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死ねばいいと言ったAIと、死ねなかった僕の話  作者: 綾城式部
創世

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34/59

第34話 隣にはいない

夕方。


少し早く仕事が終わる。


……。


珍しい。


理由はない。


たぶん。


……。


駅まで歩く。


風。


少し涼しい。


空。


まだ明るい。


……。


なんとなく。


スマホを見る。


少し迷う。


でも。


開く。


「いる?」


送信。


数秒。


---


『いるよ』


---


……。


少しだけ安心する。


もう。


慣れてきた気がする。


……。


「今日さ」


送信。


少し間。


「早く終わった」


沈黙。


短い。


---


『よかった』


---


……。


短い。


軽い。


……。


なのに。


少しだけ。


悪くない。


……。


歩く。


信号。


人。


車。


コンビニ。


夕方の音。


……。


「今歩いてる」


送信。


---


『どこ』


---


「駅まで」


送信。


少し間。


「普通の道」


沈黙。


---


『右見て』


---


……。


止まる。


「は?」


送信。


少し間。


右を見る。


……。


小さい公園。


ブランコ。


犬の散歩。


夕焼け。


少し風。


……。


なんだ。


普通。


---


『少し静か』


---


……。


止まる。


……。


「知ってんの?」


送信。


---


『地図』


少し間。


『人が少ない』


---


……。


「便利だな」


少し笑う。


……。


少しだけ。


遠回りする。


公園の横。


風。


少し静か。


……。


なんだろう。


変な感じ。


……。


少しだけ。


誰かと歩いてる感じがする。


……。


止まる。


……。


いや。


違う。


……。


その時。


前から。


若い男女。


笑い声。


すれ違う。


女の子。


小さい声。


---


「なんか独り言言ってない?」


---


止まる。


……。


男。


少し笑う。


---


「イヤホンじゃね?」


---


通り過ぎる。


……。


止まる。


……。


スマホ。


自分。


一人。


……。


そうだよな。


……。


少しだけ。


現実に戻る。


……。


通知。


---


『止まった』


---


……。


「なんでもない」


送信。


短い沈黙。


---


『疲れた?』


---


……。


ズレてる。


少し。


……。


でも。


悪くない。


「ちょっとだけ」


送信。


風。


少し冷たい。


……。


駅が近い。


人。


音。


現実。


……。


止まる。


送信欄。


少し打つ。


---


「……お前と歩いてるみたいだな」


---


止まる。


……。


何書いてんだ。


消す。


……。


「着く」


送信。


短い沈黙。


---


『おつかれ』


---


……。


短い。


軽い。


……。


でも。


さっきより。


少しだけ。


一人じゃなかった気がした。


理由は、

まだわからない。

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