第39奏:夏色の奏
次の日の昼休み。
イヴ、琴音、綾乃の三人は、屋上のベンチに座り、ドラマー探しについて話し合っていた。
「全然見つからないね…」
イヴは空を見上げながら、そう呟く。
「うん……やっぱり、簡単には見つからないよね」
琴音も、そう言って項垂れる。
「……」
綾乃は静かに二人の話を聞きながら、屋上から見える校庭の木々に視線を向けていた。
校庭の木々は力強く葉を茂らせ、夏らしい鮮やかな緑色をしている。
まもなく六月。
そろそろ夏になってきて、外も暑くなるのだろう。
そんなことを考えていると、授業の始まりを告げるチャイムが鳴る。
「あ、やばい!」
三人は慌てて立ち上がり、それぞれの教室へと戻っていった。
数時間後
イヴは教室で帰りのホームルームをしていた。
これが終われば放課後となり、バンド練習が出来るため、イヴは心の中で早く終われと願う。
「みんな、今週も終わりだ。来週からはいよいよ6月。そして7月上旬には文化祭があって、誰でも出られるから出たい者は準備を進めておくように。あと、文化祭に関して質問がある者は職員室に来るように」
担任の先生がそう言うと、イヴはハッとして顔を上げた。
(文化祭? ……そうだ、文化祭!!)
イヴの頭にあるアイデアがひらめく。
ホームルームが終わり、下駄箱で待っていた琴音と綾乃の元へ急足でイヴは駆け寄った。
「ねぇ、聞いて!」
イヴがそう言うと、二人は不思議そうな顔で彼女を見つめる。
「夏休み前に文化祭があるんだって! 私たち、今度やる文化祭のライブに出ようよ! そのステージで、ドラマーを探そう!」
イヴは、そう言って拳を握りしめた。
綾乃は、少し不安そうな表情でイヴを見つめる。
「どこからその話聞いたの? ……というか、本当に出れるの?」
綾乃の言葉に、イヴはにやりと笑った。
「帰りのホームルームで言ってた! 詳しいこととかは、職員室に行って先生に聞いてみよ!」
綾乃と琴音は顔を見合わせる。
二人のクラスでは、まだ文化祭の話は出ておらず、本当に文化祭に出れるのか不安が増していく。
三人はそのまま職員室へと向かった。
「文化祭でバンドとしてライブに出たいんですけど……」
「ああ、いいよ。去年の先輩たちも申請して出てたし。この申請用紙に、記載事項を書いて私のところに持ってきて」
イヴからの申し出に、先生はあっさりと答える。
先生は机の引き出しから、一枚の紙を三人に渡した。
「え……こんなに簡単なの?」
琴音と綾乃はあまりのあっけなさに、思わず呟く。
「どうした? いらないのか?」
先生は申請用紙をヒラヒラとさせたところで、慌てて申請用紙を受け取った。
申請用紙には、代表者の氏名や何をやるかなど、各項目が並べられている。
その申請用紙を見て、三人の目には新たな目標への希望の光が宿ろうとしていた。
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次回の更新は、第40奏:もうひとつのステージ、9月25日木曜日午後5時30分です。




