第9話 いざ!学校へ
アドベンチャーの第一歩は日常から始まります。
ヨッシーとの会話はどうなることになりますやら
楽しい朝ごはんの後、私はラジカセの前に座って、もう一度MDを聴いていた。
「気に入った?」と着替えが済んだセンパイが声を掛けてくれる。
「ハイ! ピッチに立つ前もよく音楽聴いていたんですけど… 同じ感じです。特に1曲目!気分アガります!」
「良かった」とセンパイは既に“真業司”スマイルに切り替えてらっしゃる。
なので、私もラジカセを止めて、立ち上がった。
「私も影日向くんを着てきます」
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映画室のドアを開けると、詰襟を着ている影日向くんが待っている。
「おはよう!杏ちゃん!」
「影日向くん!おはよ」
ちょおっと照れ臭い
「杏ちゃん!今日もよろしくね」
「あ!こちらこそで“し”」と言葉をかんでしまう。
やべっ!と思う間もなく
影日向くんはグニャンと“ういろう”になった。
よし!
グニャン!と被る。
うん!昨日より馴染んでる感じ!
「お待たせしました」と部屋の外に出ると
制服姿のセンパイにぼんやり“オーラ”のようなものが見える。
「?」という顔の私に
「杏ちゃん!私から何か見える?」とセンパイから聞いてきた
「ええ オーラみたいな…」
「それはね。影日向くんに対応できる人から発する“何か”なの。 そのうちに影日向くんを着なくても見える様になるわ」
なるほど… これで探せるんだ…
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教室に入ると、吉井花織がもう来ていた。
私は目で挨拶して席に着き、カバンを机の上に置く。
だけどヨッシーはまだこちらを見ている。
「?」
「影っちさぁ~!自分の席忘れた? そこ杏だから」
あ! いけない!!
「ワルイワルイ」 変な感じにならないように“影日向くんとして”立ち上がる。
「自分の席、忘れないくらいには学校来なよ! だいたい影っちが前だと、ワタシ黒板見えんし!」
ヨッシーに「そっちでしょ!?」と指さされた席にカバンと移動すると
ヨッシーは軽くため息つく。
「影っちさぁ 勉強とか大丈夫なの? スマホ持ってんなら、写真撮りな。私のノート貸すから」
スマホ? って影日向くん 持ってるのかしら?
と頭の中で優しい声がした。
『左の腰ポケット フタ付きの… パスワードは言ってあげるから』
「あ、吉井さん! 取りあえず昨日分のノート、持ってたら見せてくれる?」
「あ~ 全教科あるよ。杏に見せようと持って来ている」
クチは悪いが、ヨッシーは誰に対してもイイヤツだ。
ヨッシーゴメン! 杏は今日も“校外活動”で居ないのだ。
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ようやく午前の授業が終わった。
でもこのノート、人には見せられない。
前のページまでは、字の特徴は微妙に違うけど、みんなペン習字みたい。
きっと“誰”が書いても違和感がないように字の特徴を合わせているんだ。
今はまだ鉛筆がうまく使えず、グニャグニャだから、杏の字にも似ていないけど
慣れてきたらペン習字の練習もしなきゃ
「影っちさぁ ご飯どうするの?」といきなりヨッシーから言われる。
「オ、オレ? あ、おにぎり持ってきてるから」
「じゃあさ!一緒しない?」何だか意味ありげだ。
杏の机をくっつけて私は逆側から座る。
「吉井さん。さっきノートありがとう」
「ヨッシーでよろ!」
「ヨッシー ノートきれいだね。読みやすいし」
「んー ほら、ノート見せてあげるって言ってさ!汚かったりするとね。相手もヤじゃん!」
「ヨッシーっていいやつだな」
「惚れた? 影っち、気が多くね? 杏のことも好きだったりするし」
「え?! なんで」
「なんでって! 学校来るたびに杏のことばっか見てんじゃん」
そうなんだ… 見ていたのは学園長先生かな センパイかな
「…いや そういうことは 無いと思う よ」
「またまたぁ~ 杏のどういうところがイイと思うの?」
自分のいいところなんて! わかんないよ!
私は一所懸命に頭を回した。自己紹介タイムの時とか、何言ってたっけ?!
ヨッシーは影日向くんとしての私の顔をマジマジと見て聞いてくる。
「かわいいから?」
いやいやいや それは無いでしょ!
でも影日向くんの立場でそれは言えないし
ごちゃごちゃになってきた。
「えっと!サッカーでケガしたって言ってたから。大変なんだろうなって見てたのかも」
「あ~サッカーね。うん!凄かったらしいよ。ウチのオヤジ、スーパーやっててさ。そこの精肉部の部長さんがファンで。杏にサイン書いてもらったって言ってた」
「へえ~」 (私も知らなかった)
「そんな、感心バッカしてないでさ!」
とヨッシーは真顔になる
「ね!聞いて! 杏は可愛いし、すっごくいいコだからさ。きっと他にも好きになってるヤツいると思う」
いやいやいや、絶対ないって!!
「影っちって、イイやつだと思うからさ。私はキミから応援してって言われたら。応援する!だけどちゃんと杏のこと見てあげて。影っちには影っちの理由があるのかもしれないけど。好きになるんなら。もっと学校にも来てさ。杏の事みてやりなよ」
ヨッシーの言葉にジンと来てしまって思わず口に出てしまった。
「アリガト…」
慌てて言葉を繋いだ
「よく考えてみる」
「よし!」とヨッシーは笑顔になった。
「口開けて」
「?」
「いいから」
言われるままに口を開けると、だし巻き卵を放り込まれた。
「私の鉄板メニュー。で、杏も好き」
ありがとう!ヨッシー!♡
周りを幸せにする杏ちゃんは、周りの人にも恵まれる。
素敵だなと 思ってしまいます。(*^。^*)
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