表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
87/203

第87話 アタックオブザスシバトルクラブ!⑥

前回のあらすじ:

最後のスシバトル部四天王、軍艦の船渡とのスシバトルは相手の握った寿司を食べ、満足するまで勝負が続く変則ルール。加えて野菜以外のなまもの禁止の条件付き……


◆◆◆


「オクラ納豆軍艦だ」


 鳥路さんが繰り出したのはあっさりネバネバヘルシーな軍艦!

 船渡さんはそれに醤油を付けて食べる!


「悪くない! なら! キムチコンビーフ軍艦!」


 船渡さんは逆にこってり辛口の軍艦!

 鳥路さんはそれをそのまま口に放り込んだ!


「美味い。サバ缶マヨ軍艦だ」


 鳥路さんはサバ缶をほぐしてマヨネーズで和えたものをのせた軍艦を提出!


「いけるな! ツナとは違う味わいだ! ならばサラダ軍艦でお返しだ!」


 船渡さんは鳥路さんの寿司を食べ終えるとすぐにサラダ軍艦で応戦!

 カニカマとかをマヨネーズで和えたやつがなぜサラダなのかはわからないけど、よく見るやつ!


 ……こんな感じで鳥路さんと船渡さんは軍艦の食べさせ合いを繰り返している。

 どちらかが満足させる寿司を握るまで終わらない……会心の出来の軍艦で相手を唸らせ負けを認めさせる必要がある。つまり、心が折れなければ一生終わらない!

 最初はふざけたルールだと思っていたけど、とてつもなく過酷なルールだ……!

 それに加えてこの船渡さん……色々不憫だっただけで寿司の腕前は本物! スシバトル四天王を名乗るだけはある! 

 生魚を使わない回転寿司にあるようなメニューの応酬なのにハイレベルなスシバトル! 俺も賀集さんも勝負を黙って見守るしかない!


 ……次で二十貫目の寿司だ!


「ここで重めの角煮軍艦だ! くくく、そろそろ苦しいだろう鳥路英莉!」


 ニヤリと笑う船渡さん! そういう事か!


「美味い」


 鳥路さんの口に吸い込まれるように消えた角煮軍艦! 鳥路さんの食べるペースは落ちない!


「ちょ、ちょっと待て、もう二十貫目だぞ? どうなっている!?」


 異変に気付いた船渡さん!

 鳥路さんは出された二十貫目の軍艦を食べ終え、すぐにリターンの軍艦を作り始める! 


「マヨコーン軍艦だ」


 船渡さんにお出しされるマヨコーン軍艦! 船渡さんの手が止まる!


「ま、待て! お腹がきつい! ペースを落とさないのか!?」


 鳥路さんは次の軍艦を作り始める! そして、勝負が始まる前に作っていたアカマンボウの握りを一貫食べる!


「さんま蒲焼軍艦だ」


 船渡さんのお皿に二つ目の軍艦が並ぶ! 船渡さんの手は止まっている!


「待って、まだ、マヨコーン食べ終わってない……」


 鳥路さんは次の軍艦を作り始める! そして、勝負が始まる前に作っていたアカマンボウの握りを一貫食べる!


「マヨ焼き鳥缶軍艦だ」


 船渡さんのお皿に三つ目の軍艦が並ぶ! 船渡さんの手は止まったまま!


 鳥路さんは次の軍艦を作り始める! そして、勝負が始まる前に作っていたアカマンボウの握りを一貫食べる!

 

「オニオンオイルサーディン軍艦だ。レモンを絞って食べると良い」


 船渡さんのお皿に四つ目の軍艦が並ぶ! 


「……」


 船渡さん沈黙!

 

 鳥路さんはアカマンボウの握りを一貫食べ終え、無慈悲にも次の軍艦を作り始めている! 


「参りました」


 船渡さんの心が折れた。

 

 ……満足する寿司が出来るまで終わらない。ようするにほぼ大食い案件だ。

 船渡さんは知らなかったのかもしれないけど、鳥路さんはその見た目に反して相当な大食い。寿司同好会のメンバーも鳥路さんのブラックホールのような胃袋が満たされているところを一度も見た事がない。

 船渡さんが勝つには鳥路さんを唸らせるめちゃうま軍艦を握る必要があった訳だけど……船渡さんが美味さで参ったと言う気がないのなら、鳥路さんも当然そんな事を言うはずもない。最初から勝負の結果は決まっていたのかもしれない。



 ……船渡さんは賀集さんが淹れてくれたお茶も喉が通らない程の満腹状態のようだ。


「この私が負けるとは……鳥路英莉……噂に違わぬ実力だったか……」


 寿司の実力はあんまり関係なかったと思うな……


「流石はスシバトル部四天王……油断ならない相手だった」


 ルールの厳しさ的には鳥路さんの言う通りかもしれないけど、結果だけ見たら圧勝である。


「望みを言うと良い、鳥路英莉……」


「お前は一週間スシバトル禁止だ」

 

 船渡さんに言い渡される一週間のスシバトル禁止令!


「ふ……一週間そこらでスシバトルの火は消えんさ」


 この人はどっちだ……帯刀を心酔してる人間か?


「それに私はスシバトル部四天王の中で最弱! 他の四天王はこんなに甘くはないぞ……!」


 ……


「お前が最後の四天王だ」


 鳥路さんが船渡さんに事実を伝える。


「え?」


「他の三人はもう倒した。お前が最後の一人」


「え?」


 自称最弱の人が最後に来るとかあるんだ……まぁ、この人は普段からタイミング悪そうだもんな……


「……明日の部長との勝負頑張ってね」


「あ、ありがとう」


 一瞬フリーズした船渡さんの口から出た鳥路さんへの労いの言葉。鳥路さんも不意を突かれ素直にその言葉を受け止める。根は良い人なんだろうな……船渡さん。


 船渡さんは口を押さえながらゆっくりと家庭科室から出て行った……


 スシバトル部四天王とのスシバトル、鳥路さんの完全勝利だ!



◇◇◇



 家庭科室の鍵を閉め職員室に返却、本日の寿司同好会の活動は無事終了だ。

 

「もうスシバトル部は来ない……よね?」


 周囲を見渡すがそれらしき影はない。


「四天王を倒したら次はラスボスだと思うし……大丈夫じゃない?」

  

 やや呆れた表情で俺をみる賀集さん。警戒するに越した事はないと思うんだけどなぁ……


「明日に向けて備えよう。朝も早い」


 鳥路さんが連日のスシバトルラッシュで疲れたりしていないか心配だったけど、問題なさそうだ。運動部よりも体力ありそうだもんな……


「それもそうだね、寝坊しないようにしないと。鳥路さんも今日はゆっくり……」



「どうも、鳥路英莉さん」



 誰だ!? 黒いフード付きのコートの不審者!? 白い狐のお面で顔もわからない! 声の感じは女性っぽいけど……いや、本当誰だ!? ここ学校だぞ!?

 

「……スシバトル部か?」


 鳥路さんが俺と賀集さんを庇うような形で前に出る。


日本寿司罵倒協会にほんすしばとうきょうかいから来ました。イナリスカウトです」


 日本寿司罵倒協会!? 実在する組織なのか!? タチの悪い夢じゃないのか!?

 目の前の人は……物腰こそ柔らかいけど不審者に違いはない。イナリスカウトとか名乗る大人を信用してはいけないと俺は義務教育で学んでいる!


「こ、ここは学校! 関係者以外は立ち入り禁止のはず! 不法侵入だ!」


 目の前の不審者に警告する。

 鳥路さんに何の用か知らないけど、まともに会話しちゃダメだ!


「ご安心を山本葵さん。入校許可書は持っています」


 ふところから入校許可書を取り出す不審者。

 きょ、許可が出るのか!? この格好で!? 明らかに不審者じゃないか!

 というか何で俺の名前を知っている!?


「……私に何の用事ですか?」

 

 見た目は怪しいけど正式な手順で入校した人に口調を丁寧なものに変える鳥路さん。それでも鳥路さんは警戒姿勢を崩さない。


「桶ヶ丘高校スシバトル部の妨害はやめて頂きたい。ビジネスの邪魔なのですよ、あなたは」


 ビジネス!? 何で高校の部活がビジネスに関係するんだよ!?


「寿司屋を潰すような連中を見過ごす訳にはいかない。無理な相談だ」

 

 鳥路さんがキッパリと断る。


「なるほど、寿司王国の娘さんが苦労されているわけだ」


 笹垣の事か? 寿司王国は寿司罵倒協会と関係がある……? 一体このスシバトルの裏で何が動いているんだ!?


「協力頂けないようであれば……少し痛い目を見てもらいましょう。大丈夫、死んだりはしませんよ。ここは日本ですからね」


 何をする気だ。


 不審者のコートからショットガンのようなものが飛び出す! 

 銃口は鳥路さんに向けられている!


「ソルトショットです……市販品よりも強力ですがね」


 やばい。こいつ。ここでぶっ放す気だ!

 鳥路さんもそれがわかっている!

 でも、鳥路さんなら避けれる。サブリナさんのファストドロウを見切れるんだぞ!

 


 鳥路さんは……なぜ動かない!? 射線から抜ければ良いだけなのに!

 俺と賀集さんが後ろにいるから!? 避けたら俺達に当たるから!?

 鳥路さんは……避けないつもりだ!!

 

 まずい! 口でどうこう言って止まる相手じゃない!

  


 廊下に響き渡る破裂音! 体に走る激痛!


「ぐうっ!?」


「山本くん!!」

「山ちゃん!!」


 鳥路さんと賀集さんの声が聞こえる。

 い、痛いけど……二人には当たっていないな! まだ倒れる訳には……!


「次撃っても……当たるのは俺の体だぞ! ノーコンめ!」


 痛みで朦朧とする意識で精一杯強がり、不審者を睨む!


「……これ以上は騒ぎが大きくなる……君達が相手しているのは大人、忘れない事だ」


 騒ぎを聞きつけて先生や放課後残っていたわずかな生徒達が集まり始める。

 不審者は……窓から飛び降りた!? ここ二階だぞ!?


 くそっ! 血とかは出てないけどめちゃくちゃ痛い! どうなってるんだあの銃!

 でも、二人を、特に鳥路さんを守れたのは……でかいぞ!

 スシバトル部だか寿司罵倒だか知らないがお前達の好き勝手にはさせないぞ!



 ……廊下の床が冷たい。体に穴とか空いてないよな? もう少し体を鍛えて二人を抱えて逃げれるぐらいの体力はつけておけば良かった……か……も……








◇◇◇

アタックオブザスシバトルクラブ! おわり

感想・評価をいただけると、執筆の励みになります。


◇◇◇

こちらの作品はカクヨムからの転載版です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ