罪証を消し去るドットーレ
血色の夕暮れと白亜の残り火
北方の空は病的な朱橙色に染まり、まるで天蓋そのものが腐敗し血を流しているかのようだった。これは夕焼けではない。「白亜の塔」の方角から立ち昇る、奇妙な化学物質の燃焼で生まれた有毒な煙雲である。火炎が空高く噴き上がり、数十里離れた場所からでも大地の微細な震動、そして風に乗ってますます刺激的になる焦げ臭さと甘ったるい血のにおいが感じられた。
寒氷の女皇の怒りは、博士ドットーレが予想していたよりもはるかに速く、徹底的なものだった。「公子」タルタリヤと「召使」アルレッキーノが敗退した後、スネジナヤは執行官による小規模な戦術試探をこれ以上送らず、国家総力戦機構の中核戦力を直接起動した——統括官「道化師」ピエロの指揮のもと、スネジナヤ最精鋭の集団軍団を動員し、膨大な新型戦闘機械を配属させ、真の意味での「鉄の奔流」を形成した。この大軍の目標は明確極まりない。反乱軍を打ち潰し、失地を奪回し、裏切り者とその同盟者を最も厳しい手段で懲罰すること。
伊達政宗が自慢とする奥州騎鉄と鉄砲足軽は、故郷の山地や林間では一方的に優位を誇れたかもしれない。だがこの広大無辺で極寒のスネジナヤ永久凍土の大地で、時代を超越した機械化軍団の正面突撃を前に、その劣位は無限に拡大された。数十度に及ぶ零下の寒さと耳をつんざくエンジンの轟音に馬は恐怖で狂い、鉄砲の射程と発射速度は移動要塞のような装甲戦車と覆い尽くす砲火の前ではあまりに脆弱。武士の刀剣と武勇は、鉄の巨獣の中から冷静に命を刈り取る遠隔操作員には届くことさえなかった。
戦線はスネジナヤの鉄の奔流に踏み潰され、驚くほどの速さで崩壊した。伊達政宗自らが陣取る前線指揮所は、三日目の未明、高速で縦深突撃したスネジナヤ装甲分隊に位置を捕捉され包囲された。片目の竜は、結局この異国の氷原で飛翔することは叶わなかった。最後の瞬間を目撃した少数の敗走兵の証言によると、政宗公は漆黒の南蛮胴具足を身にまとい、名刀「烛台切光忠」を振るい、傷ついた猛虎のように燃え盛る鉄の残骸と舞い落ちる雪の中を縦横に駆け回った。その姿は依然として健闘に満ち、刀光は冷徹に輝き、迫り来るスネジナヤ将校を数名斬り伏せた。だが個人の武勇は、戦争機械の絶対的な力を前に、氷河に叩きつけられる浪花のように儚い。
三里以上離れた場所から発射されたスネジナヤ自走砲の精密な榴弾が、すべてに終止符を打った。激しい爆発が臨時指揮所と周囲で抵抗を続ける伊達親衛隊を丸ごと飲み込む。火炎と鉄の破片が四方に飛散し、スネジナヤ兵が慎重に近づいた時には、焦げた大きな穴、歪んだ金属の残骸、そして凍土の雪と灰に混ざり合った判別不可能な遺物だけが残っていた。第六天魔王の野望の海外拠点、奥州の龍・伊達政宗は、こうしてスネジナヤの氷原に討ち取られ、遺骨すら見つからなくなった。
ほぼ同時刻、崩壊寸前の別の防衛線で、伊達家一の知謀の軍師であり政宗公のもう片方の目、片倉小十郎景綱も命の最期を迎えた。彼は残存する伊達部隊の撤退と阻止陣の編成を図り、「白亜の塔」内部で最後のデータ移行を続けるドットーレの時間を稼ごうとした。だが時勢は既に傾き、絶対的な破壊力を前にどんな計略も無力だった。彼の臨時阻止陣地は、スネジナヤの空中哨戒武装の激しい爆撃と地上重型戦車の突撃に襲われた。
小十郎は部下の先に逃げるよう懇願する声を拒否した。軍師の袍服を脱ぎ捨て、質素な武士鎧を身にまとい太刀を握り締めた。最期の瞬間、彼は奥州の山々、主君政宗の雄大な誓い、白亜の塔の下に眠る無数の無言の亡霊を思い浮かべたのかもしれない。スネジナヤの鉄の奔流がこの脆い防衛線を踏み越える時、人々は片倉小十郎が突撃する戦車に向かって立ち、刀を空に掲げる姿を目にした。その身影はたちまち爆発の火と履帯が巻き上げた雪泥に飲み込まれた。伊達家の知恵の魂は主君と同じく、この冷たい大地に永遠に眠ることになった。
伊達勢力の崩壊は雪崩のように急速だった。中心の指導者を失った残存部隊は殲滅されるか四散して逃亡、少数は捕虜となった。スネジナヤ軍は歩みを止めず、矛先を反乱の核心——不吉な煙を吐き続ける「白亜の塔」に向けた。
砦内部には、終末が迫る恐怖と死の静寂が入り混じった光景が広がっていた。外の砲撃音はだんだん近づき、大地は絶え間なく震動し続ける。塔内に残るのは緊急対応専用で最も冷酷非情なドットーレの分身体であり、中央制御室に佇む。巨大な水晶パネルに映る外部監視画面は次々と砂嵐状のノイズに切り替わるか、火を噴くスネジナヤ戦車と進軍する兵士の姿で静止する。
仮面の下の顔に一切の表情はなく、高速演算と状況評価の冷たい光だけが瞳に煌めく。伊達政宗戦死、片倉小十郎討死、外周防衛線全崩壊……これら情報は冷たい水流のように彼の思考中枢に流れ込む。この砦、内部の研究資料・実験サンプル、特に内情を知りすぎる生きた「実験体」と下級研究員たちは、もう移転不可能な極めて危険な負の資産になったと彼は悟った。
絶対にスネジナヤの公権、特に他の執行官たちの手に渡ってはならない。それは裁きと名声の失墜を意味するだけでなく、本体や他の分身体の長期的で隠密な計画を邪魔する可能性がある。
「浄化プロトコル起動、最高優先度に設定せよ」ドットーレの声が拡声器を通じて砦の隅々まで響き渡り、人間的な感情を一切含まない冷たさに満ちていた。
命令が発令された瞬間、人間の地獄であった「白亜の塔」は真の意味での屠殺場と焼却炉に変貌した。
実験素材や予備の生体部材として確保されたモンド・スネジナヤの民、その他種族の囚人が収監された牢屋では、天井や換気ダクトに事前設置された噴出口から高濃度の神経毒が一気に噴出する。絶望の叫び声や鉄扉を叩く音は十数秒のうちに弱まり、やがて完全な静寂に包まれる。無実の男女老幼は激しい苦痛の中で身を丸めて倒れ、命が軽々しく消し去られた。
多重防壁に守られた「高危険サンプル区」と「病原体コア庫」では自動消滅プログラムが起動する。特殊な強酸が貯蔵槽の底から溢れ出し培養中の細菌・ウイルス株を溶かし尽くし、高温炉が限界まで稼働して変異組織サンプルや研究原本(バックアップデータは秘密ルートで事前移送済み)を焼き払い煙と灰に変え、研究拠点の要所に仕掛けられた爆破装置が起爆し精密機器と証拠を破壊する。
生きた実験体が残る研究室や解剖室では最も残酷な光景が展開される。ドットーレに絶対忠誠を誓う改造兵士と自律機械が消滅指令を受け、エネルギー兵器や刃物を手に無表情に各部屋に進入し、息のある生命体すべてを無差別に処刑する。手術台に固定され息絶え絶えの者、隅で震えて縮こまる者を問わず命を絶つ。刃が肉を切り裂く鈍い音、エネルギー光線が焼き切るシュー音が、かつての呻き声に代わって響く。
ドットーレ自身は制御室で主要消滅プログラムの起動完了を確認後、自分だけが知る砦最深部へ通じる緊急脱出通路へ余裕を持って進む。通路の入口は背後で静かに閉鎖され、厚い合金扉が落下し事前設置された爆破装置と連結される。
長い地下坑道を進み、砦から数里離れた隠し出口に辿り着いた時、背後から連続して鈍い爆発音が轟く。振り返ると、巨大な「白亜の塔」が内部連鎖爆発と助燃剤の炎に包まれ巨大な松明のように燃え上がり、全焼していた。空半分を照らす火柱は舞い落ちる雪を血色に染め、様々な物質が燃えて生まれる奇妙な色彩と刺激臭を含んだ濃い煙が立ち昇る。まるで塔に積もったすべての罪と苦しみが、この瞬間に焼き払われたかのようだ。
ドットーレは最後に滅びの光景を眺め、惜しみや動揺の色は一切なく、厄介事を完全に切り離した淡々とした気持ちだけが宿る。そのまま茫々たる吹雪と濃くなる夜闇の中に身を沈め、数度身を翻すと姿は跡形もなく消える。追跡痕跡は事前に仕掛けた妨害装置と後手策ですべて消去済みだ。
スネジナヤ軍の先鋒部隊が最後の微弱な抵抗を突破し砦エリアに突入した時、眼前に広がるのは燃え盛る廃墟と毒煙だけだった。防護装備を身に着けた兵士たちもすぐに体調不良を訴え、指揮官は深入りを一時停止し外周制圧と消火を優先する命令を下さざるを得なくなった。
大火は丸三日三晩燃え続け、やっと収まった。残されたのは完全に焦げて歪んだ建物の骨格、溶けて固まった奇妙な金属塊、灰や遺骨の破片、判別不可能な化学物質が混ざり固まった不気味な大地だ。完全な遺体も価値のある文書・サンプルも一片の証拠すら残っていない。
廃墟上空に長く漂い続ける不快な焦げ臭と甘ったるいにおい、そして雪でさえ覆い隠せない深い絶望感だけが、ここで繰り広げられた惨絶な出来事を物語っていた。
「白亜の塔」は静寂な焦土と化し、「一三七部隊」は物理的に完全に抹消された。伊達家の勢力はまるで氷原に存在しなかったかのように雲散霧消する。反乱を企て地獄を築き上げ自ら焼き払った元凶・博士ドットーレは、雪に落ちた墨汁のように姿を消す。スネジナヤの公式告示は彼を極悪な逃亡反逆者として天文数字の懸賞金を設定するが、その後数年間、彼のいずれかの分身体の行方は誰にも確認されなかった。
この短い反乱とそれに続く血の粛清、そして自壊劇は、やがてスネジナヤの寒さと新たな事件に覆い隠される。ごく少数の知り合いだけが夜の夢で、燃え上がる白亜の塔、唐突に終わった災厄、そして埋もれた無数の名もなき亡魂を思い出す。テイワット大陸の裏歴史には、氷原の反旗、異国の陰謀、消え去った実験にまつわる曖昧で恐ろしい伝説が静かに刻まれた。真実は灰の下に深く埋もれたまま。




