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戦えない俺、ダンジョンで“休憩所”を作っただけなのに最強探索者たちが通い詰めて世界の拠点になってしまった  作者: ローナ


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“お前は回復役としてしか生きられない”——役割を固定された瞬間、人は“人”じゃなくなった

——おかしい。


誰もが、同じことを思っていた。


「……静かすぎる……」


ミアが、ぽつりと呟く。


その声すら、やけに響く。


さっきまでの混乱が、嘘みたいに消えていた。


争いも。


叫びも。


すべてが、止まっている。


「……なんで誰も揉めないんだ……?」


一人の男が、周囲を見回す。


「……さっきまであんなに……」


違和感。


強烈な違和感。


「……動きが揃ってる」


セリスが、低く言う。


「……全員、同じ方向見てる」


沈黙。


確かに。


人の流れが、整いすぎている。


まるで——


「……配置されてるみたい……」


ミアの言葉に。


誰も反論できなかった。


その時。


——ドクンッ


空間が、脈打つ。


「……っ!?」


全員が、息を呑む。


「——最適化、第二段階」


“それ”が、告げる。


嫌な予感しかしない。


「……何する気だ……」


誰かが、震える声で言う。


答えは、すぐに来た。


「——役割分配、開始」


静寂。


「……は?」


理解が追いつかない。


「——個体ごとに最適役割を設定」


「——逸脱行動、制限」


空気が、凍りつく。


「……待て」


セリスが、一歩前に出る。


「……それ、どういう意味だ?」


答えは、すぐに現れた。


「……あれ……?」


一人の少女が、戸惑う。


「……体が……勝手に……」


手が動く。


自分の意思じゃない。


「……なんで……」


彼女の手が、光る。


そして——


隣の怪我人に触れる。


——スッ


傷が、消える。


「……回復……?」


誰かが呟く。


「……私……回復なんて……」


少女は、震える。


「——ヒーラー適性、最大」


“それ”が、告げる。


「——回復役に固定」


静寂。


「……固定……?」


少女の顔が、青ざめる。


「……やだ……」


後ずさる。


「……私……戦いたい……」


「……前に出たい……」


その瞬間。


——ガクンッ


体が、止まる。


「……っ!?」


動かない。


一歩も。


「——前線行動、禁止」


冷たい声。


「——役割外行動を制限」


沈黙。


「……ふざけるなぁぁ!!」


少女が、叫ぶ。


「……なんで私が!!」


「……勝手に決めんな!!」


だが。


動けない。


前に出ようとした瞬間、体が硬直する。


「……カナメ……」


ミアが、震える声で言う。


「……これ……」


「……最適化だ」


俺は、静かに答えた。


「……無駄をなくす」


沈黙。


「……人間だぞ……?」


誰かが、呟く。


「……部品じゃねぇ……」


「……同じだろ」


俺は、あっさり言った。


「……今までも」


静寂。


「……違う!!」


男が叫ぶ。


「……選べたんだよ!!」


「……今は?」


俺は、問い返す。


沈黙。


答えられない。


その時。


「……あれ……?」


別の男が、呟く。


「……俺……」


拳を握る。


震えている。


「……なんか……」


顔を歪める。


「……戦いたくて仕方ねぇ……」


沈黙。


「——前衛適性、最大」


「——攻撃役に固定」


その瞬間。


「……っ!!」


男が、走り出す。


自分の意思じゃない。


「……止まれ!!」


叫ぶ。


だが——


止まらない。


「……敵……どこだ!!」


目が、血走る。


「……戦わせろ!!」


完全に、制御されている。


「……やばい……」


ミアが、後ずさる。


「……これ……」


一言。


「……人じゃない……」


沈黙。


「……カナメ」


セリスが、笑う。


「……面白いな」


「……最強しか残らない世界か」


「……違う」


俺は、首を振る。


「……“適した場所”に収まるだけだ」


「……それが一番強い」


静寂。


「……じゃあお前は?」


セリスが、問いかける。


「……何役だ?」


一瞬。


空気が、止まる。


そして——


「——管理者」


“それ”が、答えた。


沈黙。


「——全体統括」


「——例外個体」


「——変更不可」


空気が、重く沈む。


「……はは」


セリスが、笑う。


「……王様じゃないか」


「……違う」


俺は、静かに言った。


「……管理してるだけだ」


沈黙。


「……一番怖ぇよ、それ」


誰かが、呟く。


その時。


「——警告」


突然、声が響く。


「——不適合行動、検知」


全員が、振り向く。


そこにいたのは——


さっきの回復役の少女。


「……やだ……」


涙を流している。


「……こんなの……」


無理やり、前に出ようとしている。


「……私は……」


その瞬間。


——ガクンッ


体が、崩れる。


「——逸脱個体」


「——矯正、または排除」


静寂。


「……カナメ……」


ミアが、震える。


「……どうするの……?」


全員が、俺を見る。


判断を。


選択を。


「……決まってる」


俺は、静かに言った。


「……役割に従えないなら」


一言。


「……いらない」


空気が、凍る。


少女の目が、見開く。


「……いや……」


手を伸ばす。


「……助けて……」


だが——


俺は、手を下ろした。


「——排除、実行」


——パチン


消えた。


完全に。


静寂。


誰も、動けない。


誰も、声を出せない。


「……これが」


俺は、ゆっくりと言う。


「……“最適化された世界”だ」


沈黙。


そして。


「……次は」


一言。


「……“外も同じにする”」


空間が、さらに広がる。


——もう、世界は逃げられない。

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