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俺だけのダンジョン  作者: 橘可憐


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アパートの前でママチャリを降りて押し始めて気が付くと、自分の部屋の前で中国人入居者の宋さんが部屋の様子を窺う様にしていた。


(また何か借りに来たのか?)


裕は訝しみながら自転車を押しアパートの敷地内へと足を踏み入れると、宋さんは裕に気付いたらしく慌ててドアの前から飛びのいて裕の方へと駆け寄って来る。


「イマナニカオトガシテタネ、ダレカナカニイルカ」


「誰も居ない筈だよ」


裕は部屋の前にママチャリを止めて慌ててドアの鍵を開ける。


「ドロボウカ」


宋さんの言葉に不安を感じながらドアを開けるが、部屋には誰も居ないし出かけた時と何も変わった様子は無かった。


そもそも裕の部屋はミニマリストかと言う程まだたいして物が揃っていなかった。

一人用の冷蔵庫とテレビは叔母が買ってくれたが、布団に着替えに食器類などは叔母のマンションで使っていたものをそのまま持って来た物で、テーブルとカラーボックスとフライパンと電気ケトルとトースターは自分で揃えていたが、ひと目で見渡せる狭いこの空間に異変を感じる事は何も無かった。


「別に何も変わりないよ」


部屋を覗き込む宋さんに振り返りながら裕がそう言うと「ゼッタイダレカイタネ、タシカメル」そう言いながら宋さんは部屋へ上がり込もうとしている。


裕は慌ててそれを止め、大丈夫だからと宋さんを追い出す様にしてドアを閉め鍵を掛けた。


(部屋の物音に気付くなら隣のイさんが先だろうに2階にも響くのか?それとも宋さんは俺の部屋の前で何してたのか?)


裕はどこか胡散臭さを感じながら、やはりこのダンジョンを探られているのかと警戒していた。


裕のスーツケース預金も3000万円を超えた時にさすがに防犯上の不安を感じ、500万円づつ

台所のシンク下と天井棚の奥と冷蔵庫の中と電気ケトルの中に押し入れの天井裏とそれぞれ小分けにして隠し場所を変え、500万は小出しに金を買い綿を敷き詰めたクッキー缶にしまい押し入れに隠し、残りは相変わらずスーツケース預金にしていた。


裕はこの現金をどうにか銀行に預け入れる方法を考えなくてはと思いながら、ギリギリ犯罪にならないマネーロンダリングの方法を探していた。


(やっぱり専門の勉強をした方が良いのかもな)


裕は通信教育か高卒認定試験を目指し、その後会計士とか税理士なんかの専門学校へ行ってみようかとも考え始めていた。


その為にも今はダンジョンで稼げるだけ稼ぐしかないと自分の心にカツを入れる。


考えてみたら自分は満員電車に揺られながら通勤に時間を取られる事も無く、サービス残業を強いられる事も無く、ウザい上司や先輩に仕事を押し付けられる事も無い。


これだけ好きにフリーで気ままに稼げるダンジョンを独り占めしている有難さを生かさない手は無いのだ。


自分自身で調整しながら好きなだけ自由にダンジョンに出入りできるのだから、自分で決めた目標位は早く達成させたい。


最終的な目標としては3億円位は稼ぎたいのだから、早急にはやはり次の願いの実行を目指し新たなダンジョンの発見が必須だよな。


「後2時間位なら大丈夫か」


裕は時計を見てそう言いながらダンジョンへと足を踏み入れた。



読んでいただきありがとうございます

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