岐阜編第三話:さらなる宴
しばらく焚き火を眺めていると、急に寒さを感じた。
「うわっ風が冷てぇ」
焚き火をぼんやり眺めていたが、かなり火が小さくなっている。
急いで薪を追加した。
椅子の隣には空缶が2本と空瓶が2本転がっている。
「ビールしか呑んでないからな。身体も冷えてきた……」
空缶と空瓶を別の袋へ入れ、次の酒を取り出す。
『日本酒 三千盛』
「コレ……温めてみるか」
とりあえずシェラカップに半分程日本酒を入れ、焚き火台に網を置いて温め始めた。
「次のツマミは……」
クーラーボックスから取り出したのは刈谷ハイウェイオアシスの『ヤマサちくわ』で購入した『鯛ちくわ』と『野菜たっぷり天』だ。『おつまみセット』も気になったが一人で食べるには量が多い気がしたのでパスした。
「コイツらを軽く炙って……」
軽く湯気が出はじめたシェラカップに口をつける。
「お、辛口だ。すっきりして飲みやすい。温めてるから香りもしっかりしてる。ってかコレの冷を呑んでなかった」
クーラーボックスに入っている三千盛をラッパ飲みで一口。
「やっぱり美味い! キリッとしてるのに飲みやすいな。コレ飲みすぎるヤツだ」
もう一口飲み、瓶をクーラーボックスへ戻す。
そして、炙ったちくわを一かじり。
「おー、香ばしくていいねぇ〜。ちくわの旨味も凄い。こりゃ日本酒が進む」
ちくわ→日本酒→野菜天→日本酒→ちくわ
ふたたび無限ループが訪れる。
あっという間に日本酒もツマミもなくなってしまった。
「あ〜、食った呑んだ。腹パンパンだ」
満腹と心地よい酔いで満たされる。
その幸福感に満たされながらポケットに入っているタバコを一本取り出し火を付ける。
「ふ〜……うまい……」
パチパチと音を出す焚き火を眺めながらタバコをくゆらせる。空になったシェラカップには家から持ってきたウィスキー『ジャック・ダニエル』を入れる。今度はまったりタイムの始まりだ。
何も考えずただ焚き火を眺め、時にタバコを吸い、時にウィスキーをチビりと口に含む。一人の時間を最高に楽しんでいる。
ずっとこうしていたい……
だがいくら望んでも終わりは来る。ここから先の記憶はスイッチが切れたように無くなっている。
「さむっ!」
目を覚ましたのは深夜2時。寝袋から身体が半分程出ていてその部分が冷え切っている。
「あれ……いつ寝たんだっけ……」
酒が残る頭でぼんやり考えながらテントを這い出た。サイトは雑だが最低限片付いている。
「あ〜、またやっちまった……キャンプに来るとつい飲みすぎる……」
記憶を無くして、自分のやったことが分からないこと程怖いものはない。何度も経験し、反省したつもりだがやってしまう。成長しない自分が嫌になる。
「今度は程々にしよう」
もちろん飲まないという選択肢はない。
そのままノロノロと歩きながら用を足しに行く。上を見上げれば無数に広がる星々が輝いている。
町の灯りは少い。ほとんどの人は寝ているのだろう。
静寂
深夜のこの時間も悪くない。だが今は張り裂けそうな膀胱を何とかしなければ。
「出すもん出してもう一眠りしよう」
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