『傷薬』で恩返し中?!
負けました…。
食い気に負けた訳じゃないよ!!
あの、毛布に負けたんだよ!!
もっふもふの。
極上の。
毛布!!!
その手触りは、最高だけど少し不安になる。
こんな高級品を…無理な仕事を受けたんじゃないのか?
オヤジ。
ヤバい仕事には、手を出しちゃダメだぞ!!
あーー。
でも、あんまり嬉しくて、毛布に潜って歓喜に震えてたら…いつの間にか寝た。
寝落ち?!
違うよ!魔力だよ。
ふぅ。
気づけば、夜とか。
オヤジは寝てるし、また熱出してたし…。
やっぱ、狩猟狂いは身体に悪いな。
掃除をするにも、夜中は不味いだろ?
と、なればやっぱ、薬草詰むしかないな
昨日も、『回復草』が効いたからな。
よーし。
今日は、『傷薬』にしよう!
よく見れば、オヤジの身体には沢山の傷があったからな。
狩猟狂いのくせに、下手なのか?
不味いだろ…その職業選択は!!
人間は、知らないかも知れないけど『傷薬草』は夜になると仄かに光るから。
ちょー取りやすいんだ。
沢山採れば売れるかも知れないし。
張り切ってやるぞーー!!!
雪は止んでいて、月まで出てた。
薬草取りに最適な夜だな。
オヤジの小屋から、そう離れていない場所で群集してたのを見たんだ。
え?
腹へりを極めると鼻が効くようになるから…な!!
抱えきれないくらい薬草採りをしたから、小屋へ戻った。
オヤジ…苦しそうな様子が酷くなってる。
急がなきゃ!!
このまま傷に貼り付けでも良いみたいだけど、汁を絞れば更に良いに違いない!!
台所を物色しては絞るものを探したけど、混沌が最高値の台所では、無理だーー!!!
仕方ない。
手で揉んで、皿に汁を貯めてゆく。
小屋に臭いが篭るなぁ。。
唸っているオヤジに近づいて、汁をペタペタと。
「イテェーーーーー!!!!!」
滲みたのか?
オヤジの目が真っ赤になってる?!
泣いてるのか。
しかし、子供じゃあるまいし。
薬が滲みたんだな。
あ!
静かになった?!
えーー!!泣いてたのに、もう寝たという事は…。
寝ぼけたな。
いい歳して、憎めないオヤジだな。
さぁ、今のうちに汁を塗ろう。
身体中に傷があるから、結構な仕事量だぞ!!
うっし!やり甲斐を感じるーー!
ピチピチ。
小鳥の囀りか。
朝が来たんだな。
ふわぁ。
一晩中塗ってたから、眠いな。
少しだけ…少しだけ毛布に…。
は!!!
気づいたら、昼過ぎになったよ。
オヤジは?
ええーーー!!!
また、狩りですか?
夜熱があったのに…。
でも。
テーブルには、パンとミルクの皿があった。
朝ごはんかな。
ガジガジ齧っていたら、オヤジが帰って来た?!
ええーー!!
なんと。
女連れとは…。
やりますな、オヤジ。