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傘から始まる恋物語  作者: 霊璽
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第42話 解散と曇り空

 松原と2人でドリンクサーバーの前にやってきた。他の客が先にジュースを注いでいたので、2人はその後ろに立っていた。

 孝也はコップを片手で弄びながら、何にしようか悩んでいると松原が肩をトントンと叩いてきた。

 「孝也くんは何飲むの?」

 前の人がいなくなり、孝也は一歩前に出る。

 「俺はそうだな……コーラでいいか」

 少し考えた後、コップをドリンクサーバーに置きコーラが表示されているボタンを押し続けていると松原が後ろに立ったまま話を再開する。

 「コーラ好きなんだね」

 「ああ。……よく考えたらコーラぐらいしか飲まないな」

 少し過去のことを思い出したが、普段あまり清涼飲料水自体飲んでいなかった孝也が唯一飲んでいたのがコーラだった。

 そうでもいいことを考えていたら、溢れそうなくらいコーラを入れてしまった。

 「へえ。孝也くんって炭酸飲めるんだ」

 目を丸くしてこちらをじっと見てくる。

 「そんなに不思議なことか?」

 「私、飲めないんだよね〜あのシュワシュワが痛くて……」

 松原は飲んでないのに痛そうに頬を押さえている。

 「ま、別に無理して飲む必要もないんじゃなか?」

 コップから零れないようにそっと持ちながらドリンクサーバーの前から移動する。

 「そうだよね。というわけで私はオレンジジュースにするね」

 彼女はそう宣言してからコップを置き、オレンジジュースを入れている。

 「いちいち言わなくていい」

 面倒臭そうにいうと、入れ終わった彼女はコップを持って隣まで来た。

 「えへへ、なんか言いたくなっちゃった」

 「よくわからないやつだな……早く戻るぞ」

 これ以上彼女と話すとまたよくわからないことを言ってきそうだったので孝也は零れないように静かに歩き出す。

 「うん!」

 笑顔で頷きながら孝也の隣を歩いて席まで戻って行った。


 席まで松原と2人で戻ってくると、孝也はコップいっぱいのコーラをそっと机に置いた。

 「さすがにそれは入れすぎなんじゃないか?」

 溢れそうに揺れているコーラを見ながら晴翔が口を動かしながら言う。彼の手元には山盛りのポテトが置いてあった。

 「余所見してたら入れすぎた……ってなんでポテトなんか食ってんだよ」

 孝也が返答している間、晴翔はポテトをひたすら食べている。たまに遙や星乃も摘んで食べていた。

 「孝也たちが飲み物取りに言ってる間に頼んだら意外と早く来てな。はるちゃんと星乃さんとシェアしてた。松原さんも食べる?」

 「いいの!? ありがと〜」

 晴翔から差し出されたポテトを喜んで食べている松原。孝也は溢れそうなコーラをそっと飲みながら晴翔を見ていた。

 「どうした? 孝也も欲しいのか〜?」

 孝也が見ていたことに気がついた晴翔はしなしなになったポテトを見せびらかすように目の前で揺らす。

 「いや、いらね。家帰って晩飯食えなくなっても嫌だし」

 三分の一ほど飲んで机に置いた孝也は興味なさそうに冷たくあしらう。

 「さっきパフェ食ってただろ」

 「デザートは別腹ってよく言うだろ」

 真顔で言った孝也に晴翔は眉を顰めて疑問を呈する。

 「あれって女子だけに適用されるものじゃないのか?」

 「別に誰も女子だけとは言ってないだろ。多分」

 誰が行ったのかすらよくわかっていないが、その言葉だけは知っていたので使ってみただけだった。

 晴翔とどうでもいい会話をしていると隣で話していた遙が唐突に声をかけてきた。

 「2人とも楽しく話してるところ悪いんだけどこの後雨降るっぽいから今日は解散しよう?」

 そう言って遙はスマホの天気アプリの予報を見せてくる。確かにあと30分後にはこの辺は雨が降るようだった。

 「そっか。時間もちょうどいいし、帰りますか!」

 晴翔が時計を見て時間を確認してから言った。

 孝也も腕時計を見ると17時30分を示していた。ここから家まで30分ほどかかるし、確かに帰った方が良さそうだ。

 「そうですね。行きましょうか」

 星乃の一声で全員が席から立ち上がり、会計へと向かう。

 それぞれ、会計を済ませて外に出ると手が届きそうなくらい、薄暗く灰色の雲が近くにあった。

 「うわ〜雲が近いよ!」

 空を眺めてはしゃいでいる遙を見て晴翔が少し焦ったように言う。

 「はしゃいでないで早く帰らないと降ってきちゃうよ! はるちゃん、早く行こ」

 「そうだね! 雷が来たらまずいもんね。じゃあ、星乃さん、由紀ちゃん、たかちゃん。バイバイ〜」

 遙が手を振りながら逆の手でしっかり晴翔と手を繋いでいた。晴翔は少し猫背になり、青ざめた様子で帰っていった。

 「川瀬さん、急に顔色が悪くなりましたけど大丈夫なんですか?」

 星乃が血色が悪いまま去って行った晴翔の心配をする。

 「あいつは雷が苦手なだけだ。そんなに心配することじゃない。それよりも俺たちも早く帰ろう」

 「そうだね。じゃあ行こう!」

 松原が先に歩き出してしまったのでそのあとを追いかけるように歩き出した孝也と星乃だった。

第42話を読んでいただきありがとうございます。作者の霊璽です。

今回でようやくファミレスから出ました。1話ごとが短い分、一場面を終わらせるのに結構かかってしまいますね。

50話までに夏休みは厳しいかもしれないです……

いや頑張るんだ私!!! そういえばそろそろ10万文字にも行きそうです。

これかも精進して行きますのでよろしくお願いします! いいねしてくれた読者の皆さまありがとうございます!!

それではまた次回、お会いしましょう

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