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俺だけのダンジョン  作者: 橘可憐


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パスポートは裕が考えていたより早く手に入った。


涼太から行先は絶対に口外しない様に言われたので、叔母にはただ単に出張だとしか言えなかったのが残念だったが、裕は完璧に観光気分だった。


アメリカの何処へ行くのか詳しくは知らされていなかったので、世界地図を広げてはアメリカの広さを感じ、そしてどんな観光ができるのかと密かに心を躍らせていた。


旅行会社のツアー内容を見て参考にしては観光スポットのチェックをしたり、ネットを検索しては何を食べようかなどと考える時間は本当に楽しかった。


それこそ勉強中もダンジョン攻略中も、聖女様やエルフも半ばそっちのけで期待の妄想を膨らませていた。



ただ一応肝心の空間探知能力はどんなものなのか確認する為に、新たな空間探しは忘れずにした。


丁度課長に頼まれていた事でもあるし、部屋で空間探知と念じてみると日本地図上に光の川が流れるかのような表示がステータスオープンの時と同じ様に脳裏と言うか目の前に浮かんだ。


まるで夜景のマップを見ている様でとても綺麗に感じた。


そして縮図を拡大していくとその光の川は徐々に小さな点の集まりになり、一つ一つの点をしっかり確認出来るまでどんどんと引き延ばしていくと、裕が住む街の近辺に幾つかの光があるのを確認出来た。


スライムダンジョンも以前課長に提供した空間の場所もしっかりと光っていた。

そして裕の家の辺りに二つ並んでいるのはエルフダンジョンと聖女様ダンジョンだろう。


空間探知と言っていたので空間がある場所が光るのかと思ったが、聖女様の説明通り出入り口のある場所が光っている様だった。


そして地図上にエルフダンジョンや聖女様ダンジョンのある場所も加え、光るその間隔を俯瞰で見ると、どのダンジョンもここから意外に近く、別に聖女様が言ったように50㎞間隔という訳でもなさそうだった。


それに何故か光の大きさや強さもそれぞれ違うような感じもした。


そうしてみると裕は空間内転移で条件をつけてダンジョンを探していた様な気になっていたが、実はただ単に近場の空間へ移動していただけなのだというのが伺えた。


なので裕は、きっと管理者が事故の危険性を察知して忖度してくれていたのだろうと勝手にそう思っておいた。


そしてその光の中から一番アクセスが便利そうな所を選んで移動した。


JRと都電を乗り継いで辿り着いてみると何故かそこも神社の近くだった。


(この謎空間って実は神社の近くが多いのか?)


裕はそんな事を考えながら、早速空間探しを始める。


地図をどんどんと引き延ばして行き、ここだろうと言う場所に着いてからの方が大変だった。


何しろ明確な出入り口を認識できていないので、目を凝らしてみたり、手当たり次第に手探りで探してみたりと、傍から見たらきっと異様な行動をしていると思われただろう。


そしていつかの深夜のシェルさんの謎行動を思い出し、これだったのかと今になってやっと理解したのだった。


そうして探し始める事30分位で腕が沈みこんだのを確認し、無事に謎空間を発見する事ができた。


きっと今涼太と一緒だったなら、こんなに簡単に見つけられて羨ましいと言われただろう。

しかし裕には簡単に見つけられたとは到底思えず、空間内転移の便利さを改めて凄い事なのだと実感していた。


その後新たに自力で見つけたこの空間を課長に報告し、裕はアメリカ行きの準備を心置きなく始めた。


そして約束していた当日、涼太が車で迎えに来てくれると言う事だったので、アパートの前でスーツケースと共に待った。


このスーツケースは以前から持っていたもので、裕が叔母の家からボロアパートへ引っ越す時に買った容量は大きいが若干お洒落さに欠ける安物だった。

買い替えようかとも思ったが、まだまだ使えるのに勿体ないと言う思いと、涼太に気合が入り過ぎていると思われるのも恥ずかしいと考えて今回は見合わせたのだった。


時間通りに現れた涼太は、裕のスーツケースを見て少し驚き、車から慌てて下りると裕に謝ってきた。


「ごめん、僕の説明不足だったね。出張って言ったと思ったんだけど、そのスーツケースはちょっと大き過ぎるかな」


裕は涼太のいきなりの発言に少し戸惑った。


しかし涼太に言われるまま荷物を最小限に纏め直したバッグを持ち、連れて行かれた先は裕が考えていた空港ではなくアメリカ軍基地だった。


「ここから先は僕の助手って事で徹底してね。山伏君はなるべく大人しくしていて」


涼太にそう言われ、裕は訳が分からないまま専用ジェット機(?)に乗せられ、一路旅立つ事になった。


裕はジェット機の座り心地の良いソファーの様な座席に座り窓から基地の景色を見ていると、裕が今朝まで夢見ていたアメリカ旅行の妄想の数々はガラガラと崩れ去った。


アメリカへはあの謎空間を探すと言う仕事で行くのだと今改めてはっきりと理解したのだ。

そうだ仕事ってそう言うものだ。

裕はそう自分に言い聞かせるしかなかった。


自由の女神もグランドキャニオンもラスベガスも、そしてハンバーガーにステーキにエッグベネディクト、どこへ行くのか詳しく知らなかった分あちこち検索して楽しんだあれもこれも叶わないのだとしっかりと悟るのだった。



読んでいただきありがとうございます。

いいね、ブックマーク、評価、本当にありがとうございます。

正直モチベーションが上がり、やる気や話の展開を変える自分に驚いています。

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― 新着の感想 ―
[良い点] えーーーっアメリカ旅行しまくりのつもりだったの笑 安定のバカさ加減ですごい笑
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