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お待たせしました2話目です。
疲れとは偉大だ。一服してベッドに入ったら不安な気持ちはどこかにいって眠りにつくことが出来たのだから。案外図太い自分に驚きつつもベッドから出る。
窓から溢れ出る光は暖かくて眩しい。否応なしに目が覚めた。自分がどうなるかも分からず迎えた朝は酷く憂鬱で気持ちの良いものでは無い。柔らかく包み込むような光が今ばかりは自分を嘲っているように感じた。
沈み込みそうな気分を抱えていると低く腹が唸った。異世界にきてもお腹は空く。昨日の晩から何も食べてないことに気がつくとそれに応えるようにまた腹が空腹を訴える。
ベッドサイドのベルが目に入った。それでメイドを呼べると昨日のいけ好かない兵士が言っていたのを思い出す。手のひら程の大きさのそれを手に取って鳴らしてみると涼やかな音が響いた。
こんなもので人が呼べるのだろうか。と思うひまもなく扉がノックされ渡良瀬より少し若く見えるメイドが入ってきた。
「失礼致します。どうかなさいましたか。」
「えっと、朝食って頂けますか。」
「かしこまりました。すぐにご用意致します。」
必要最低限という言葉が相応しい対応。直ぐに部屋を出ていったのはここから渡良瀬を出させない為か。
それにしてもこのベルはどういう仕組みなのだろうか。
(なんか模様が書いてあるな…。)
縁の部分に彫られた彫刻が綺麗なただのベル。そこまで大きく鳴らした訳でもないのになぜ呼ぶことが出来たのか好奇心が湧いてくる。
鳴らさないようにしながらベルを観察をしていたらノック音が響き扉が開くと先程のメイドがカートを押しながら入ってくる。テーブルに広げられた朝食を目にすると腹の虫が騒ぎそうになり慌ててサンドイッチに手をつけていった。
朝食を食べ終えると直ぐに皿を片付けて控えていたメイドが出ていく。その背を見送るとまた広い部屋に1人になった。
(やることがないんだよね。)
昨日は目まぐるしく状況が変わっていき一息つくのも随分遅かったが今日は何かがおこるわけでもなくただ一言暇に尽きる。
(1人で考える時間ができたのか。)
昨日のここに来る直前の不思議な出来事を思い出すと頭がジリジリと痛むような気がする。思い出すことを拒絶してるような感覚に陥り考えるのをやめた。
生前(死んだとは思っていないが)読んだことのある話だと異世界に来た人間は大体は聖女かその類のものと相場が決まっていた。そして帰る道はないというのがお決まりで着いていた。しかし今は帰り道はさておき聖女ではないと言われてしまった以上お決まりからは外れてしまった。これでは物語が始まらない。
ぐるぐる考え込んでいると突然窓の向こうから光が差し込んできた。
意味がわからない。
そう思ったのは光の中から人間が現れたから。さっきまでは何も無かったバルコニーに光とともに知らない男が現れたらだれでもびっくりするだろう。
唖然としている渡良瀬が視界に入ったのかいたずらが成功した子供のように笑う男は窓を開けろと窓を叩くのだった。