選ばれる者と、切り捨てられる者
列は、長くなりすぎた。
ダンジョンの入口から、視界の外まで。
その中で、俺はただ選ぶ。
「……次」
淡々と。
価値を見て、判断する。
それだけの作業。
でも、その一つ一つが――人生を分ける。
「な、なんでだよ……!」
弾かれた男が叫ぶ。
「俺の方が金は出しただろ!」
「……必要ないです」
短く返す。
理由はない。
ただ、俺がそう思っただけ。
それが、この場所のルールだから。
そして――
「……あなたは、もう来ないでください」
一人に、そう告げた。
「……え?」
「出禁です」
その言葉が落ちた瞬間、周囲が凍る。
「ふざけんな! 俺は――」
叫びながら踏み込もうとする。
だが。
――一歩も入れない。
「な、なんでだよ! さっきまで入れただろ!」
「……嫌だからです」
それだけ。
でも、それが絶対。
男の顔が、絶望に歪む。
理解したのだ。
ここに入れない=死ぬ、ということを。
「……うそだろ……」
膝から崩れる。
誰も、助けない。
助けられない。
最強探索者が、静かに言う。
「これが“ルール”だ」
優しさは、もうない。
あるのは、選別だけ。
外で、さらに争いが激しくなる。
情報を奪い、金を奪い、順番を奪う。
全部――
“入るため”に。
俺は、それを見ながら思う。
――これでいい。
迷いは、もうなかった。
この場所は、俺が決める。
それで、世界が動くなら。
それでいい。




