シロネン改修船
鉄甲、波を砕く
ナタ、聖火競技場の廃墟。
戦争の硝煙はまだ晴れやかに消えてはいなかったが、復旧の作業はすでに始まっていた。璃月の兵士たちはナタの民衆と共に瓦礫を片付け、負傷者を運び、残り火を消し止めている。夕暮れの光が、血と火に染まったばかりの大地に降り注ぎ、すべてを金紅色に染め上げる。
空は競技場の高い台の上に立ち、その光景を眺めていた。
戦争は終わった。織田信忠は死に、配下の七万の兵は滅び去った。逃げ惑った残兵も璃月軍の追撃により、死ぬか降伏するかのどちらかとなった。数か月に及んだナタ防衛戦は、ついに終止符を打たれた。
だが空の脳裏には、もう一つの戦場が浮かんでいた。
朝鮮半島。鴨緑江のほとり。李舜臣の亀船。
勇敢な朝鮮水軍の将兵たちは、今も粗末な板屋船で倭寇の精鋭艦隊と戦っている。あらゆる海戦は命を懸けた闘いであり、あらゆる勝利は血で買われたものだ。
「何を考えているの?」
澄んだ声が背後から響いた。
空が振り向くと、短髪の少女が歩いてくる。顔には硝煙の跡が残り、油で汚れた作業着を身にまとっているが、瞳は二つの星のように鮮やかに輝いていた。
シロネン。ナタ随一の天才技術者、火焔放射器の発明者である。
「朝鮮のことを考えていた」空は素直に答えた。「李舜臣将軍と、彼の亀船のことだ」
シロネンは空の隣まで歩み、遠方——海の方、朝鮮の方角を眺めた。
「話は聞いている」彼女は言う。「倭寇はナタと同じように、朝鮮でも焼き討ちと略奪を繰り返している。李将軍は十数隻の粗末な船で数百隻の倭船を相手に周旋し、それでも勝利を収めている」
空の唇に微かな笑みが浮かぶ。「会ったことはある?」
「ない」シロネンは首を振った。「だが物語は聞いた。たった一人、十数隻の船で倭寇の水軍を海上に封じ込め、陸戦への援軍を断った。そんな人……」
彼女は一瞬言葉を止め、瞳に光が宿った。「会ってみたい」
空は彼女を見つめた。
シロネンも空を見返し、視線が交わる。
「連れて行ってくれる?」
三日後、朝鮮半島、麗水港。
李舜臣は埠頭に立ち、ゆっくりと接岸する一艘の船を眺めていた。船は大きくはないが、喫水が深く、明らかに重い荷物を積んでいる。
船が着岸し、踏板が下ろされる。金髪の少年が真っ先に上陸した、空である。
「李将軍!」空は笑みを浮かべ、大股に歩み寄る。
李舜臣は迎えて手を取り合った。「空殿! なぜこちらへ? ナタの戦いは……」
「終わりました」空は告げる。「織田信忠は討ち取られ、軍は全滅しました」
李舜臣は一瞬呆然としたのち、声を上げて大笑いした。「よし、よし、見事だ! あの屠夫がついに果てたか!」
笑いが収まると、彼は空の後ろに立つ短髪の少女に気づいた。彼女は船辺に立ち、水夫たちに奇妙な荷物——鉄板、鉄鎖、巨大な歯車、名も知らぬ部品——を運ばせている。
「この方は……?」李舜臣が不思議そうに問う。
空は脇に身を引き紹介した。「シロネン、ナタの技術者です。今回のナタの勝利には彼女の力が大きい。彼女の火焔放射器は敵兵二千人を焼き払い、織田軍を戦慄させました」
李舜臣の目が輝いた。
彼は急ぎシロネンのもとへ進み、厳かに抱拳礼を取った。「殿、久しくその名を聞いております!」
シロネンは慌てて手を振った。「将軍、おやめください。私は……何もしていません」
「何もしていない?」李舜臣は身を起こし、眼光鋭く言う。「二千人の倭寇を焼き払うことが、何もないとは言えまい。謙遜なさるな」
褒められて照れたシロネンは頭を下げて笑った。すぐに顔を上げ、真剣な輝きを瞳に宿した。
「将軍、空からあなたの物語を聞きました。十数隻の亀船で数百隻の倭船に挑み、勝利を収めた。あなたこそ真の英雄です」
李舜臣は首を振った。「英雄とはとんでもない。亀船の堅牢さと将兵の奮戦に恵まれただけのことだ」
シロネンは港に停泊する亀船を眺めた。船体は低く、木製の装甲に覆われ、船首には衝角、両舷には砲門が備わる。確かに堅固だが……
「将軍」彼女は唐突に口を開いた。「船を見せていただけますか?」
李舜臣は一瞬驚いたのち、肯いた。「もちろんだ」
一時間後、シロネンは亀船から降り、興奮と重圧が入り混じった表情を浮かべていた。
「将軍」彼女は遠回しなく話し出す。「船の設計は巧みです。亀の甲の装甲は弓や鉄砲を防ぎ、砲門は砲手を守り、衝角は敵船を突く。しかし……」
「しかし何だ?」李舜臣が問う。
「まだ不十分です」シロネンは率直に述べた。「装甲は木製です。厚くとも火に弱い。倭寇が火矢を放てば、船はたちまち松明と化します。それに砲の数が少なく、射程も短く、持続火力に欠けます。船速も遅く、速い敵船を追えず、包囲からも逃れにくい」
李舜臣は長らく沈黙し、ゆっくりと肯いた。
「殿の言葉は、すべて真実だ。改善したいと願って久しいが、朝鮮は国土が狭く国力も乏しく、工匠も限られる。これらの亀船を造るだけで、国の力は尽きている」
シロネンは彼を見つめた。風霜に刻まれながらも揺るぎない決意を宿した中年の将。彼女はナタで散った戦士、織田軍に虐殺された民衆、火焔放射器の爆発で立ち昇った炎を思い起こす。
彼女は深く息を吸い、決断を下した。
「将軍」彼女は言う。「もし私を信じてくださるなら、これらの船を改修するお手伝いをします」
李舜臣は呆然とした。
「あなた……何と言われた?」
「船を改修します」シロネンは繰り返し、自信に満ちた瞳で語った。「木の装甲を鉄板に換え、砲を新式のものに取り替え、砲門を増設し、船体の形状を改良して速力を高める……ナタでは試せなかった多くの構想があります。ですがここで、将軍のもとで……」
彼女は一瞬止め、笑った。「試してみたいのです」
李舜臣の唇が震えた。言葉を発そうと口を開くが、声は出てこない。
やがて一歩下がり、シロネンに深く一礼した。
「殿の大恩、李某は一生忘れません」
その後一か月、麗水港は巨大な工房へと変貌した。
シロネンは朝鮮の工匠たちを率い、昼夜を問わず働き続けた。設計図を描き、数値を計算し、工事を指揮し、しばしば食事を取る暇もない。李舜臣は腕利きの工匠たちを配し、数百人の兵士に資材運搬を手伝わせた。
最初に改修されるのは、李舜臣の旗艦——鎮海号である。
シロネンの案は大胆だった:元の木製装甲を撤去し、鉄板に張り替える。一枚の大きな鉄板ではなく、無数の小さな鉄片を魚の鱗のように重ね張りする。この構造は防御力を保ちつつ船体を過度に重くせず、損傷箇所だけを交換することも可能だ。
砲も一新された。旧式の大砲は撤去され、明から借りた紅衣大砲が搭載される——射程が長く、威力が大きく、装填も速い。両舷に八門ずつ、船首と船尾に二門ずつ、合計二十門の大砲が備わった。
「これで本当に大丈夫なのか?」工事を監督する老工匠は設計図を見て手を震わせた。「二十門同時に撃てば、船が持つのか?」
シロネンは自信に満ちて答える。「ご安心ください。計算は済ませています。船体は補強済み、反動に耐えられます」
船尾の舵も改良して転回性能を高め、新しい帆を装備して速力を向上させた。さらにナタで使用したものを小型化、安全化した火焔放射装置を考案し、敵兵の乗り込みを防ぐ策とした。
一か月後、最初に改修が完了した鎮海号が進水した時、麗水港全体が歓喜に沸いた。
船は静かに海面に浮かび、陽光の下、鉄の装甲が銀灰色に煌めく。以前より大きく、威厳に満ち、まさに鉄の巨獣のようだ。
李舜臣は埠頭に立ち、その船を眺め、目に涙を浮かべた。
シロネンがそばに歩み寄り、静かに告げる。「将軍、試験航行を始めましょう」
試験航行の結果は、誰の予想をも上回った。
鎮海号は波を切り進み、従来より三成以上速く航行した。転回は驚くほど機敏で、かつて半日かかった動作が、今では十五分で完了する。
最も衝撃的だったのは砲撃試験である。
二十門の紅衣大砲が一斉に轟き、雷鳴のような砲声が響き渡り、濃い硝煙が空に立ち昇る。砲弾は数里先まで飛び、海面に巨大な水柱を打ち上げた。その威力と迫力に、見物人は皆言葉を失った。
「これは本当に船なのか?」老水夫がつぶやいた。「まるで……海上の砦だ……」
李舜臣は船首に立ち、海風を受け、長らく黙り込んだ。
やがて振り向き、シロネンに再び深く一礼した。
「殿」声はしわがれていた。「お礼のしようもございません。戦が終わり次第、王に奏上し、厚く褒賞を差し上げます」
シロネンは慌てて彼を支え起こした。「将軍、おやめください。褒賞のために来たのではありません」
彼女は遠方の水平線、倭寇艦隊が出没する海域を眺めた。
「侵略者たちに知らしめたいだけです」彼女は静かに語る。「この海には、彼らが相手にできぬ者がいると」
李舜臣も同じ方角を眺めた。
夕陽の下、鎮海号の鉄甲が煌めき、静かに海域を守る守護神のようだ。
「殿」彼は唐突に話し出す。「一つ願いがある」
「何なりとお申し付けください、将軍」
「もし……戦が終わったなら、こちらに残ってはいただけまいか?」李舜臣は誠実な眼差しで彼女を見つめる。「朝鮮は小さな国だが、殿のような人材を必要としている。新しい船や砲を研究する工房を建てることもできる。殿が望むもの、私の力の及ぶ限り、すべて用意しよう」
シロネンは一瞬驚いたのち、笑った。
「将軍、戦が終わってから話しましょう」彼女は言う。「今はまだ、戦わねばなりません」
李舜臣は肯いた。
そう、戦いは続く。倭寇は残り、豊臣秀吉は健在、戦争は終わっていない。
だが今、彼らにはより良い船、強大な砲、そして新たな希望が宿った。
一か月後、全ての改修工事が完了した。
十隻の亀船はすべて鉄装甲をまとい、新砲を搭載し、帆と舵も改良された。麗水港に静かに停泊し、眠りについた鉄の巨獣の群れのようだ。
李舜臣は埠頭に立ち、最後に艦隊を閲覧した。
背後には空、初潮小隊、血戦をくぐり抜けた朝鮮将兵たちが並ぶ。眼前には十隻の新生鉄甲船、果てしなく広がる大海原が広がっている。
「諸君」彼は穏やかながら力強い声で呼びかけた。「戦争は終わっていない。侵略者は残り、豊臣秀吉は健在、我らの同胞は苦しんでいる。しかし——」
鉄甲船の方へ手を差し伸べる。「今、我らにはこれらがある! これがあれば勝てる! 侵略者を海へ追い返せる! 子孫に、この苦しみを味あわせずに済む!」
将兵たちは一斉に歓呼した。
シロネンは人混みの中でその光景を眺めた。顔には疲労が滲むが、笑みが浮かんでいる。
空が隣へ歩み寄り、囁いた。「ありがとう、シロネン」
シロネンは振り向く。「何のこと?」
「助力してくれてありがとう」空は鉄の艦隊を眺める。「この船があれば、李将軍は勝てる。朝鮮は守られ、無数の無実の人々の命が救われる」
シロネンはしばらく黙ったのち、柔らかく笑った。
「知ってる? 空」彼女は語る。「私はかつて、発明は楽しみのためだけのものだと思っていた。火焔放射器も鉄の軍艦も、頭の中の空想を形にした遊びに過ぎないと。だが……」
彼女は鉄甲船、歓呼する将兵、まもなく戦火が広がる海を眺めた。
「だが今、私は知った。これらの創造物は、人を救えるのだと」
空を振り向き、瞳を輝かせる。
「それで十分なの」
空も笑った。
「うん、それで十分だ」
夕日が海面へ沈み、空は金紅に染まる。潮風が吹き、塩気を運び、遠くから微かな砲声が漂ってくる。
戦争は続いている。
だが、希望は灯された。




