22. 考えること - トーヤ-
アヤメさんに宿を紹介された後、早々にサヤと二人で宿の食堂へ向かう。
サヤは宿へついてからは始終無言だった。
昔の俺ならさっきの流れからいって怒っているのかと思っただろうが、今の俺はただ単にサヤは疲れて眠いのを我慢していただけだとわかる。
どうも宿へ入った途端に安心感が出たようで、食べている今もうつらうつらしているときがある。
「サヤ!」
俺が慌ててそう呼びかけると、サヤがビクッとして顔をあげた。
サヤはスープを飲もうとしていたものの眠くなり、危うくそのスープに顔をつけそうになっていたのだった。
そんなサヤだったので、夕食後、すぐ眠ることを勧めたのが、そこはサヤが「お風呂は絶対入る!」と気合を込めて言うので、妥協。
どうも、先程アヤメさんに部屋を案内されたときにお風呂を見つけ、感激したようだ。
この世界のお風呂は魔法式でできている。
それ以外は地球とほぼ変わらない。
確かこういう風呂文化を持ち込んだのは救世主の誰かだった。
その持ち込んだ救世主の世界は、地球とどこか似ているところがあり、共同風呂があったり、温泉があったり、毎日風呂に入る習慣があったり、妙に風呂に凝ったり…。
その救世主は、初日から風呂に関しての注文が多く大変だった記憶がある。
結局こちらに住むことを希望したのだが、そのおかげでこの風呂文化が発達していったのだろう。
思い出してくると芋づる式に思い出すもので、懐かしくも感じた。
そういえば、その救世主のことは他の救世主よりやけに難癖ばかりつけてくるので、印象に残っている。
風呂開発につき合わされ結構大変だったものの、そのおかげでサヤはこちらのお風呂が気に入っているようだし、その救世主に感謝だ。
いざ魔法式のお風呂に入るとなると、先ほどまで眠そうだったサヤが少し元気になっていた。
といっても、さっきの様子を見ていた俺にとっては、サヤがお風呂で寝てしまわないか気が気でなかった。
念のため、部屋で先に寛いでいたラーゴにサヤとお風呂に入るよう言いつけたのだが、頼りない。
覗くわけにはいかないし、とりあえずサヤの気配だけは、隣の部屋を集中することで感じていた。
ちゃんとお湯を使用している音が聞こえている限り、眠ってしまうことはなかったようだった。
お風呂といってもここの宿はシャワーがついているだけだったのが幸いしたかもしれない。
湯銭に浸かったのならどうなったことか……。
介抱して「裸見られた」とかなんだかで怒られるのは遠慮したい。
お風呂が終わったのだろう。
サヤは少しラーゴに話しかけていたようだが、しばらくすると静かになる。
気の流れを感じてみれば、どうやら眠ったらしい。
そう確認し、俺は荷物の整理を始める。
いつの間にかみんなの荷物係になっていたのだが、それはいつものことで、案内者としての役割の一つだと思っている。
何せ、俺は自分専用の部屋のような空間を所持しているのだから。
道久も空間移動はできるようだが、専用の空間はさすがに持っていないようだし。
俺はその部屋とはいつもつながることができるので、そこへ必要な荷物、不必要な荷物を仕分けする。
俺達が地球で着ていた服は魔法で清潔にし、綺麗に畳むと、その空間へ仕舞い込む。
その他に、道久が持ってきたと思われる非常食や飲み物も仕舞う。
何やら武器も入っているが……。
異世界へ来てチートになった二人にはあまり必要そうではない。
道久は既に何点か持っていったようだが、サヤは武器には慣れていないので増々必要ないだろう。
簡単な調理器具も入っていた。
道久は用意万端だな。
とりあえずは、必要ないだろうとほとんどの物を空間に仕舞い込むと、必要な所持金の袋だけが残った。
俺はホッと一息をつく。
そして、自分の身に魔法をかけ、サッと汚れを落とし清める。
そう、この世界はお風呂に入らなくても魔法が使えれば案外簡単に済む。
これでようやく落ち着くことができた。
しかし思い返せば、今日はなんて目まぐるしく大変な一日だったか。
そして、これほどまでに楽しいと思った一日もなかった。
今までは何事もなく、ただ時間に流れを任せるように過ごしてきた。
オウシュに言われた「過去で見たおまえはつまらない奴だった」とう言葉。
あれはその通りだろう。
ただひたすらに役目を果たそうとしていたこともあり、特に救世主と深く関わることはなかった。
先程思い出した風呂救世主ですら、注文をつけられたからいろいろ動いただけで、やはりそれ以上深くは関わっていなかった。
自分の役目は、救世主を闇の神殿に連れていき、装置ルチレイティに救世主の力を注がせる。
その役目だけの為にと動くトーリヤータ。
救世主の為に金を稼ぐことはあったけれど、ただそれだけ。
ずっとずっと淡々と過ごす毎日。
設定された機械のように、ほぼ同じ動き。
そんな俺が、今日という日は始めてだらけだった。
戸惑い、恐れ、悲しみ、不安、希望、喜び、笑い、安心……。
凄まじい量の感情の流れ。
びっくりはしたけれど、とても幸せな日だった。
トーリヤータ。
今となっては、自分と同じ存在であって、全く別の存在と思える。
まるで生まれ変わったようだ。
だが、そう喜んでいるだけでは駄目なんだろう。
オウシュは考えろと言っていた。
今回のイレギュラーだらけの救済の意味を。
前の俺なら考えろと言われてもわからなかった。
けど、今なら何かわかるかもしれない。
いや、わかろうとしなければいけない気がする。
サヤは俺を一人にしないために動くと言っていた。
では俺は何をするか。
俺だからできることはないのか。
現状、わからないことだらけだ。
何かとっかかりになるものがあればと思うが、今のところ過去の記憶を視ることしか浮かばない。
昔感じられなかったことを、今の俺なら感じられるか。
記憶か……。
俺は結構記憶力がいい、救世主のことは尚更。
思い返しても、ヒントとなりそうなことは思い浮かばない。
創世の頃の記憶はどうか。
それこそティアに関わる記憶なのだから鮮明に覚えている。
そして、今の俺が思い返すと、ティアは何を考え何を求めていたのかがよくわかるようになった。
では、そこからヒントがあるのか?
正直、あるとは思えない。
過去に何かあるとは思えなかった。
もっと力の根本的な流れをつかむべきなのか。
転移装置の不具合。
ここを調べるべきなのかもしれない。
「……!」
そんな考え事をしている最中。
突然となりの部屋でティアの気配を感じた。
それはとても微かなものだけれど、確実にティアのものだった。
サヤから感じるティアの気配。
サヤは歴代の救世主とは比べものにならないほど、ティアに似ている。
容姿から性格から何もかもがティアに近い。
けれど、サヤからティアの気配を感じたことは一度もなかった。
地球にいた頃の俺はトーリヤータとしての記憶等はなかったけれど、それでもティアの気配なら絶対に気付く自信があった。
ましてや、この世界コムドットに戻った俺、トーリヤータと融合した俺であるなら、気付かないはずがなかった。
その気付く可能性でいえば、オウシュが強制的にサヤを目覚めさせたとき。
サヤの瞳が金色に変わったとき。
けれど、その時ですらそんな節は全く感じることなかった。
だから俺はティアが転生した姿のサヤとはいえ、サヤはサヤとしてティアとは別人で認識することができた。
今の状態は……。
駄目だ、よくわからない。
今のサヤはサヤなのか?
それとも、ティアがいるのか?
俺の中に、ティアを求める自分がいる。
サヤは大切だけれど、同じようにティアが大切なのだ。
もういなくなったものとして考えていたティアが、もしかしたらいるのかもしれないという希望。
………俺は……。
どの位、何を考えていたのかもわからない。
いつの間にか、俺の部屋に道久が佇んでいた。
通常の俺なら、同室に道久が入ってくればすぐに感じることができるのだが、今の俺は動揺していてわからなかった。
道久の、俺を睨む視線が鋭く光っている。
「トーヤ。これはどういうことだ?」
俺を切り刻むかのように、その声は鋭利だった。
そう、怒っている。
今のサヤの状態を。
俺は正直に答えるしかなかった。
「わからない」
そう、わからない。
俺の正直な思いだ。
俺は視線を床に落とした。
道久の顔が見れなかったから。
そんな俺に道久は溜息をつく。
「全てわかろうなんて期待していない。今回はイレギュラーが多いのだろう?わかるわけがないんだ。……俺の言い方が悪かった。お前の考えを聞かせてくれ」
先程の鋭い口調とは打って変わり、優しい声音が響いた。
「………うん、そうだね。状況を整理しなければ」
俺も道久の声を聴き、ようやく少しだけ冷静になった。
その様子を見た道久が口火を切る。
「俺はさっき帰ってきて、サヤが眠っている様子を見てきた。トーヤはそのサヤを見てはいないのだろう?」
俺はこくりとうなずく。
「サヤは悲しげな顔をして涙していたよ。俺はあんな風に泣くサヤを知らない。いや、知らないというより、あの顔はサヤじゃないと思った」
そう言って道久は俺を見つめた。
俺は道久の言葉を聞き、やはり核心を得てしまう。
「道久、多分、それはティアだ。闇の女神ティア・マティヤ」
核心を得た俺が不意に出た言葉。
それを聞いた道久は、狼狽えることはなくスッと目を細めた。
「だろうと思ったよ。あいつの金色の目を見たとき、今までのサヤとは違和感を感じた。サヤはサヤであるのに、何か別の者を感じたよ」
さすが道久というべきか。
「いったいどうなっていくんだ、サヤは?サヤはサヤでいてくれるのか?女神の意思に乗っ取られるようなことないよな?」
道久の表情は固く、厳しいものだった。
それは逆に自分の不安を押し込もうとするかのように。
俺は道久の言葉を聞き、今更ながら道久の言う可能性というものに気付いた。
サヤの身体の中に、サヤとは別のティアの意思があるとしたらどうなるのだろう。
女神なのだからその意思は強いはずだ。
もし、同じ体に二つの意思が宿ったなら弱い方が消える……そういうことが考えられないか。
その場合、サヤが………。
俺は黙ってしまった。
何と答えていいのかわからない。
ティアがいるのかもしれない喜びと、サヤが消えてしまうかもしれない悲しみと……。
なんだ、この感情は?
サヤが残ればティアが消える?ティアが残ればサヤが消える?
そんなの、どっちも嫌だ。
なんだ、これ??
俺は混乱した。
目の前が真っ暗になりそうになる。
そこへ、道久が俺の肩を掴んだ。
「しっかりしろ、トーヤ」
俺の目は道久をうまく捉えることができなかった。
焦点が合わないのだ。
「今はそれを考えるな。状況だけ整理しろ。サヤは今寝ている。そこにティアが現れた、そうだな?」
「………そ、うだ。サヤは寝た。しばらくして、微かであるけれどティアの気配をサヤから感じたんだ。俺もそのことを考えていた」
俺は自分の言葉をかみしめる。
道久が続けて質問を投げかける。
「じゃあ、ティアの気配を感じたといっても、今はサヤなんだな。間違えないよな?」
道久の問い掛けに俺はうなずく。
「ああ、そうだ。サヤは今もサヤだよ。ただ………、サヤが深く眠ったことで、少しだけティアの意識が出てきたように思う。本当にすごく僅かなんだ。俺にしか気づかないくらい」
そう、俺しかわからないんじゃないだろうか。
でも道久が分かった。
そして道久が不安を覚えた。
俺もその不安を感じた。
不安から生まれた起こりうる可能性を見た気がした。
そう、その可能性はなくはないのだ。
サヤの意識が消え、ティアになり変わるという可能性。
『トーヤをぜっったい一人にしないからね!』
サヤのあの言葉が心に響く。
純粋に、絶対にそうさせないという強い意志の瞳。
そのサヤが消えるなんて絶対に嫌だ。
けれど、サヤの中に見てしまったティア。
ティアにも会いたいと思う自分もいる。
俺は無意識に心臓の上あたりをつかむかのように手で握る。
どうしようもない感情。
俺はこんな感情知らない。
道久はその様子を黙って見ていた。
しばらく俺を見つめながら何かを考えているようだった。
そして、不意にトーヤが静かに言葉を紡ぐ。
「トーヤ、お前にとっての女神ティア・マティヤは唯一無二の存在なのだろう。そしてサヤも同等の存在なのだろう?」
俺は頷く。
「俺にとってはサヤが唯一無二の存在だ。他の誰にも変えようがない。それがたとえ神であろうとも……。だからお前の気持ちはわからない。いざという時、俺は必ずサヤを優先してしまうだろう」
俺はまた頷く。
「けれど、多分だが……」
その言葉に俺は道久を見た。
「そんな変な期待した目で見るな、多分なんだ。……俺達が心配しているようなことにはならないよ、きっと」
「?」
「だって、サヤだろ?俺達が心配しているのがサヤなんだよ」
道久の言葉をもう一度、心に言ってみる。
それは『サヤ』という名前。
そう、サヤだ。
サヤは危なっかしいのに、最後にはいつも自分の道を突き進み、結局は自分の思うようにしてしまう。
なんだかんだで有言実行を必ずしている。
そういうサヤだとわかっていたから、あの時、不安に溺れた俺をサヤが希望という言葉で救い出すことができた。
「んんー、まぁサヤ頼みだけど、あいつなら大丈夫かもな。特にお前がそんな狼狽えているところを見たら、余計にこなくそと頑張るような奴だよ」
溜息をつきつつ「人が困っているのを放っておけないんだよ、あのアホ」と続ける道久の顔は優しい。
そう、なのかもしれない。
サヤは俺を叱咤しつつ、自分にも厳しく、そしてとにかく前向きで、その前向きな姿勢を貫き通す人。
ティアはというと、どちらかと言えば、落ち込んで泣いて、更に落ち込んで……。
でも、責任感が強いので、絶対にへこたれないような強さがあった。
だが何千年と生きたとき、自分の現状に絶望し、精神が壊れた。
そう、転生を望んでいたティアは、半ば壊れていたと思う。
俺がティアのことを思い返していると、道久が欠伸をしながら言う。
「うん、俺もさっきサヤを見たときは正直なところ不安だったよ。でもお前見たら冷静になれた。多分平気だよ。だから俺もう寝る。さすがに疲れた」
欠伸で涙目の道久が、視線を俺の隣の部屋へと移す。
道久が視線を移した部屋と言うのは、本来道久が寝るはずの部屋だ。
道久には何の部屋割りの説明はしていなかったが、察したようなので俺はうなずいた。
すると俺に背を向け手を振りながら、道久は壁を通りぬけてその部屋から出て行った。
******************
そして迎えた朝。
朝食を迎える前に、サヤが起きているか部屋を訪ねてみた。
するとサヤは清々しい顔で挨拶する。
「トーヤ、おはよー!」
ケロッとした表情のサヤに俺は何とも言えない感情を抱きながら問いかけた。
ずっと昨晩から聞きたかったこと。
「サヤ。昨日の夜、夢見はどうだった?」
サヤはきょとんとした顔だ。
「夢見??……あれねぇ。覚えていないのよねー」
俺が黙ってその言葉の続きを待っていると、サヤは慌てたように言う。
「ちょっとトーヤ、夢見って何かあるの?」
俺はその問いに答えられず、サヤを見つめていた。
何をどう言っていいのかわからず、見つめるしかなかった。
その様子に、サヤは少し考えるようにして言う。
「……いや、思い当たらないこともないけど」
「何かあるのか?」
「えっと、なんて言ったらいいのか……。夢の内容はまったく覚えていないのよ?」
「うん」
「でも、多分あれってティアなんだと思ったっていうか………」
その言葉に俺はやはりと思ってしまう。
表情にも何かしらの形で出ただろう。
しかし、正直、自分ではどんな表情をしていたのかはわからない。
びっくりしたようなのか、おこったようなのか、はたまた嬉しそうなのか……
サヤはそんな俺の顔を見たから言ったのか、はたまた何も考えずに言ったのか……
「私の心にティアがいるかなって思ったから言ってやったわよ。トーヤ助けたいのなら協力しなさいよって!」
そんな言葉が俺の頭を殴るようにして突き抜けていった。
え?
「だってそうでしょ?トーヤに押し付けっぱなしで自分は転生を楽しんでいたんだろうし…」
サヤがそう言葉を続けると、
「ブハッ!」
いつの間にかサヤの部屋に入っていた道久が吹き出した。
いや、本当いつの間に来たんだ、道久……。
そして、その場の雰囲気に合わないことを察し、道久はサヤの部屋から退散する。
退散するも、そのドアを隔てた廊下で笑いを堪えようとする道久の様子が手に取るようにわかる。
「………」
顔を赤くしながらそれに耐えるサヤ。
そんなサヤを見て、俺は思わず笑みがこぼれる。
「サヤはティアを感じたんだね?」
俺は穏やかな声で尋ねた。
サヤはその声にこくりとうなずく。
「うん、夢の内容は何にも覚えていないんだけど、ティアだったと思う」
そう言って、何かを思い出そうとするようにしばらく考えるサヤ。
そして眉間に少し八の字を寄せるようにして言葉を続ける。
「でもね、ティアはあれよ」
?
「ちょっと怒っていたわよ。何に対してかわからないけど」
ティアが怒っている?
泣いていたのではなくて?
「悲しんでもいたけど、最終的には怒っていたわね、あれ」
……駄目だわからない。
不安や疑問で頭が混乱しているだろう俺はしばらく黙りこんだ。
そんな俺をいつの間にかじっと睨みつけるように見つめるサヤがいた。
「まーた何か不安にでも思っていたの?」
俺は少し情けない顔をして笑い返した。
図星だから。
すると、俺の顔にサヤの手が伸びてくる。
「……!ッツ!」
デコピンをされた。
結構痛くて、思わず額を抑える。
「心配し過ぎよ、トーヤ!これで忘れちゃいなさい」
いや、サヤ、いくらなんでも痛みで忘れろって……。
これ、本気でやったね。
痛い……確かに痛さで今ちょっと忘れているが、痛い。
「そんなことより朝食を食べに行こう!」
俺が何か言い出すよりも早く、サヤが笑顔で俺を部屋から追い出すように押してくる。
「ほらほら早く♪昨日の夕食が美味しかったから、私、朝食も楽しみなんだ♪」
サヤにとってはティアのことより朝食の方が大事らしい。
俺は苦笑を浮かべつつ、サヤに促されるまま、宿屋の食堂へ向かった。
昨晩の不安が完全に消えた訳ではないけれど、それでも気持ちが大分楽になった俺がいた。
道久が言うようにサヤなら大丈夫かもしれない。
うん、サヤならどんなことも笑って吹き飛ばしてしまいそうだ。
俺はサヤの意思に任せよう。
ようやく心が落ち着いた俺は、先に朝食をとる道久と合流し、3人で美味しく朝食を頂きました。
皆様初めまして。
アヤメです。
本日は私が後書きをさせて頂きます。
私はオウシュ様に命令されて肖像画の処分をしていたわけですが…。
あれは相当の数です。
いったい何千部刷られていたのでしょう?
この町は大きい町とは決していえないと思うのですが…。
もしや、保存用と鑑賞用、もしくは布教活動的な……。
わが主人ながら恐ろしいです、その魅力。
そんなとき、オウシュ様からサヤ様を宿へ案内しろとの嬉しいご命令。
早速サヤ様に宿のご案内をしましたが、特にお風呂に喜ばれていたようです。
シャワー部分はこのように使うのですよと説明すると、それはもう目を輝かせまして。
特に、シャワーの柄のボタンに興味があったようですね。
ボタンを押すと水力の調整ができるのですが、もう1つの機能としてミストシャワーがあります。
あれは私も試したことありますが、結構気持ちが良いのですよね。
少しお疲れのご様子だったサヤ様でしたので、これだけで癒されるのなら私も嬉しい限りです。
これでまた肖像画処分にも精が出るというもの。
後少しです。頑張りましょう、私。