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転生したらレベルアップが止まらない  作者: とま坊
深淵迷宮編

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【第36話】不吉な予感

目立たず、騒がず、平穏に。 


それが、前世の記憶を持って異世界に転生した少年、ミナモ・アステルの目標だった。


しかし、日常生活を送るだけでレベルが上がり、十歳の適性鑑定では全職業適性あり。能力値も規格外だったミナモは、バーデンセリア学園に首席で入学することに。


さらに、幼なじみのダンマ、カミル、フォートと共に始まる学園生活。個性豊かな生徒たちや厳しい授業、実技訓練が待ち受ける中、ミナモの固有能力【日常成長】は、本人の意思に反して彼をどんどん強くしていく。


「頼むから、普通に成長させてくれ……!」


果たしてミナモは、憧れの平穏な学園生活を送れるのか?


これは、村人Bを目指す少年が、望まぬ成長と周囲の期待に振り回されながら、普通の日常を守ろうと奮闘する物語。

――迷宮(ダンジョン)に入ってから、しばらく時間が経過していた…


ミナモ達は教師の案内に従い、

第一階層の通路を進んでいた。

途中で何度か魔物と遭遇したものの、

班の連携も少しずつ取れるようになり、

大きな問題もなく探索を続けている。


「最初は緊張したけど、

だいぶ慣れてきたな!」


カミルが剣を持ち直しながら言った。


「そうだね。

最初の戦闘よりも皆の動きが良くなっていると思うよ。」


ミナモも頷く。


「ダンマの弓もかなり当たるようになってきたしね!」


フォートが笑顔で言う。


「まぁな。まだ全部当たるわけではないけど

魔物の動きをよく見てから撃つようにしたら当たるようになったんだよ!」


ダンマは少し得意げに胸を張っている。


「俺たちも負けてられないな、カミル!」


レオンがカミルに声をかける。


「あぁ。お互いに頑張ろうぜ!」


二人は笑いながら剣を握り直した。

その様子を見て、ミナモは小さく笑う。


――皆、良い感じに連携出来ているな…


実戦を経験したことで、

それぞれが自分の役割を意識して動けるようになってきた。

今のところ実習は順調に進んでいる。


しかし、探索を続けるうちにミナモは少し気になることに気づいた。

先程から、ゴブリンだけでなく

別の種類の魔物も同じ通路付近で見かけるようになっていたのだ。


――この辺りに集まっているのか…


ダンジョンの生態についてまだ詳しいわけではない。

魔物が移動する理由はいくらでも考えられるため、今の段階で不思議に思う程の事でもなかった。


「先生。さっきから魔物が多いような気がしませんか?」


レオンが前を歩く教師に尋ねた。


「確かに、普段より少し多いようだな。

だが、ダンジョン内の魔物の分布は常に一定というわけではない。

何らかの理由で移動することもある。

覚えとけよぉ!」


教師は周囲を確認しながら答えた。


「なるほど…そうなんですね。」


「念のため警戒は続けろ。

何かあればすぐに報告すること!」


「はい!分かりました。」


生徒達は改めて周囲に注意を向けた。

しばらく進むと通路の先が開けた場所に出た。

そこは広場のようになっており複数の通路がつながっている。


「よし、ここで一度休憩する。

各班、周囲に気を配りながら水分補給をしておけ。」


教師の指示を受け、

生徒たちはそれぞれ休憩を始めた。


「ふぅ、結構歩いたな。」


ダンマが壁際に腰を下ろす。


「でも、思っていたより楽しいね。

魔物と戦うのも皆で探索するのも。」


フォートは水筒を取り出しながら言った。


「確かにね。

授業で習った事を実際に試せるのは良い経験になるな。」


カミルも頷いた。

ミナモは水を飲みながら、

広場の周囲を見渡した。

複数の通路が奥へと続いている。

壁には古い傷跡が残り、床には魔物の足跡らしきものも見られた。


そのとき、

広場の奥にある通路から物音が聞こえた。


「ん、魔物か!?」


レオンが剣に手をかける。

すると通路の奥からゴブリンが三体姿を現した。

その後ろには犬のような姿をした魔物が一体いる。


「全員、戦闘態勢をとれ!」


教師の声が響き、

生徒達は一斉に武器を構えた。


「ゴブリン三体と、ダンジョンウルフが一体か。数は多くない!

落ち着いて対処しろよ!」


教師の指示を受け前に出た。


「カミル、レオン。前衛を頼む。

ダンマは後ろから援護、フォートも魔法の準備を!」


「分かった!」


カミルとレオンが剣を構え、

ゴブリンたちを迎え撃つ。


先頭のゴブリンが棍棒を振り上げて襲いかかってきた。

カミルはその攻撃を剣で受け流し、

体勢を崩したところへ斬撃を加える。


一方、レオンはもう一体のゴブリンと向き合っていた。

相手の攻撃を横に避け隙を見て剣を振るう。


「援護するよ!」


ダンマが弓を引き絞り、矢を放った。

矢は三体目のゴブリンの肩に命中し、

その動きを止める。


「フォート、今だ!」


「うん!」


フォートが杖を掲げると、

火の魔法が生まれた。


「ファイアボール!!」


放たれた魔法がゴブリンに直撃し、

魔物はその場に倒れた。


残るダンジョンウルフは前衛の二人を避けるように横へ回り込むと、

後衛のダンマたちへ向かって走り出した。


「させない!」


ミナモはすぐに進路を塞ぐように動いた。

ウルフが鋭い牙を剥き出しにして飛びかかってくる…


観察眼(アナライズ)で動きを捉え、

ミナモはわずかに体をずらした。

牙が目の前を通り過ぎた瞬間、

剣を振り抜く。


斬撃を受けたウルフは地面に倒れ、

そのまま動かなくなった。


「ふぅ…これで最後かな…」


ミナモは周囲を見渡す。


「全員怪我はないか?」


教師が確認すると、

俺達はそれぞれ無事を伝えた。


「よし、今の戦闘も悪くなかった。

前衛が魔物を引きつけ、後衛が援護しており

後衛へ向かった魔物にも素早く対応出来ていたな!」


「あ、ありがとうございます!」


ダンマが嬉しそうに答える。


「さっきも言ったが戦闘中は自分の相手だけに集中しすぎるなよ!

仲間の位置や周囲の状況を常に確認をしろ!」


「はい!」


教師は倒れた魔物に目を向けた。


「それから今のゴブリンとダンジョンウルフのように魔物によって動き方は違う。

折角倒したんだ。観察しておけ!」


俺達はそれぞれ魔物の姿を確認していた。


その時、

教師の一人が倒れたゴブリンのそばで足を止めた。


「――少し気になるな…」


「気になるって何がです?」


別の教師が尋ねる。


「いや、このゴブリン達だよ。

先程も別の通路で見かけたが、

普段より同じ場所に集まっている気がするんだ。」


「色んな理由があるそうですからね…

偶然かもしれませんが少し注意しておきましょう。」


教師たちは短く言葉を交わすと、

生徒たちに向き直った。


「探索を再開するぞ。

引き続き周囲への警戒を怠るなよ!」


「はい!」


ミナモたちは再び通路の奥へと進み始めた。


「さっきの魔物、少し変だったなー。」


隣を歩くレオンが小さく呟く。


「そうだね…気を引き締めよう。」


ミナモはそう答え、前を向いた。

まだ実習は続いている。

ミナモたちは教師の案内に従い、

さらに迷宮(ダンジョン)の奥へと進んでいったのであった…

読んでくださりありがとうございました。

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