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Bar pomegranate  作者: 裕澄
27/48

キングVSユウ 2回戦

ユウが戻って来るまで、ひとりでカクテルを作っていると、

比較的簡単なオーダーが多い事に気付いた。


「この数時間で、だいぶ様になってるじゃないか。」と、キングさんが空いたグラスを持って戻ってきた。


「そうですかね??」と、空いたグラスを受けとると

「あぁ。短時間だけど、マサヤに任せてみて正解だった様だな。」と、安心したように戻って行った。


「オーダーは、今のところ…全部作り終わったから、洗い物でもするか…」と、呟くと、オーダーメニューを完成させたユウが、

「これ持って行って、ちょっと話したら戻ってきますね。それまでよろしくお願いします。」とニコリと笑ってフロアへ行ったので、俺は制服の袖を捲って洗い物を始めると…

「いらっしゃいませ~♪って、なんで(こっち)から、来てるんですかっ~!?」と、びっくりしたマキさんの声がキッチンまで、聞こえてきたので、フロアを覗きに行くと…


「…オーナー。開店中に出勤するなら、裏口からって、決まりじゃ無いですか。」と呆れた声でキングさんがオーナーと喋っている。

「だってまだ、22時半(出勤時間)前だろ??だから、客って訳だ。」と悪びれない返答が帰ってきた。


「流石だよね、ウチのオーナー。

こうやって、言い負かしちゃうんだからさ。」と、ユウは呑気にお客さんと話している。

「ユウ。オレは、言い負かされてるつもりは、無いんだが??」と、キングさんVSユウの図式がまたもできている。

今回で今日、2回戦目だ。


なんだか、嫌な予感が…するような…。


「じゃあ、誰かにジャッジして貰いますか?? おれとキング、どっちが合ってるか。」と、ニヤリとユウがこっちを向くと、全員の視線が俺の方へ向いていた。

「って、ワケで。

まぁ。正式には、来月の記念イベントからだけど、新しいメンバーの マサヤさんに決めて貰いましょうよ。」と

やはり、嫌な予感は当たった様だ…。

ユウに促されキッチンから出ると、何故か、フロアのセンターの方へ誘導された。

「待てよ。マサヤとユウ(お前)は、昔からの知り合いなんだろ?? ユウ(お前)に有利になる人選してるだろ??」と、

演技なのは分かってるが、怒っている様なキングさんを見ると、

『この人を怒らせると凄いことになるんだろうな。』と、実感できる。

「そんな、アンフェアな事出来る人じゃないですから、マサヤさん(この人)は。」

と、ピリピリムードが漂っているが、お客さん達は、やっぱり楽しんでいる。

「それは、俺も保証するよ。マサヤ(コイツ)は、そんなヤツじゃないよ。」と、カズヒコさん(オーナー)も参戦している。

「さーてっ!!ジャッジマン マサヤくんっ!! ジャッジをどうぞっ!!」マキさんは、ノリノリで出てきた。

「ノリノリじゃないですか…。あーぁ。なんか、マキさんがでしゃばって来たせいか、冷めましたよ。おれ。」と、背伸びをしながら、ユウが気だるそうに言うと

「あぁ…。そこにはオレも同感だ。」とキングさんもストレッチをしながら、呟いた。

「じゃあ、一時休戦って事ですね。」と俺が言うと

「あぁ。」と二人から返事が帰ってきた。

「あっ。でも、俺は今後とも、どっちにも付きませんからね??」と、ニコリと笑って洗い物の続きをするため、キッチンへ戻った。


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