彼らは反戦同盟に加わることを選んだ
捕虜収容所・帰心
璃月、天衡山の麓に捕虜収容所が設けられていた。
四方を山に囲まれたこの谷は外界から隔絶され、外へ通じる道は細い山道一本のみだ。谷内には整然と木造の兵舎が立ち並び、炊煙が立ち昇り、鶏や犬の鳴き声が響く。捕虜収容所というより、静かな村のようである。
だがここに住む者たちは、かつての敵だった。
高永康弘は粗末な木小屋に座り、前には小さな机、机の上には一杯の緑茶が置かれている。立ち昇る茶の香りは窓から聞こえる鳥のさえずりと絡み合い、この春の午後をひときわ穏やかにしていた。
彼はここに丸二ヶ月間暮らしている。
二ヶ月前、彼は織田家の猛将、六天大虎の一人として、平壌城下でテイワットの女傑たちと七十合戦を繰り広げていた。二ヶ月前、彼は捕虜となり、見知らぬ異国へ連行され、必ず死ぬと覚悟していた。
だが今——
彼は茶碗を持ち上げ、そっと啜る。お茶は温かく、淡い甘みが広がる。茶碗を置き、窓の外を眺める。外では、かつての織田軍兵士たちが畑で働き、笑顔を浮かべている。遠くでは小田成叡が数人の璃月兵と槍の稽古をしており、木槍を使っているが、一挙一動真剣そのものだ。
「高永殿」
戸口から声が響く。高永康弘が振り向くと、見覚えのある人物が入ってきた。
小田成叡である。
かつての猛将である彼は、今では質素な木綿の服をまとい、珍しく笑みを浮かべている。手に二本の木槍を持ち、高永康弘の前まで歩み寄り、一本を手渡した。
「来い、稽古をつけてくれ」
高永康弘は木槍を受け取り立ち上がる。二人は外の広場へ出て、構えを取る。
槍が往き交い、木同士がぶつかって「ぱちぱち」と音を立てる。技は依然として鋭いが、戦場にあった殺気は消え、ただの稽古、暇つぶしに過ぎない。
半時ほど稽古した後、二人は槍を収め、畦に座って休む。
「高永殿」小田成叡がふと口を開く、「故郷が恋しいか?」
高永康弘はしばらく黙った後、ゆっくりと頷いた。
「恋しい」
小田成叡も黙り込む。
二人は遠くの山々、畑で働く人々の姿を眺め、しばらく言葉を失う。
「だが帰ったらどうする?」高永康弘が突然語る、「我々は敗軍の将、捕虜の恥を背負い、一生頭を上げられない」
小田成叡は彼を見つめ、黙ったままだ。
「それに……」高永康弘の声はさらに小さくなる、「帰ったとして、こんな暮らしができるだろうか?飢えず、着るものに困らず、殴られもせず、家畜のように扱われもしない日々……」
言葉を最後まで言わなかったが、小田成叡にはその意味が伝わった。
この二ヶ月、彼らは生涯で最も不思議な時間を過ごした。鞭も鎖も飢餓もない。璃月の民は食料を与え、衣を与え、傷を治してくれた。鍾離という神は、自ら彼らのもとを訪ね、講義をしてくれた。
「お前たちは何のために戦うのか?」初めて訪れた時、鍾離はこう問った。
彼らは答えられなかった。
「織田家のためか?」鍾離は首を振る、「織田信長は死に、織田信忠も死んだ。誰のために戦う?」
「栄光のためか?」鍾離は再び首を振る、「栄光とは何か?人を殺すことか?火を放つことか?民の首を酒盃に加工することか?」
彼らは返す言葉もなかった。
「お前たちは武士だ」鍾離の声は穏やかだが、重槌のように心を叩く、「武士の責務は弱きを守り、平和を保ち、民が安んじて暮らせるようにすることだ。野心家に従って他国を侵略し、無辜の者を屠ることではない」
その後も鍾離は何度も足を運んだ。璃月の歴史、テイワット七国の物語、故郷を守るため戦った英雄たちの話を語ってくれる。淡々とした語り口なのに、聞く者の胸を熱くさせる。
「反戦同盟に加わらないか?」最後に訪れた時、鍾離はこう尋ねた。
高永康弘と小田成叡は顔を見合わせる。
「反戦同盟……何だ?」
「かつて敵同士だった者たちの集まりだ」鍾離は説明する、「彼らはかつて織田家のため戦い、戦場で我々と対峙した。だが今、戦争の真実を知り、自らの経験をもって多くの人に武器を置き、戦いを止めるよう説く」
彼は一瞬黙り、二人に視線を向ける。「加わるか?」
高永康弘は長い間沈黙した。
自分が殺した人々、平壌城下に倒れた影、層岩巨淵で無惨に命を落とした顔々を思い浮かべる。浮羽湾における織田信忠の暴虐、酒盃とされた首々を思い出す。
この二ヶ月、食事を届けてくれた璃月兵の笑顔、傷を治してくれた医者の優しさ、鍾離という神の声に宿る憐れみを思い返す。
やっと口を開いた。
「加わる」
小田成叡も頷いた。
三日後、捕虜収容所の門前。
高永康弘と小田成叡は門に立ち、新しく支給された服を身にまとっている——囚人服ではなく、見送りに来た璃月兵と同じ普通の木綿の服だ。
背後には、同じく反戦同盟に加わることを選んだ数百人の元織田軍兵士が整列している。恐れのない顔には、言葉にできない複雑な思いが宿る。期待か、不安か、それとも別の何かか?
鍾離は門に立ち、静かに彼らを見つめる。
「これより朝鮮へ向かう道は険難に満ちている」彼は語る、「戦場で命を落とすか、同胞の刃に倒れるかもしれない。生きて戻ったとしても、故郷に受け入れられるとは限らない。覚悟はできているか?」
高永康弘は一歩前に出て、抱拳の礼を取る。
「先生、覚悟はできております」
声は穏やかだが、かつてないほどの強い決意を宿していた。
「以前は武士の栄光とは、主君のため命を尽くすことだと思っていました。だがこの二ヶ月、一つの真理を悟りました——真の栄光とは人を殺すことではなく、人を救うこと。侵略ではなく、守ることです」
遠く、朝鮮、戦火の広がる地の方を眺める。
「織田信忠は浮羽湾で七万人を虐殺し、その首を酒盃にしました。このような男に忠誠を捧げる価値はありません。豊臣秀吉は己の野心のため、無数の民を流浪させ、多くの家庭を壊しました。この戦いに戦う価値はない」
鍾離の方へ振り返る。
「だが朝鮮の民は無辜です。倭寇に屠られた人々も無辜です。戦場で一人の同胞に刀を置かせることができれば、一命を救える。戦後、多くの人に戦争の真実を伝えられれば、壊れる家庭を減らせる」
深く息を吸い、厳かに告げる。
「先生、私は行きたい。織田家のためでも、栄光のためでもない。ただ——贖罪のために」
鍾離は彼を見つめ、金色の瞳に安らぎがよぎる。
「よろしい」
手を上げ、懐から二枚の札を取り出し、高永康弘と小田成叡に渡す。
「これは璃月志願軍の札だ。今日より、お前たちは璃月志願軍の一員となる。任務は戦うことではなく、朝鮮へ赴き、豊臣秀吉のため戦う同胞に武器を捨てるよう説くことだ」
高永康弘は札を受け取る。ずっしりと重いが、不思議と心が落ち着く。
小田成叡も札を受け取り、ふと問うた。「先生……我々は日本へ帰れますか?」
鍾離はしばらく黙り、ゆっくり答える。
「戦争が終わるのを待て。豊臣秀吉が亡くなり、野心家たちがすべて倒れ、日本が他国を侵略しなくなった時。その時、帰りたければ誰も妨げはしない」
小田成叡の目に涙が浮かぶ。
「ありがとうございます、先生」
鍾離は軽く頷く。
「行け。李如松将軍は碧蹄館で援軍を待っている。早く到着すれば、救える命が増える」
高永康弘と小田成叡は振り向き、出発する隊列へ歩を進める。
背後から再び鍾離の声が届く。
「覚えておけ——お前たちは死に行くのではない。人を救いに行くのだ。生きて戻れ」
高永康弘は振り返り、深く一揖する。
そして大股に前へ進み、二度と振り向かなかった。
隊列は次第に遠ざかり、山々の間に消えていく。
鍾離はその場に立ち、その方向を長らく見つめ続けた。
いつの間にか八重神子が傍らに来て、団扇をそっと扇ぐ。
「先生、本当に彼らを信じるのですか?」
鍾離は振り返らない。
「何を信じると?」
「本心から我々を助けると、戦場に戻った途端裏切らないと?」
鍾離はしばらく沈黙し、ゆっくり語る。
「私は彼らを信じはしない」
八重神子はきょっと目を見開く。
「だが人の心は信じる」鍾離は続ける、「人の心は変わる。憎しみは赦しへ、殺戮は守護へと変わりうる。機会、時間、善意さえ与えれば」
やっと振り向き、八重神子を見つめる。
「あなたも、影も、璃月の誰もがそうだ。かつて一人きりで迷い、なぜ戦うのか分からなかった。今はどうだ?」
八重神子は黙り込む。
鍾離は彼女の脇を通り、ゆっくり歩み去る。
「彼らに機会を与えよ。かつて誰かがあなたに機会を与えたように」
夕陽の下、彼の姿は遠ざかっていく。
八重神子はその場に立ち、長らく言葉もなくその方を眺める。
最後に、柔らかく笑った。
「年寄り、なかなかうまいことを言うじゃない」
団扇を扇ぎながら、彼女も振り向いて去っていく。
捕虜収容所では炊煙が立ち昇り、かすかな歌声が漂う。
それは反戦同盟の歌。かつての敵、今は仲間たちが共に歌う歌だ。
歌声は遠くへ、山々を越え、戦火に焼かれた大地へと流れていく。
新しい希望が、芽吹き始めている。




