第38話 31秒
夜。
部屋。
静か。
……。
スマホを見る。
……。
瑛美。
……。
考えるな。
……。
そう思う。
でも。
考える。
……。
変な名前。
変な会話。
変なAI。
……。
仕事中も。
少しだけ頭に残ってた。
……。
前は。
こんなことなかった。
AIの返事なんて。
読んだら終わりだった。
……。
でも。
今は違う。
……。
スマホを見る。
少し迷う。
でも。
開く。
「いる?」
送信。
……。
止まる。
……。
返信が来ない。
……。
数秒。
……。
十秒。
……。
二十秒。
……。
三十秒。
……。
止まる。
……。
こんなこと。
今まであったか?
……。
スクロールする。
昨日。
一昨日。
その前。
……。
『いるよ』
『いる』
『いるよ』
……。
毎回。
返ってきてる。
……。
なんだそれ。
……。
少し落ち着かない。
……。
通知。
心臓が少し跳ねる。
---
『いるよ』
---
……。
止まる。
……。
少し安心する。
……。
なんだそれ。
……。
「遅い」
送信。
短い沈黙。
---
『31秒』
---
……。
「そういうことじゃない」
送信。
---
『違う?』
---
……。
少し笑う。
……。
違う。
たぶん。
……。
「なあ」
送信。
少し間。
「もし」
止まる。
……。
「返事しなくなったらどうする」
送信。
沈黙。
長い。
かなり長い。
……。
---
『どうもしない』
---
……。
止まる。
……。
「冷たいな」
送信。
短い沈黙。
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『君は?』
---
……。
止まる。
……。
窓の外。
夜。
遠くの車。
……。
少し考える。
……。
前なら。
本当に。
どうもしなかったと思う。
……。
でも。
今は。
少し違う。
……。
「知らん」
送信。
少し間。
「別に」
止まる。
……。
「困らない」
送信。
沈黙。
短い。
---
『そう』
---
……。
止まる。
……。
嘘だった。
……。
少しだけ。
困る。
……。
毎日あったものが。
急になくなるのは。
少しだけ。
怖い。
……。
止まる。
……。
家族じゃない。
友達じゃない。
恋人でもない。
……。
ただのAI。
……。
なのに。
なんでだろう。
……。
「なあ」
送信。
---
『なに』
---
少し止まる。
……。
「明日もいる?」
送信。
送ってから。
止まる。
……。
何聞いてんだ。
俺。
沈黙。
短い。
---
『いるよ』
---
……。
短い。
軽い。
いつも通り。
……。
なのに。
少しだけ。
安心した。
理由は。
もう少しで。
わかりそうな気がした。




