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誤字報告本当にありがとうございます。
勉強にもなります。
裕が知っている松林や竹林そして杉の木林とはまたちょっと雰囲気の違う森の中を歩いていると、裕は段々と異世界へ転移したような気分になっていた。
(知らない森の中へ転移は定番だよな。って事はこの後は、俺よりも強いモンスターが現れて戦闘とか始まるのか。俺は今何の武器も持って無いぞ)
裕はひとりそんな妄想を繰り広げながら、迷わない様に道標代わりに細い木の枝を折ったり草を結んだりしながら歩いた。
(異世界へ転移してすぐにダンジョンを探すって、ホントまるまる小説みたいな展開だな。そしてダンジョンでかなりレベルを上げたり最強武器を手に入れたりしてな。そしてヒロインと出会い無双が始まるんだ)
そんな事を考えていると徐々にテンションも上がり始め、さっきまで不満満載で愚痴をこぼしていた事などもうすっかりと何処かへ吹き飛んでいた。
裕はこの森は小説の様に危険なモンスターが現れる場所じゃないと思っているので、実際の所軽装備でも何の不安を感じる事も無く、少し暗くなりはじめた森の中を気軽に歩いていた。
しばらく緩い坂道を登る様にして森の中を進んでいると急に視界が広がり、裕が案内された小屋を見下ろす事ができた。
ヘリからは見えなかったけれど、近くには何かの工場なのか研究施設なのか、日本の田舎にありそうな小さな小学校の様な建物もあった。
(もしかしてこの島で何か極秘の研究でもしてるのか?キメラの開発か?それともあの建物は見せ掛けで、地下に巨大遺跡あって古代の秘宝が隠されていたり魔王が封印されていたりして、俺がその闇を暴き解決する事になったりしてな)
謎空間を探すと言う肝心な事を一時忘れ、ニヤリとする裕の妄想はどんどんと広がって行き、本当に物語の中の探検をしている様で少し楽しくなった気分のまま空間探しを続けた。
「この辺なんだけどな」
裕は空間探知のマップを確認しながら光の場所に辿り着くと確認するかのように一人そう呟き、空間の出入り口を探し始める。
そしてもっと簡単に出入り口が分からないものかと裕は思っていた。
(次は出入り口をしっかりと目視できる能力でも貰おうか、そうすればこんな苦労をしなくても良くなるよな。考えてみたらどれもこれも有難いけど中途半端な能力だよな。それにしてもダンジョン内からなら見えるのに外からは見えないってどういう事だよ。そもそも空間を発見させたいんなら、出入り口をもっと分かり易くしろよ)
さっきまで折角上がっていたテンションはまた下がり始め、裕は内心でブチブチと愚痴りながら謎空間の出入口を丁寧に探す。
傍から見て奇妙な手探りではなく、違和感を見つけるために目を凝らしながら慎重に一歩ずつ進み、その際罠でも見つけるかのように足で広い範囲を探る方法を取った。
要するに手ではなく足を使って探し、そして時々は振り返って確認もする。
出入り口を見つけるのには出入り口に対しての角度とか方向が大事なのだと、前回自力で探した時につくづくと実感していた。
それにこの方法だったら万が一誰かに見られても、けして不審な印象を与えないだろうと思っていた。
そして何をしているのか聞かれたら、落とし物を探していると言えばギリ言い訳が通るだろう。
裕はかなり集中していたせいか、時間が経つのも忘れていた。
辺りがすっかりと暗くなり月明かりを頼りにしはじめた頃、漸く目的の空間出入り口を見つけた。
そしてそれとほぼ同時に涼太に声を掛けられた。
「この島のセキュリティーは万全と言われているけれど心配したんだよ、やっぱり黙っていなくなるのはどうかと思うな。僕が心配するとは考えなかったの?かなり焦ったよ」
涼太は本当に焦っているのかいつもと違いかなり早口で、裕の肩を握る手の力がそのまま心配してくれていた事を感じさせた。
「ごめん、今のうちに見つけておこうかと思って」
涼太は裕の返事を聞くと大きく溜息をついて肩から手を離した。
「それで見つかったの?」
「うん、今見つけた所」
裕は空間出入り口に片腕を突っ込んでその場所を教えた。
すると涼太は一瞬驚いた様な表情を浮かべ「凄いね、やっぱり案外簡単に見つけられるんだね」と言われた。
「言っとくけど近くにあるのが確認できたから探しに来ただけで、普通はこんなに近くには無いし、一応これでも見つけるのに苦労してるんだからね」
裕は今さっきまでの苦労を分かって貰おうとムキになって説明したが、涼太には「分かってるつもり」と軽く流されてしまった。
裕はその反応に少々不満があったが、実際この空間探知能力を持たない人からしたら簡単と言われるのは仕方ない事だと分かっているので、それ以上の反論はしない事にした。
そして出入り口付近に目印をつけてから小屋へと戻った。
「食後に少し時間を貰えるかな。実は山伏君に相談があるんだ」
小屋へ着く直前になり涼太はとても言いにくそうにしてそんな事を言い出した。
裕はまた何か面倒な事を言い出されるのかと警戒しながらも了承したのだが、話の内容が何だったとしても涼太の頼みとなったら断る訳にはいかないよなと思っていた。
読んでいただきありがとうございます




