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「言語の問題もありませんでしたね」
日本語を使う裕から英語を使うリッキーに引き継いだ場合、管理者の言語はどうなるかを涼太は知りたかったらしく、そんな事を呟いた。
「そんな事を知りたかったなら、涼太さんがスライムダンジョンの管理者に英語で話しかけてみれば良かったんじゃないですか」
裕は初めて涼太のうっかりを見つけ思わず指摘していた。
「そうだよね、ホントだ何を考えていたんだろう僕は」
涼太は裕の指摘を笑って受け止めていたが、他にも魔物の討伐報酬はどうなるのかや、複数人での攻略はどうなのかなども知りたかったらしい。
「空間の書き換えは僕は自分で体験していますが、他にも知りたい事があったのでこの際色々検証させていただきましょう」
涼太はかなり意気込んでいたが、そのどれもこれも管理者に聞けば済むんじゃないのかと裕は普通に思っていた。
しかしきっと涼太は自分で実際に検証しないと気が済まない研究者気質なのだろうと納得して、それ以上ツッコむのは止めておいた。
言語は日本語で話しかければ日本語で返って来たし、英語で話しかければ英語で返って来たが、不思議な事に念話だと英語日本語関係なく裕にも涼太にもリッキーにも通じた。
裕はそれを実際に体験して本当に凄いと感じていた。
そしていずれは翻訳〇んにゃくじゃないが、地球上の言語のすべてが通じる能力が欲しいと考えていた。
それからしばらくリッキーと二人でゾンビ討伐をした結果、報酬は勿論一緒にもそして個別にもできて、通貨は円でもドルでも貰う事ができたが、円だと1体ワンコインの500円だがドルだと3ドルだったので、裕はいつも通り円のワンコイン計算で貰った。
管理者である女性騎士はアメリカ人のリッキーにもウケが良くて、裕の妄想上の人物だと涼太が日本語で説明してもリッキーに馬鹿にされる事は無く裕は安心した。
それから涼太によると管理者は一度認識されると空間を書き換えても変わる事が無いそうだ。
なので涼太が今攻略しているあの空間の管理者は、以前と変わらず黒猫幼女らしい。
それを聞いて裕は安心するよりも、今さっき裕の妄想上の人物と説明された事が頭に過り、何処か恥ずかしさを感じてしまったのは仕方のない事だろう。
そしてゾンビ討伐に銃を使うリッキーは裕の使う魔法を羨ましがったので、裕は魔法だけでなく空間を見つける能力も願いの報酬で貰ったと躊躇う事無く話した。
当然空間内転移や出入口設置の能力などは秘密にしたが、日本語が通じるだけでなく、フレンドリーさに嫌味の無いリッキーに裕はかなり心を開いていた。
歳も近く一緒にダンジョン攻略をしている事もあって、何だか初めて一緒に居て心から楽しめる友達ができた様な気がしていた。
そうして何日か一緒にダンジョン攻略をしていたが、色々教えて貰ったお礼だとリッキーのガイドでアメリカ観光に連れ出された。
とは言っても、日本から来た時に到着した基地まで戻るだけのドライブ旅なのだが・・・
涼太は他にも仕事があると別行動になったが、リッキーとの旅は思いの外楽しめた。
明らかな観光スポットの様な所へはあまり行かなかったが、リッキーはあちこち遠回りしてくれた様だった。
どこまでも続くかと思う様な道路をオープンカーで走り、地平線上に見える建物に到着するのに後2時間はかかるという説明されて驚いたり、アメリカサイズのピザやハンバーガーやステーキに驚いたり、日本では見かけた事の無いモーテルに泊まったりと、アメリカを感じられる初体験のどれもこれもが楽しかった。
裕がネットで検索した観光スポットではなかったけれど、日本とは規格が違うアメリカの風景にとても感動していた。
そして5日弱かけてドライブを楽しみアメリカ軍基地へと到着し、裕はいよいよ日本へ帰るのだと実感した。
アメリカへ着いた当初は1日も早く帰りたいと思っていたのに、帰るとなると途端に寂しさを抱えたのはやはりリッキーのせいだろう。
どことなくリッキーと離れ難い思いを裕は感じていた。
「アメリカへ来るはいつでも連絡する、必ず私ガイドする」
「必ず連絡するよ」
裕はリッキーと硬く握手を交わし約束した。
そしてそれとは別に裕はスーツのおじさんからカードを貰った。
「ありがとうございます」
涼太曰く政府関係者らしいので、裕は緊張気味に丁寧過ぎるお辞儀をしてお礼を言った。
「そのカードは飛行機を利用する時にファーストクラスのチケットを手に入れられる凄い物だよ。山伏君はこれからアメリカへは実質タダで来られるって事だね」
裕は涼太の説明に本当に驚いた。
ファーストクラスって勿論裕でも聞いた事くらいはあるが、裕には一生縁がない物だと思っていた。
それがアメリカの航空会社のカウンターにこのカードを提示するだけでチケットが手に入るとなると、その気になればいつでも気軽にアメリカへ来られるのかと裕は本気で喜んだ。
「また絶対に遊びに来ます」
裕はスーツのおじさんに思わず両手で握手をしてその喜びを伝えていると、「ははは」と乾いた笑い声をたてながら涼太は裕のその変わり身の早さを温かい目で見ていた。
その後も何人かと別れの挨拶を交わしてから、来た時同様専用ジェット機に乗り日本へと帰って来た。
なんだかんだ言って2週間ほどの出張だった。
勿論出張手当が驚くほどついたが、裕にとってはそれ以上に得る物があった気がするアメリカだった。
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