第11話 お母さんは紅一女
今回は可愛いお母さんの話です。
何だかんだあって二日ぶりの我が家だ。
マンションのドアの前、インターホンを押すとお母さんが出た。
ドアを開けてくれたお母さんは上機嫌だ。
仕事がうまくいっているのだろうか?
「仕事順調?」
「そうねえ~ お父さん、出張だったし、やりたい放題で仕事はかどらせてもらったわ」
えっ?!
なんか、今、お母さんから“見えた”気がした。
そんなことは知らずに、上機嫌なお母さんは話を続ける。
「さっき、学園長先生からお電話があって『お嬢様をまたお借りします』っておっしゃるから、『ウチの子は箱になぞ入れておりませんから。いつでもどうぞ』とお応えしておいたわ」
良かった。ウチの方は問題なさそうだ…
「杏」と
お母さんは呼びかけて、両手を大きく拡げた。
私がトツトツと近付くと、グイっ!と頭を抱きしめられた。
色んないい匂いに混じって画材の匂いもする。
「どう? 高校生活、楽しくなれそう?」
「うん」
私は目まぐるしく起こった出来事を思い返してみた。
「とても」
「良かった」とお母さんは私の頭を抱きしめたまま、つむじ辺りにキスしてくれた。
くすぐったい
なので、話を振ることにした。
「学園長先生のご自宅には奏センパイと泊まったんだヨ」
「えっ?!」
お母さんは私の頭を胸から離し、今度は両肩を掴んでマジマジと見る。
「写真あるよ」
お泊りした時、「お母さんに見せよう」とお揃いの恰好でお布団の上に座って奏センパイと2ショット写真を撮った。しかもセンパイの手には紅一女の単行本が…
写真を表示したスマホを見せると
「キャーッ!!」と叫んで、お母さんは私からスマホを奪い取った。
「センパイは紅一女のファンなんだって! 今度ぜひお目にかかりたいって!」
うっとりとスマホを眺めているお母さんに言ってあげる。
「奏先輩に“固チャ”していい? ってか、する!!!」
とお母さんはチャカチャカとスマホを操作した。
すぐ着信音が鳴る。
即レス??
お母さんが満面の笑みで画面を見せてくれた。
「お招きいただき本当に有難うございます。 私の大好きな杏ちゃんのお母様で、大ファンの紅一女でもいらっしゃるお母様からのご招待に、今、舞い上がっています」と可愛いスタンプがいくつも踊っている。
私はセンパイからこんなスタンプを貰った事がなく、ちょっと悔しい。
「いいでしょ!!」とお母さんから思いっきり自慢されてしまった。
超ハイテンションなお母さんから「そう言えば、“あの本”の中身、あなたも読んだの?」
と聞かれたのは、ずっとずっと後になってからだった。
杏ちゃんはお母さんから何が見えたのでしょう?
それは次回あたりのお話…(^_-)-☆
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