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俺だけのダンジョン  作者: 橘可憐


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課長から新たにあの謎空間を見つけて欲しいと連絡があった。


前回課長に教えてからまだ1か月程度しかたっていなかったが、念のため前回教えた空間はもう消滅したのかと確認すると、他に必要とする部署が多いと説明された。


必要としている部署って何だよ?とは思ったが、課長相手に詳しく聞く気にはなれずそのまま流して了承したが、見つけるのに時間が掛かるかも知れないと念を押しておいた。


いとも簡単に見つけられると知られるのは良くないと言うか、危険じゃないかと何となく漠然と感じていた。


このままなし崩しに毎日の様に要求される様になったらいったいどうなるんだろう?


でも管理者的に考えたら謎空間が見つかる事は、それだけ浄化が進むのだからけして悪い事じゃ無いのか?


しかしそうして日本国内にあるこの謎空間をすべて見つけ終わったら、次は国外に手を出す事になるだろう。


そしたらどんな事が起こるんだ?


国外の謎空間も見つけた者に権利が生じるのか?


でも確か国家に知られ消された人もいると言った話を以前聞いた気がする。


そうだよ、あの諜報員達も必死になって探していた位だ、それが裕には簡単に見つけられると知られたら、利用しようとする奴らが群がって来るだろう。


あのボロアパートで纏わりつかれて不便で不愉快だった以上の事が起こるかも知れない。



そんな事を考えていたまさにその時、インターフォンが来客を伝えた。



裕は慌てて画面で確認すると、なんとそこには玲子さんの姿があった。


何で?


どうしてここが?


今さら玲子さんが俺にどんな用があるというんだ?


驚くよりも次々と疑問が湧き、画面に映る玲子を見詰めただ戸惑っていた。



「裕君居るんでしょう、開けないとここで騒ぐわよ」


口調は穏やかで静かだったが、顔がまったく笑っていない玲子さんに怖いものもを感じ一瞬躊躇したが、玄関先で騒がれるのも困るので結局ドアを開けた。


「久しぶり、元気そうね」


いつもの様に強引に家に上がり込みながら平然とする玲子に、裕は何も言えなかった。


「やっぱり新築の家は気持ち良いわね」


リビングのソファーに座り辺りを遠慮なく見回す玲子に、裕はもう驚くのも戸惑うのも止めた。


「紅茶なんて家では用意してないよ、お茶で良い?」


「あら、お茶を淹れてくれるの?歓迎してくれたと思って良いのかしら?」


「そんな訳ないだろう、でも何の用があってわざわざ来たのかは気になる」


「裕君に会いたかったと言ったら信じるかしら?」


お茶を淹れようとしていた裕を呼び止める様にすると、上目遣いの玲子はまるで強調するかのように胸を抱えしなを作って見せ甘い声を出した。


「信じるけど、それってきっと好意があってと言う意味じゃないよね」


最近の裕は玲子に大人の色気を使われても動じる事はまったく無かった。


エルフと聖女様に免疫を作って貰ったとでも言うか、女性に対しても少し慣れつつあった。


「あら?少し揶揄った程度で顔を赤くしていたのに残念だわ」


そうだよ、確かにあの当時は玲子さん相手に鼻の下を伸ばしていた時期もあったかもしれないよ、でも今は諜報員でハニトラだって知ってるのに騙される訳ないじゃないかとは言えず、裕はただ冷たい視線を送る事で答えた。


「そろそろ本題に入ってくれない、俺も暇じゃないんだ。たいした用じゃないなら帰ってよ」


ソファーに座り直し意識的にミニスカートから出た足を組む玲子に裕は返って冷めてしまい、お茶を淹れるのを止めてそう言っていた。


「少し合わない間に大人にでもなったのかしら、お姉さんとしてはとても残念だわ。でもそうね私ももう後が無いの。いい加減誤魔化すのを止めて正直に話してちょうだい。交渉には応じる準備はあるから」


急に雰囲気を変えて、きっと素の姿になっただろう玲子に裕はやっぱりなと思っていた。


誤魔化しきれたと思っていたが、多分みんなで集まって話したあの時からずっと疑われていたのだろう。


しかしそれにしても何で今なんだ?


かっぱ擬きダンジョンは既に消滅し、あのボロアパートも解体を始めている。

今さらあのダンジョンの事を聞かれても、そこにあったと言う証明もできないのに何を聞きたいと言うんだ?


今さら交渉してまでも話さなくてはならないものなど裕には何も思いつかない。


玲子が欲しい情報が何かは知らないが、玲子の確信めいた言葉に裕は、どう返すのが正解なのかと必死に考えを巡らせ、ここには守ってくれていた涼太はいないのだから慎重に返事をしなくてはと考えていた。



読んでいただきありがとうございます

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