山梨編 第九話 ほったらかしと偉大なる富士
インカムとスマホを同期させ、スマホでルートをセットして向かうは「ほったらかし温泉」。キャンプ帰りの温泉ほど人を救うものは無い。この時間「あっちの湯」の営業だ。こっちは富士山が見える方だ。
……頼む、富士山、いてくれ。
温泉の入り口でチケットを買って、中に入る。すでに結構な人がいた。若者グループや外国人観光客が多くて、館内はにぎやか。でも、不思議と煩くは感じなかった。
服を脱ぎ、湯船に沈んで……「はぁぁぁ~~~……」
ぬるめの湯がじわりと体に染みる。二日酔いに効くとか効かないとか、そういうのはもうどうでもいい。ただ、気持ちがいい。それだけで勝ちだ。
ふと湯船の向こうに目をやると、見えた。
富士山。雲の隙間から、雄大に、堂々と、あの形。やっぱりすごい。日本人のDNAに刻まれてるんじゃないかと思うくらい、見るだけでテンションが上がる。
ただ、ちょっと残念だったのが湯船の表面に浮かぶ垢たち。人気スポットの宿命かもしれないけど、もうちょいだけ……うん、まあ良い。富士山が全部チャラにしてくれる。
しっかり温まったら、タオルを絞って、バイクにまたがる。次は――昼飯だ。
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