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傘から始まる恋物語  作者: 霊璽
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第27話 解決と承諾

 星乃と孝也はドアの前にいなくなったはずの遙と晴翔が立っていることに目を丸くして驚いたまま固まっている。

 遙は司書の先生に見られていることはお構いなしに図書館の中を走り、孝也の前に来て詰め寄る。晴翔は司書の先生に謝りながらゆったり歩いてくる。

 「ね〜いつ図書館に入ったの!? 私たちずっとドアの前で待ってたのに!」

 孝也の両肩をガシッと掴んで前後に勢いよく振る。

 「いや、ちょ、落……ち、着け……」

 揺さぶられて返事ができなくなってる孝也を見て、晴翔が遙を止めに入る。

 「はるちゃん、ストップ。そんなに振ると孝也が返事できないよ」

 「あ、そっか」

 晴翔に諭された遙は両肩から手を離す。解放された孝也は揺さぶられた反動で三半規管が死に、酔っていた。顔に手を当てて前屈みになる。

 非常に気持ち悪い。こいつのこういう所は本当に直してほしい。

 孝也の姿を見ているはずの遙が容赦なく、質問をしてくる。

 「それで、いつの間に図書館の中に入ったの?」

 「いや、それはだな……」

 まだ酔いが覚めていないまま返事をしようとするが、体が拒絶したようで声が途切れる。その代わりに晴翔が話し始めた。

 「はるちゃん、そうじゃないよ。孝也は最初から図書館の中に居たんだよ」

 「どういうこと?」

 遙は晴翔の言っていることの意味がわからずに首を傾げる。その仕草に見惚れながらも遥かにわかるように説明を再開した。

 「孝也が自分の荷物だけを置いてどこかに行くなんてあいつの性格上ありえないし、多分だけど俺たちが図書館に来たときに机の下にでも隠れてたんだと思う。急に俺たちが来てカバンだけ隠すのを忘れてたって感じかな」

 晴翔の話を聞いて気持ち悪さに負けて返事はしなかったが、その頭の回転の良さや推理力を勉強に使えばもっと成績が上がるのでは? と思った孝也だった。

 「さすがハルくんだね!」

 晴翔の推理を聞いて納得しているようだった。遙からの褒め言葉にデレている晴翔。

 「ちなみにあってる?」

 「……ああ」

 晴翔がデレ顔のまま聞いてきたので孝也は短く返事をする。

 遙が晴翔を無駄に褒めるということに夢中になっている2人を他所に、辛そうな表情の孝也を見ていた星乃が近づいてくる。そして前屈みになっている孝也の背中を優しく摩りながら心配そうに声をかける。

 「大丈夫ですか?」

 「少し酔ったが大丈夫だ……すまない、助かった」

 星乃のおかげでだいぶ楽になった孝也は体を起こす。

 「いえ、治ってよかったです……」

 それを見た星乃は安堵の息と共に言葉が口から漏れた。

 いつの間にか話を終えていた晴翔と遙は、孝也と星乃のやりとりを見てニヤニヤしていた。2人に見られていることに気がついた星乃は顔を赤くし、照れ隠しのつもりで孝也の後ろに逃げる。

 しかしそれが仇となり、2人の好奇心を加速させた。

 「やっぱり星乃さんと仲良かったんじゃん」

 「孝也もすみに置けないな」

 2人でコソコソと話しているようだが、しっかりと孝也と星乃に聞こえる声で話していた。

 「うるさい。とっとと帰れ」

 気分も晴れて冷静に考えられるようになり、どんどんと腹が立ってきた孝也は冷たい視線で言葉を放つ。

 だがその対応に2人からブーイングが飛んでくる。

 「帰れとはなんだよ、俺たちお前を探してたんだぞ」

 「そうだよ! テストも近いし勉強を教えてもらおうと思って放課後になってからずっとたかちゃんのこと探してたんだから!」

 2人の言葉を聞いて、自分を探しにきた理由があまりにも勝手すぎて呆れてしまう。

 「いや自分らでやれよ。俺をお前たちの勉強会に巻き込むな」

 「そんなこと言わずにお願い!」

 「孝也、今回だけは本当に頼む!」

 2人して顔をの前で両手を合わせ、嘆願してくる。

 この2人が珍しく勉強をする気になっていることに孝也は疑問を持った。普段はテスト勉強なんかする奴らではないのだ。部活が休みになるテスト期間では勉強ではなく毎日デートに行っているような2人だ。

 今回ばかりこんなにやる気があることに逆に不安になった孝也は2人に問いかける。

 「なんで急に勉強する気になったんだ?」

 孝也の問いかけに2人は一度顔を合わせてから再びこちらを見て妙に真剣な顔になった晴翔が答える。

 「実はな、前回の中間テストで2人とも赤点を取ったら親に怒られて、期末テストで赤点取ったら卒業するまで会うなって言われてな」

 晴翔の話を聞いて理由がわかった孝也は続きを先に言う。

 「それで赤点回避のために俺に勉強を教えてもらおうというわけか」

 「その通りだよ! さっすがたかちゃん、よくわかってるね!」

 「というわけで孝也。よろしく頼む」

 笑顔で頼んでくる2人に孝也は考える素振りをして2人に聞こえないよう小さく呟く。

 「めんどくせ……」

 しかし聞こえていた人が1人。孝也の後ろに隠れていた星乃の耳には届いていた。孝也の呟きを聞いた星乃は隣にやって来ると制服の袖を摘んで軽く引っ張る。それに気がついた孝也は星乃の方を向く。

 「どうした?」

 星乃がいつもより真剣な表情をしているように見えた孝也は彼女に問いかける。

 「いいじゃないですか、勉強会。やりましょう、三河さん」

 表情を変えずにとんでもないことを言い放った。それを聞いていた遙と晴翔が顔を明るくさせる。

 「ほら星乃さんもこう言ってるんだし、たかちゃんもいい加減諦めて一緒にやろうよ」

 「そうだぞ、孝也」

 調子のいいことばかり言ってくる2人には実に腹立たしかった。

 「駄目ですか?」

 何も言わない孝也を星乃が上目遣いをしながら聞いてくる。こんな目で見られてしまえば誰だって断る気が失せてしまうだろう。それは孝也も同じで。

 「わかったよ、やればいいんだろ」

 ついに根負けした孝也は首を縦に振った。

 「やったー! これで今回のテストは一安心だね、ハルくん」

 「そうだね。はるちゃん」

 2人で両手を組みながら喜んでいる。星乃の方を横目で見ると彼女もなぜか嬉しそうだった。

 「星乃さんもたかちゃんを説得してくれてありがとね。やっぱり星乃さんが頼むとたかちゃんでも断らないんだね〜」

 一度、晴翔から手を離して今度は星野に抱きつきながら礼を言う遙。抱きつかれた星乃は最初は戸惑ったがすぐに笑顔になる。

 「いえ、私も勉強するなら楽しい方がいいですから」

 そんな2人のやり取りを見ていると晴翔が近づいてきた。女子2人には聞こえないように話し始めた。

 「お前、やけに星乃さんには甘いよな」

 「そうか?」

 「自覚ないのかよ。態度が明らかに違うぞ」

 晴翔から言われて人と接するときの態度を思い出してみるが、変えてる意識はない。ただ晴翔がいうからにはそうなのかもしれない。

 「そんなに違うのか」

 顎に手を当てて悩んでいると晴翔が肩を組んでくる。

 「ま、そのうちに理由がわかるかもな。それよりテスト対策よろしく頼むぜ!」

 「努力するのはお前だ」

 「わかってるよ。はるちゃんと会えなくなるのは俺も嫌だからな」

 男子と女子で別れて軽く話していると学校のチャイムが鳴った。4人時計を見ると短針が6を指していた。

 時計を見た遙が晴翔のところまでやってくる。

 「ハルくん、そろそろ帰ろ!」

 「そうだね。じゃあ行こっか」

 誘いに頷いた晴翔は彼女と恋人繋ぎをして歩いていく。図書館のドア付近で一度立ち止まった。

 「2人とも明日からよろしくね〜」

 遙が大きく手を振りながら叫ぶ。晴翔は横で軽く手を振りながら2人は図書館を後にした。

 「私たちも帰りますか?」

 「そうだな」

 星乃の提案に頷き、荷物をまとめる。晴翔たちがまだいるかもしれないので10分ほど待ってから2人で図書館から出ていく。

第27話を読んでいただきありがとうございます。作者の霊璽です。

ゴールデンウィーク初の更新です。もっと早くにするつもりだったんですが、全然話がまとまらずこんなにかかってしまいました。すみません。しかも更新時間もこんな深夜ですし。

次回はもっと早い時間に更新できるよう頑張ります! 次回の更新はいつになるかわからないです! これだけ言っておきます! ご了承ください。

それではまた次回、お会いしましょう

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