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更新遅くなりました!
「ねえねえ透ちゃん、異世界での初仕事。頑張ろうね!」
「うん。そうだね」
これからの予定を書き記した紙を眺めながら、何やら話しこんでいるロズウェルドとミシェルの後ろを歩きながら、私達二人はこれからの抱負を語りながら歩く。
そして、その後ろをあの獣人さんが歩いていた。
私達は後ろにいる狼の獣人をチラチラと見てから頷き合い――勇気を持って話し掛けた。
「あ、あの! 俺、トオルって言います」
「僕はレイ!」
デュレインさんに言われた通り、男として挨拶をする。
よろしく、と声を揃えるようにしてそう言うと、彼は一瞬きょとんとした顔をしてから破顔した。
「おぅ、よろしくな! 俺はトーニャって言うんだ。見ての通り狼族の『エルゲード』だ」
私達の頭に手を置いて、子供に接するように笑うトーニャ。
彼となら、仲良くやっていけそうだ。
「うぅぅ……うえぇぇぇっぷ……」
ガタゴトと揺れる荷馬車の中で、吐き気を堪えるロズウェルドの声を聞きながら、私達はのどかな町並みを移動していた。
荷馬車を操るのは、艶めく青黒の毛並みを風に靡かせるトーニャ。
三角形の耳が、ピクピク前に動いたり後ろに動いたりしている。
面白い。つーか、触ってみたい。
「うぇっぷ!」
ミシェルは持っていた小さなバックを枕にして、長い脚を組みながら寝転がっていた。
スヤスヤと眠るミシェルを見て思う。
仰向けで寝ているのに、何であんなに胸がデカいんだろう。
お山の形がきちんと保たれている。
私が仰向けで寝ると、Cカップに近いBカップの胸が、重力の法則によってAカップ並みにまで小さくなってしまうのだ。
零と二人で自分の胸を触りながら、ミシェルの胸を見て羨ましがっていた。
そしてそして――。
「うぅぇっ、ぅぅ……おぇぇぇっぷ!」
荷台の端っこで、吐き気を堪える様に口元を押さえて悶え苦しむロズウェルド。
車酔いならぬ荷馬車酔い。
いつもの白い肌が青白くなり、唇は紫っぽくなっている。
目には涙が溜まり、うるうる状態。
初めはロズウェルドの背中を擦ってやったりしていたのだが、おぇおぇ言っているのを聞いている内に、こちらにまで吐き気が移りそうだった。
なので、私は彼の背を擦るのを止めて、少し離れた場所に零と二人で体育座りをしながら外の流れる景色を眺めていた。
視線を外から前に移すと、細身のトーニャの背中が見える。
2頭の馬の手綱を操っている彼は、ピンと立てた耳を前に向けているが、ロズウェルドが「おぇぇぇ~っ」と言うたびに耳が後ろにピクピクと動く。
多分、彼なりにロズウェルドがこれ以上酔わない様に、気を使いながら馬を操っているのだろう。振動が少ない
ガタゴトガトゴト……と揺られながら、温かい風が頬を掠める。
気分転換をしようと、御者台にいるトーニャの隣に零と二人で座ることにした。
「どうした?」
「ロズウェルドのおぇぇって言うのを聞いてたら、こっちまで酔いそうになってきた」
だからこっちに来たと言ったら、クスッと笑われた。
それから暫く、トーニャと三人で楽しく喋っていたのだが。
「ようやく追い付いた様だな」
目を細めて前を見ているトーニャの言葉に、私達も倣って前を見るんだけど……。
「……え? どこ?」
どんなに目を細めてみても、どこに依頼主達がいるのか分からない。
そんな私達に、トーニャは「ほら、あそこだ」と言って斜め前を指さした。
目を凝らしてよぉ~く見てみると。
「ん~? あ~……もしかして、あの黒くポチっと見える粒の事?」
遥か彼方に見える黒い点。
自分達がいる場所からかなり離れている場所で、分かり難い。
「そう、それ。あっちは今止まって休憩しているみたいだから、多分このままの速度で行けば30分で合流出来る」
その言葉に、私達は沈黙する。
どんだけ離れているか分からないが、遥か彼方にいる集団を彼は望遠鏡も使わずにハッキリと見えるらしい。
「……マサイ族より凄いな」
零の呟きに、私も深く頷いた。
獣人、奥が深し。




