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傘から始まる恋物語  作者: 霊璽
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第65話 悪戯

 孝也の家に向かう道中、5人はこの3日間のテストについて話ながら向かっていた。それぞれ勉強会での成果をちゃんと発揮できたようだった。

 特にいつもだったらテスト終わりは絶望したような顔をしていた晴翔と遙は笑顔で満ち溢れている。

 楽しそうに会話をしているのは4人で、道案内のために先に前を1人で歩いている孝也の表情は不満が表れていた。しかし文句を言っても変わるわけではないので諦めていた。

 後ろから肩を叩かれた。振り返ろうとすると頬に何かが刺さる。何が当たったのか肩に視線を落とすと細くて白い人差し指だった。

 そして誰がやったのか、腕から顔にかけて見ていくと松原が悪戯っぽく笑っている。

 「孝也くんもこういうのは引っかかるんだね」

 孝也の肩から手を離し、人差し指は立てたまま隣に来る。

 「どういう意味だよ」

 「孝也くんってこういうことにも気づいたりしそうだなって」

 首を傾げている孝也を見つめながらどこか嬉しそうに言う。

 「あいにく、気づくことの方が少ないな。まあ、引っかかったところで気にもしないが」

 「あはは、孝也くんらしいね。それにしても孝也くんの家に行くの楽しみ〜」

 松原との会話で少しは機嫌は治ったが、それでも淡々とした口調に変わりはなかった。だが、松原は楽しそうに話を続けてくる。それも孝也が不機嫌になっている原因の話を。

 「最初に言ったが来たところで何もないし、つまらないと思うが」

 「いいの! 好きな人のお家は何もなかったとしても行きたいものなんだから!」

 「そういうものなのか。よくわからないな」

 眉間に皺が寄っている孝也に松原の熱弁は続く。ただ、内容は後ろで楽しく和気藹々と話している3人には聞こえていない。

 「今はわからなくても、いつか分かればいいんじゃないかな。そうだ! 今度、私の家にも遊びに来てよ!面白いものいっぱいあるんだから」

 「ああー、機会があればな」

 あまりの勢いに少し距離を離して、返事をする。孝也のことだ、面倒なので行くことはないだろう。

 そしてそうこうしているうちに孝也の家の前に到着した。

 孝也は一歩前に出て玄関の鍵穴にポケットから取り出した鍵を刺して解錠する。ドアを開けるとそのまま中へと入っていく。

 「ただいま」

 誰にも聞こえない程度の声量で呟くと後ろから遙が大きい声で挨拶しながら入ってきた。孝也は後続の邪魔にならないようにすぐに靴を脱いで玄関框に避難した。

 「おっ邪魔しまーす!」

 「お邪魔します」

 彼女に続くように晴翔、松原、星乃の順番で挨拶をしながら入ってくる。そんなに広くない玄関は彼女らで既にいっぱいになっていた。

 それぞれが靴を脱いでいる間に孝也は一足先にリビングへと行ってしまった。

 最初に靴を脱ぎ終わった遙は玄関框に上がると家の中を見渡す。

 「久しぶりに来たけど変わってないなー」

 「そうだね。もしかしたら孝也の部屋はだいぶ変わってるかもよ?」

 晴翔が隣に立ちながら考察を話す。その言葉に目を輝かせた遙はとんでもないことを言い始める。

 「たかちゃんは多分リビングに行っちゃったし、バレないようにたかちゃんの部屋、行ってみようよ」

 「ダメだよ! バレたらきっとすごく怒るよ」

 遙の提案に直ぐに反対したのは松原だった。

 「きっとじゃなくて確実にキレるだろうな。もしかしたら二度と家に上げてもらえないかもな……」

 晴翔が真面目な顔で顎に手をあてて、予想する。それを聞いた松原は青ざめていた。星乃の表情もどこかぎこちなくなっているような気もする。

 「ええ〜、でも行きたいでしょ!」

 「それは……」

 遙は止められそうにない。晴翔も好奇心が抑えられているか微妙な様子だ。遙の言葉で揺らいでいる。松原も本心は行きたいのだろうが、どうしようか悩んでいる。星乃も孝也の部屋には行ったとことはあるが、あの時は孝也が緊急を要していたことと本人に許可を取らずに入ったことへの罪悪感で中をちゃんとは見ていない。

 そしてしばらく続いた静寂を打ち破るように手を上げる星乃。他の3人がじっと彼女を見つめる。

 「ひとまず三河さんのところに行ってお願いしてみるのはどうですか?」

 「たかちゃんが許してくれるかな…」

 星乃の提案に遙は不安そうに問いかける。

 「わかりませんが、勝手にお部屋へお邪魔して三河さんに見つかって怒られることはないんじゃないですか?」

 「怒った孝也くんって怖いしね」

 「誰も助けを出せないだろうな……」

 怒った時の孝也を考えてしまい、遙は頭を悩ませる。

 「うーん……、わかった! 星乃さんの意見を採用! というわけでたかちゃんのところに行こう!」

 なんとか話をまとめて4人は孝也が待つリビングへと向かった。

第65話を読んでいただきありがとうございます。作者の霊璽です。

ここまで読んでくれている方が一体何人いらっしゃるのでしょうか? 

もちろん読んでくださっている方全員にには感謝spです。

夏休み一体いつ入れるのでしょうか? あとは少し加筆しようと思うので更新が途絶えるかもしれないです。

(あくまでも「かも」なので加筆せずに進める「かも」しれないです)

それではまた次回、お会いしましょう

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