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好きになってほしい俺と1番になりたい私  作者: たかちょ


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第二話 フラれた夜の作戦会議

大の字でベッドの上で仰向けになりながら、ボッーとしてしまう。


「海夢が言ってた取引ってなんだよ。ってか明日の学校、気まずすぎ」


俺は今日、勢いで告白したことは悔やんでいた。高校入学三日目にして隣の席の女子にフラれる。完全にお先真っ暗。


「『あいつ竜宮寺さんにフラれたらしいよ!』とか言われんのかな…やべぇ」


じんわりと涙が溢れてきて、嫌な妄想だけが膨らむ。ただただ告白した後悔を隠すように手で顔を覆った。


泣くほどでもないのに、なんで涙が出てるんだろ。


ガッチャ、ドン


突然2階の俺の部屋の窓が開き、勢いよく部屋に人が入ってくる。

誰か確認しなくても、わかりきっていることに俺は無反応。俺は眠いフリをして目を擦る。


「やぁー!なんだなんだ!落ち込んでいるのか!ひーちゃん!今夜は私めが慰めてあげますぜ!」

「全然気にしてないよ。ってかいつも思うけど、くる時は連絡しろよ!」

「でも鍵が開いているんだから、入ってください!と言われてもんじゃないか!」

「それはそうだけど」

「あれ?この前読んでた漫画の続きどこ?まさか隠してた?」


俺は起き上がり海夢を確認すると、漫画がびっしり整理されている本棚を覗きながら、キョロキョロしていた。


「いや知らないよ、俺読んでないし、むしろ俺よりも進んでいるのが不思議なんだけど!先週俺が辻堂のブックオフでまとめ買いしたんだぞ!」

「あー、ごめん!私の部屋に置いてあるわー!」

「おい!いつ入ったんだよ!」

「入学式の日かな?ひーちゃんがなかなか帰ってくるの遅いから〜!」

「もういいよ!明日持ってこいよ!」


俺と海夢の家はお隣さん。しかも大人が一人横向きで通れる隙間があるけど、それは俺と海夢の部屋の距離だ。


幼稚園の頃から親も仲良く、毎日のように俺と海夢はお互いの家を行き来していた。俺と海夢が中学生になる頃には2階の窓から海夢が部屋に入ってくるようになっている。


いつ海夢が部屋に入ってくるか、わからないから一人で『あれも』出来ないし、ほぼ気も休ませることも出来ない。


バタっ


勢いよく俺の横にダイブする海夢は、俺の肩に顔をスリスリしながら。


「私が慰めてあげますぜ!若旦那〜!私に優しく包み込んであげますぜ」

「ちょっ、ちょっと何してんの!やめろって!」

「またまた〜、恥ずかしがっちゃって〜!竜宮寺さんよりも大きいですぜ〜」


いやらしい上目遣いで俺の顔を覗き。ゆるゆるの胸元からチラッと見せているのか?見えちゃってるだけなのか…。

推定Fカップーー仲の良いチャラ男情報だ。

(腕に柔らかいものが当たって、やばい…あれが)


俺その場で立ち上がり、スクワットを開始。


「あーーー、そう思えば、取引ってなんだよ!」

「ちえっ!もう少しだったのにー」

「ちえっ!ってなんだよ!ちぇっ!って!」

「そうそう!取引の話だったね!まだ聖花ちゃんのこと諦められてないでしょ?」

「そんなことはないけどね、竜宮寺さんも恋愛に興味ないって言ってたし、それならそれでいいのかなって〜」

「なるほどー!私は知っているんだよ!聖花ちゃんが一度だけ女の顔になった瞬間を!あの時に誰かが告白していれば、ハッピーエンドを迎えていただろうな〜」


「えっ?なに?あ、いや」


俺の意識と反して、勝手に食い気味に口から言葉が出てしまった。ついでにスクワットも止まってしまい、ベッドに腰をかける。


「やっぱり諦められていないようですね〜。高くつきますぜ〜!それでも気になるのであれば〜」


海夢は手でお金のジェスチャーをして、ニヤニヤと不敵な笑みをしている。


「じゃあ今日のマック代ってことで!」

「おぉー、そうきましたか!それじゃちっと足りないですな〜!明日の学食でも〜」

「せこいなー!あー、わかったよ」


いつもそうやって、弱みを握っては奢らされ、チャラにされて、お年玉と毎月のお小遣いが無かったら、今頃破産してたところだ。


海夢は立ち上がり、メガネを治す仕草をして(メガネはかけてないけど)その場を歩き始めた。急に博士モードに入った海夢。


「じゃあ本題に入ろうではないか!ヒナタ君!準備はよろしいか?」

「いいから、早く教えろよ〜」

「君は竜宮寺君が負けたのを見たことはあるかね?この三年間片思いをしてきているのだから、知っているだろ?」

「いやー、竜宮寺さんが負けたのは見たことがないんだよ」

「本当にかい?君の竜宮寺君への想いはそんなものだったのかい?」


俺は必死に記憶の隅々を探るように、中学三年間を振り返り始めた。


中学三年間、テストも行事も、竜宮寺さんが負けた記憶が一度もない。


「待って?負けたことなくね?全然、わからないんだけど」

「ふふふ、中学最後のホームルームで思い出したまえ」

「最後に…えっ?あれが負け?」

「あぁあんなことでも竜宮寺は負けたくないのだ。」

「だって、目立たない子が掃除を毎日頑張ってたから、クラスのMVPに選ばれたあれだろ?」

「そうだ!彼女は完璧常勝女王なんだ!今まで誰にも負けたことがないから負けた時に心が揺れる」

「確かに、卒業式の後は竜宮寺さん見なかったけど…」

「だろうな、彼女は潤んだ目をして速攻帰っていったよ。要するに私とお前が手を組んで、竜宮寺聖花を敗北させる。その弱ったところに式部日向が告白すれば、成功だろ!」

「おぉ〜!なるほど〜」


俺は力強い海夢の説明に拍手していた。でもそれは一瞬で我に返る。


「って、そんな単純じゃないだろ!もし弱っているところがあったとしても、そもそも勝てる勝負なんてないだろ!」

「まぁそうだな!でも時間はたっぷりある。大学は一緒のところに行けるかわからないとしても、三年間もあるんだ。多くの勝負をしかけて、その内の一発が当たればいいのだから、こっちの方が有利だろ?」

「確かに、そうだな!まぁ海夢も竜宮寺さんに勝ちたいみたいだし、二人で頑張るぞー!」


博士モードが切れて、少し顔が赤くなった海夢は一瞬ぽかーんとして。


「いやいや、私はまだ本気出してないだけだしー!そもそも、ひーちゃんの為にやるんだからね!私の為じゃないから!」

「はいはい!わかりましたよー!」

「絶対信じてないじゃ〜ん!」


恥ずかしがりながらポカポカと俺に優しい攻撃をしてくる海夢を笑いながら、明日の戦いに備えることになる。


フラれた夜に作戦会議とは、俺の高校生活どうなってんだ。


そう、明日はクラスの学級員を決める日である。

前評判は間違いなく、竜宮寺さんが余裕の勝ち。そこをどうやってひっくり返すか。


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