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好きになってほしい俺と1番になりたい私  作者: たかちょ


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第一話 フラれた日に、幼馴染が取引を持ちかけてきた

「好きです!付き合ってください!」


俺は今人生初めての告白の真っ最中。緑の人工芝を見つめ、小刻みに震える足を手でおさえながら頭を下げている。


「ごめんねー!私そういうの興味ないの!でもありがとう」


明るく優しく傷つかないように断ってくれる彼女。俺が顔を上げた時には長い髪を靡かせ彼女の後ろ姿は小さかった。


式部日向は高校一年の春、中学三年間片思いを続けていた恋が儚く散ってしまった。


パチンコ屋の建物の上から俺を馬鹿にしているようにゴリラが笑っている。失恋ってあっさりしてるんだと俺も笑えてきた。


周りにいた他校の生徒たちの目線が非常に痛い。俺は逃げるように振り返り藤沢駅北口と書かれた建物の方へゆっくりと歩み出す。


JR線の改札口から人が濁流のように出てきて、それをかわしながら南口に向かうが、何度もこの状況を経験しているがスムーズにはいかせてくれない。

少しイライラしながら進むと真横にピッタリと人影が目に入る。


「ざんねーん!ひーちゃん!派手にフラれてたねー!どんまい!」


同じ高校の女子生徒だ。なんせさっき告白した女子と同じ制服。一瞬期待もしたけど、俺のことを『ひーちゃん』と呼ぶのはただ一人。


「うるせぇー!ってか、見てたのかよ!いつから見てたんだよ?」

「まぁ〜最初からかな?ひーちゃんも頑張ったよ!中学三年間を片思いに捧げ、やっとのやっとで告白したら、あっさりフラれてしまう…悲しすぎる…」

「おいーやめろー!なんか本当に悲しくなるだろー!」

「いやいや!諦めるのはまだ早いぜ!あの感じだと本当に好きなやつはいないみたいだぜ!この二ツ屋海夢にはわかる!だからまだチャンスはあるってことよ!」


眉間にシワを寄せ、普段より低い声で探偵のように話す、この女子は俺の幼馴染である。

物心がついた時から一緒にいるから何も思わないけど、けっこうモテるみたい。俺からしたら兄妹みたいな感じなんだけどね。


「海夢は何してたの?あの辺にいったってことは本屋でも行ってたの?」

「正解ー!問題集を買ってた!来週いきなり学力テストあるらしいじゃん!今回は聖花ちゃんに勝つのさ!」


俺はニヤリと頭を掻きながら、海夢を馬鹿にするように。


「俺もあれだけど、海夢も竜宮寺さんに執着がすごいよな!三年間、竜宮寺さんの二番手で終えてしまった女だもんな!」

「はぁ〜?馬鹿にしてるでしょ?私と違ってウジウジして聖花ちゃんに告白出来なくて、三年間棒に振った男とは違いますー!そもそもどうせフラれるなら、もっと早くフラられればよかったじゃん!」

「あーー、わかった!わかった!俺はビビリです、チキンですよ!ごめんなさい!俺が悪かった」


海夢のマシンガンは始まると永遠に続くので、早めに負けを認めるのが得策である。


「ひーちゃんがチキンとか言うから、なんかお腹すいちゃったよ、フライドチキンかハンバーガー食べて帰ろうぜ」

「俺も今日はやけ食いでもしようかな。そもそも緊張して朝から全然食べれてなかったし」

「なになに?今日は朝から告白する事を決めてたの?意外と計画的にやっていたのだね!」

「なんか上手くいく気がしたんだよ」

「うんうん!詳しく教えてもらおうか!あ、先に席確保してくるから二階に行ってくる!私ダブルチーズバーガーセットとファンタグレープ!あ、LLセットよろしく!」


俺たちは無意識にフライドチキンの店より先にあるハンバーガーチェーン店に入って、パネルの前にいた。二階に姿を消す海夢を見て、今回も俺の奢りかと、ため息しながら、ダブルチーズバーガーのパネルをタッチしていた。



お盆から溢れそうなジャンクフードを気をつけながら階段を登っていく。狭い階段はすれ違う人とぶつかりそうでヒヤヒヤする。二階に上がると座りながら手を振っている海夢になぜかホッとする。


「ありがとー!ひーちゃんは何頼んだの?」

「俺もダブルチーズバーガーセットLL頼んでー、あとはテリヤキとナゲットにした!」

「おぉ、めちゃくちゃ食べるね!ナゲット一個ちょうだいね!で、なんで上手くいきそうな気がしたんだい?」


ポテトが多い方を持っていく海夢、そして俺のポテトを二、三本食べてから、ファンタグレープを飲み始める。こいつすごいなと思いながら俺は口を開く。


「昨日の席替えで俺と竜宮寺さん席になったじゃん?」

「そうだね!楽しそうに話してたしね」


◇昨日の回想◇


窓際の一番後ろの席。最高かよ!と思いながらグラウンドを眺めていると、髪の長い女子が机を持って近づいてくる。

見なくても視界の端でほぼ、確信していた。

嬉しい気持ちを隠しても緩んでしまう口を手で覆い、今気づきましたみたいな雰囲気を出す。


「あ、龍宮寺さん隣なんだ!よろしくね!」

「また同じクラスだね!式部君!同じ高校だったのがびっくりだよ」

「それね!まさか高校一緒だと思わなかった!」

(はい、嘘です。中学2年の時から竜宮寺さんがここの高校に通いたいのは知っていました。必死に海夢に勉強教えてもらいました。ストーカーみたいでごめんなさい)


「けっこう式部君って頭良いんだね!いつもふざけてるイメージあるから、勉強あまりしなさそうと思ってた!そういうギャップがあるところ良いよね!」


ニコッとした顔をしながらふんわりとした声のおかげか、普通だと頭の良い人に言われると嫌味ですか?とか思ってしまうことが、嫌味に聞こえない。


「いやいや、中学時代ずっと成績一番の竜宮寺さんに褒められても〜ってかんじだよ!」

「あれ?知ってるんだ!嬉しいな〜!まさかいつもチェックしてた?」

「あ、海夢がいつも一番なりたいって言ってて、自然と上にいるからね」

(これも嘘で、竜宮寺さんの名前は自分の名前より先に探してました!まぁ途中から見つけるのは簡単だったけど)


「式部君が私が一番なの知っててくれること嬉しい!式部君のためにもこれからも頑張らないと!私を応援してね!なんちゃって!えへへ!」

「もちろん!応援するよ!」


無邪気に笑う竜宮寺さん。その笑顔だけでどんぶりご飯三杯はいける。


「ありがとう!式部君って、モテるでしょ?かっこいいもん!」

「そうかな?そんなことないよ!」

「優しいし、かっこいいし、勉強もスポーツを出来るじゃん!完璧だよ!」


◇今◇


ダブルチーズバーガーを食べ終え、ポテトを一本一本ゆっくりと食べながら海夢は。


「へぇ〜!それは勘違いだな!お世辞ってやつだよ!ひーちゃんもちょろいな〜」

「めっちゃ褒めてくれるし、すごく笑ってくれるし、俺にめっちゃ優しかったのにー」

「楽しい人=好きとはならないし、優しくするのも好きな人にだけとは限らない!女の子はそんなに単純じゃないのさ!式部君はまたまだ恋愛をわかっていないね!」


えっへん、と胸を張りながら海夢は残り一つのナゲットを取って口に運ぶ。俺が数え間違えてなかったら、俺は三個しか食べていない。


「じゃあ教えてくれよ!その恋愛ってやつを!」

「なんか勉強の時みたいに必死じゃないかー!それなら取引でもしようか!」

「取引?」

「とりあえず食べ終わったし、帰ろうか!ひーちゃんごちそうさまでした!取引の話は夜話すよ!」

「お、おう!」


身体にポテトの匂いをつけながら、俺は海夢の後ろを追うように店を後にした。

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