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裕は自分の部屋に本当にダンジョンの出入り口を設置出来るのかと試行錯誤していた。
何度か新しく見つけた隣町のあのダンジョンを頭に思い浮かべながら念じてみたが、出入口が現れる気配をまったく感じる事ができなかった。
「何だよ、何でダメなんだよ」
裕は口に出して呟いてみたが、思い当たる事としてダンジョンの管理人とコンタクトを取れていない事が頭に浮かんだ。
それに空間の場所は分かっていたが、あの空間をまだダンジョン認定してなかったので、脳裏で念じる対象としてはっきりとしたイメージも浮かばなかった。
それに万が一にだが裕が説明を聞き忘れたか、それとも本当に忘れているかで出入口を好きな所へ設置できるという能力に厳しい条件があるとか、実は裕が扱うのには不可能な能力だったとは思いたくはなかった。
「仕方ないもう一度あそこへ行くしかないか」
裕はダンジョンを探すと言う人目を気にしなければならない明らかに不審な行動は、できれば結構賑やかな神社ではしたくなかった。
かと言って、人気のない時間に神社へ行くのは何となく気が乗らない。
ここで簡単に出入口を設置できていれば何も問題無かったが、もう一度あの場所に出向くしかないと諦め出かける事にした。
神社まで出向き参拝を済ませてから例の大木を探し、人の気配が無くなるのを待ってダンジョンの入り口を探した。
(多分ここで間違いない筈なんだ)
裕は躊躇なく大木に向けて手をやると、沈み込んで行く感覚があり案外簡単にダンジョンを見つけ出せた。
そして誰かに見つかる前にと慌てる様にしてダンジョンに入った。
裕は今度はいったいどんなダンジョンで、どんな管理者が現れるのかと久しぶりに心を躍らせていた。
≪あなたはこの前この私を完全に無視して通り過ぎた人ですね≫
裕の目の前に現れたのは見事なツヤツヤ銀髪ロングヘアーで耳を尖らせた、細身でありながら出る所はそこそこ出ている長身の見目麗しい色白美少女だった。
(おおぉ~、今回はエルフかぁ~)
漸く裕の理想に近い管理者が現れた事に感激していた。
≪この空間はもう既に消滅に近づいています。浄化の手伝いをあまり必要としていません≫
この前無視をして通り過ぎた事に腹を立てている訳では無いのだろうが、少々冷たい感じの反応に裕の描いていたエルフらしさが出ている様だった。
「そうなのか、残念だよ」
折角裕の理想に近い管理者に会えたと言うのに、必要ないと言われた事に裕は本気でがっかりしていた。
しかし裕はたとえ少しの付き合いだろうと、消滅までは関われるのだと気持ちを持ち直しこの空間をダンジョン認定させる事にした。
「それでこのダンジョンはどんなダンジョンなんだ?」
≪この空間をダンジョンと認定しました≫
落ち着いた雰囲気のちょっと低めの声でエルフがそう言うと、スライムが現れ始めた。
裕の中でダンジョンの魔物はスライムが定番となっていた様だった。
裕は湧きも動きも遅いスライムを無視してエルフにさらに話しかける。
「このまま放置していたらこのダンジョンの消滅にどの位かかるんだ?」
≪予測時間をお聞きでしょうか?正確に計算した答えをお望みですか?≫
「ああいや、別にそこまでは望んでいない。ただ知り合ってすぐに別れるのは残念だと思っただけだ」
≪残念ですか?≫
裕は自分が何を言っているのかエルフに真面目に返され少々恥ずかしくなった。
そしてここに何をしに来たのかを思い出し取り合えずエルフに聞いてみる事にした。
「今の言葉は忘れてくれ。それより俺はこのダンジョンの出入り口を自分の部屋に設置できる能力を貰ったはずなんだが、いくら試しても上手く行かなかった、その原因を知りたい」
≪多分はっきりとしたこの空間の認識ができていなかったのでしょう。こちら側から設定をする方が簡単かと思われます≫
エルフの答えに裕はやっぱりなとひとり納得して安心した。
なので出入口付近へと行き、その先を自分の部屋をイメージしながら出入口設置と念じてみた。
すると一瞬出入口の外の景色が歪んだかと思うと瞬く間にその様子を変えた。
確認する為に外へ出てみると、そこは間違いなく叔母のあのアパートの一室である裕の部屋だった。
そしてその場所が裕が望んだ通りただの壁に面した位置だったのも嬉しく安心した。
(難点と言えばポスターを貼れなくなったことくらいか)
裕はそんな事を考えながら、出入口設置の能力も問題なく使えた事を確認しダンジョンへと入り直した。
「お陰で無事に出入口設置出来た、ありがとう」
≪私は何もしていません≫
(いや、そうなんだけどさぁ)
裕は管理者であるエルフと親密で濃密でラブラブな意思の疎通は難しいのだと思い、夢のハーレム的でチョロイン的な展開は無理なのかと少しだけがっかりするのだった。
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