プロローグ
幼い頃から、血の匂いに敏感だった⋯
「っ⋯」
「ママ⋯怪我したの?」
「あら、よくわかったわね」
「⋯大丈夫?」
「紙で少し切っただけだから、大丈夫よ」
「良かった⋯」
それが普通じゃないと気付いたのは、中学生の頃だった⋯
「ねぇ、どこか怪我してる?」
「⋯?さっきささくれから血が出たけど⋯何で?」
「⋯血の匂いがして⋯」
「いや、わかるわけないじゃん!冗談やめてよ、気持ち悪い⋯」
友達に言われたその言葉が、高校生になった今でも心にトゲを残している⋯
「⋯ねぇ、お母さん⋯私って、気持ち悪いのかな?」
「そうね⋯気持ち悪いわけじゃないけれど、あなたの特別な能力なのよ⋯だから、周りには内緒にしておいた方が良いわ」
「⋯特別な、能力⋯」
そんな能力、何に使えるんだろう⋯
こんな能力、要らない⋯
私は、普通じゃない。
私は、普通が良かった。
何も知らない幼少期は、明るく元気に笑っていた。
能力の事を知ってからの学生時代は、暗く笑う事もなくなった。
そして、大人になった今は⋯
周りに合わせて笑う事が、上手になった。
私は、誰かを愛せない。
私は、誰かを愛する事が怖い。
私は、誰かを愛してはいけない。
ずっと、そう思っていた。
これからも、そうだと思っていた。
なのに⋯
あなたと、出会ってしまった。
あなたに、惹かれてしまった。
あなたを、愛してしまった。
私は、あなたに愛されたい。
私は、あなたと幸せになりたい。
私は⋯幸せになれるだろうか?
あなたと、一緒に⋯




