気にならないと私は思っている。

几帳面な人が見たら顔をしかめそうな話なんだけど、この家にはガサツでいいかげんな人しか存在していないので何も恐れることはない。


焼き鳥のタレは別作りしましょう、そんなことを強要されることもないので、ささみに火を通しながらタレも同時に作っていく。

酒、みりん、砂糖、しょうゆ…フライパンの空きスペースで煮溶かしながらコンロを弱火にしてしばらく放置。


隣でぐつぐつ煮える片手鍋に卵を割り入れ、グルングルンとかき混ぜる。

半熟になるのは一瞬だ。

ふたをして、コンロの火を止め、すでに炊き上がっている炊飯ジャーのふたを開ける。


ふわぁ……もわ、もわ。


ああ、この、炊き立てご飯の、かおりたるや。

ちょっと奮発していいお米買って良かった。


ほっこほっこと、お弁当箱に詰めていく。

仕上げにゆかりもふりかけて…と。


ささみもイイ感じにタレが煮詰まり、照りが輝いている。

コンロの火を止め、お弁当箱に詰めていく。

今日はカットしないで、大胆にご飯の上に並べてみる。


空いたスペースに、ちくわと玉ねぎの卵とじの汁をよく切って詰め込み、お弁当が完成した。


粗熱が取れるまで、軽くふたをしておき、その間に洗い物など。



「おはよ~、今日のお弁当、なにー?」


5時半、娘が起きてきた。


「見てのお楽しみだね!!!」


私はお弁当の中身は絶対に教えたくないタイプだ。

知って見るのと、知らずに見るのは、明らかに温度が違うからね。

朝見たものを昼また見るのは、なんだかとっても感動がないような気がするんだよ。


「今日は何が入ってるかな~!カボチャコロッケ入ってるといいなー!!」


残念ながらそんなものは入っていない。

仕方がないな、明日は入れて差し上げるか。

そんなことを思いつつ、ランチバッグの中にお弁当箱と箸を入れる。


「玄関に置いとくね」

「ありがとー!」


お弁当の袋を持って、玄関に向かう。

キッチンのドアを開けて、リビングへと……ちょ!!!


ものすごい、熱気が!!!!


ソファでぐうぐう寝ている旦那は、真夏かと思わんばかりの汗をかいている。

何事かと思って足元を見ると、ファンヒーターが……30度?!


あわてて電源ボタンを押し、玄関に続くリビングのドアをあけ放つ!!!

猫たちがのっそのっそと玄関の方に逃げていく……。

猫すら逃げ出すほどの熱さの中、爆睡だと……?!


「ちょっと!!なんでここで寝てるの、ファンヒーターつけっぱでものすごいことになってるんですけど?!」

「うーん、ムニュムニュ、プールはまた今度……。」


あかん、完全に寝ぼけている。

よく見れば、着ているものは昨日夜遅くに帰ってきたままのジャージの上下。


暖かくなってきたとはいえ、夜はずいぶん冷えるから上着を着ていけと言ったのにスルーした結果、凍えて帰宅することになってしまった旦那はですね。

暖を取るべくファンヒーターをつけ、素早く温度を上げるために設定温度を30度にし、そのまま睡魔に襲われ眠りこけたという事ですね、ああ、いつもの事ですね。


叩き起こして文句の1つでも言ってやろうと思ったのだが。


「準備できたー!お願いします♪……って、何この部屋!!あっち!!!」

「お父さんがやらかしたんだよ!!!」


時刻は6時、争っていては娘が遅刻してしまう。


四月に就職したばかりの娘の勤務先は、車で20分、自転車で40分の距離。

まだマイカーを持っていないので、しばらく私が送迎をすることになっているのだ。

朝6時半からの勤務なので、息子が学校行く時間までには帰れるってね。


熱気あふれるリビングを後にし、玄関を出て、さわやかな空気を浴びて車に乗り込む。


「今、ちょうどいい温度感だよね!!」

「ホントに丁度いい温度なのに、何で朝から熱風を浴びなければならないんだ……」


三日前は、暑い暑いと言いながらクーラーをつけていたはずなのに!!

あの日は16度に設定されてて、めちゃめちゃ寒くて朝から震えあがったというのに!!!


「お父さんは肉が厚すぎるから温度調整が難しいんだよ、仕方ないね!!」

「熱くしたところで冷え切った内部には届かず、寒くしたところで熱気に塗れた内部には届かずって?くそう、なんてめんどくさい生命体なんだ…」


しかも大量に食わずにはおれらない非常に燃費の悪い体!!!

さらに言うならば、旦那を乗せると非常に燃費の悪くなるマイカー!

細かいこと言うならば、着るものなんかもサイズ外で非常にコストがかさんで!!!


「もーさ、暑くなったら氷食べさせて、寒くなったらお汁粉飲ませるしかないんじゃない!!」

「そんなの意味ない、無駄だよ。あの人はね、いつもアイス食べてて氷耐性がハンパないし、すごい猫舌だもん」


真冬でもガリガリアイスを食い、アツアツの善哉に氷をぶち込んでざぶざぶかきこむようなやつに…冷たいもんや熱いもんで体温を調節するような機能は備わっていないのだ。


一番いいのはごくごく平均的な体温調整機能が働くレベルまで減量することだと思うわけだけれども。

ウォーキングに出かければ両手に焼き立てパンを下げて帰ってきて、プールに行けば帰りにハンバーガーをたらふく食べてきて、山に昇れば帰りにSAで食べ放題して帰ってくるわでね?!


曰く、「運動するとおなかが空いておなかが空いて」だそうで。


旦那の作業車が重量過多原因で廃車になる前に、何とかしてほしいものなのですけれども!!!



娘を送って家に帰ると、旦那が大慌てでドタバタしている。


「あーん、寝坊したー!!!七時に出なきゃいけなかったのにー!!!」


どうやら私と娘が出ていってすぐに目を覚まし、お風呂に入ったらしい。

髪が濡れたまま、騒がしく靴下を探して……ああ、猫踏んだー!!!


「朝ごはん食べたよ」


お弁当の残りをトレイにのせておいたら、息子がきれいに食べたようだ。

……キチンと器が洗ってある、さすが私の血を引くだけあるな!!!


「ひーん、行ってきます!!!」


「行ってらっしゃい」

「へいへい」


騒がしい旦那を声だけで送り出し、気の毒な踏まれた猫を慰めていたらあっという間に息子が学校に行く時間だ。


一緒に玄関に向かい、私も仕事に向かおうと……。


「あれ?!ない!!!」


玄関に置いておいた、私のお弁当バッグが……ない!!!!!!!


「お父さんが持ってったんじゃ?」


なーにー!!!


「朝ごはん食べる時間ないって言ってた」


なんで、なんで勝手に…人の昼飯を奪っていく?!

自分の弁当食べれば済む話じゃん!!


どうせコンビニで菓子パンとか色々買うくせに、なんで律義にわざわざ昼ごはん用に作ってある自分用じゃない弁当を、朝イチのすきっ腹を満たすために奪っていくのか!!!


お弁当が無くなったから、買いに行かなきゃいけなくなったじゃん!!

忙しいから事務所で作業しながらパパッと食べようと思ってたのに!!!


「グぬぬ…食いもんの恨みぃイイイイ!!!」


怒り心頭で仕事に向かう羽目になった私はですね!!!

面の皮の分厚すぎる、腹の皮…いや全身の皮の分厚すぎる旦那に心底あきれ果ててですね!


今後は自分の弁当は無防備に玄関に置き去りにはしないぞと堅く心に誓って…マイカーに乗り込んだのだった!!!

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