ナタ部族殲滅戦
ナタの暴虐
ナタ、浮羽の湾。
かつて静かだったこの湾は、今や織田信忠の臨時王城となっていた。三日前、彼の船団が璃月海域から無様に撤退した時、誰もが織田家の若き当主は恥じて日本へ引き上げると思っていた。だが誰も予想しなかった——彼がこの地に留まり、さらなる血に塗れた復讐を開始することを。
「ナタよ……」織田信忠は仮設の天守閣に立ち、足下の見知らぬ土地を眺め、狂気の光を瞳に宿す。「璃月に備えがあるのなら、まずお前たちで腹を満たそう」
背後では九万八千の大軍が上陸している。織田家最後の精鋭たちで、本来は璃月へ向ける予定だった兵力が、無防備なこの地に一気に注がれた。
「公子」側近の一人が進み出て、低い声で報告する。「斥候の報によれば、前方百里の範囲に六つの部族があり、いずれもナタの先住民です。彼らは……我々の来襲を知らない様子です」
信忠の唇に残酷な笑みが浮かぶ。
「知らないのなら……永遠に知らないままにしてやれ」
浮羽の湾周辺には、六つのナタ先住民の部族が点在していた。彼らは代々この地に住み、漁と狩りで生き、争いを好まず暮らしてきた。遠い戦争、海の向こうから来た侵略者の話は聞いていたが、その侵略者が自らの故郷に迫るなど、夢にも思わなかった。
最初の部族は、一夜にして地図から消え去った。
織田軍の攻撃に予兆は一切なかった。未明、部族の民が眠りについている頃、数千人の武装した兵士が波のように押し寄せる。茅屋に火が放たれ、逃げ遅れた者は刀で薙ぎ倒され、脱出した者は矢で射殺される。泣き叫び、悲鳴、炎のはぜる音が地獄の調べとなって響いた。
部族の長——六十歳を超えた老人は、粗末な石斧を手に飛び出し、三人の武士に囲まれた。石斧は一人の武士の肩鎧に当たり火花を散らすが、傷一つつけることはできない。次の瞬間、三本の刀が同時に老人の体を貫いた。
老人が倒れる時、瞳は大きく開いたまま、燃え盛る故郷を見つめていた。
夜明け、織田信忠は灰と死体の上を踏み、老人の遺体の前まで歩み寄る。しゃがみ込み、皺だらけの顔を眺めて、突然笑い出す。
「酒を持て」
側近が酒壺を渡す。信忠は杯に注ぎ、まず自ら飲み干す。それから腰の短刀を抜き、身をかがめ——
刀が振り下ろされた。
老人の首が刎ねられ、血が信忠の手を染める。彼は気にも留めず、首を掴んで立ち上がり、周囲の兵士に高らかに呼びかけた。
「これが反抗者の末路だ! 死ぬだけではない、死んだ後も我が杯となるのだ!」
兵士たちは獣のように歓声を上げた。
信忠は首を背後の細工師に渡す。「綺麗に処理し、縁に金を張れ。今宵、諸将と共にこの杯で飲もう」
細工師は震えながら受け取り、顔を上げることもできなかった。
二番目の部族は三日目に滅びた。
三番目の部族は五日目。
四番、五番、六番……
わずか半月のうちに、浮羽の湾周辺の六つの部族はすべて虐殺され尽くした。
各部族の長は首を刎ねられ、酒盃に加工される。六つの首、六つの金縁の髑髏杯が、天守閣の宴席に整然と並べられた。
「諸君!」信忠は髑髏杯の一つを掲げ、中にはナタから略奪した美酒が満たされている。「偉大なる父、織田信長に乾杯! 彼の果たせなかった覇業に乾杯! これから征服するこの大地に乾杯!」
宴席では、共に逃げてきた将軍たちが杯を上げ飲み交わす。狂信的な忠誠を宿す者もいれば、捉えがたい恐怖を隠す者もいた。
かつて璃月、朝鮮、無数の戦場を跋扈した織田軍は、今や残兵に過ぎない。だが彼らの手に握られた刀は、依然として人を殺すことができる。
虐殺は続いた。
部族を滅ぼすたび、織田軍は物資を略奪する。食糧、家畜、鉱物、そして女たち。
生き残った若い女たちは臨時の収容所に閉じ込められ、兵士たちの慰み物となった。少しでも抵抗すれば即座に斬殺され、死体は海へ捨てられ鮫の餌となる。
半月足らずで、七つの部族、七万の平民が刀の下に命を落とした。
浮羽の湾の海水は赤く染まった。岸辺の砂浜には無数の損壊した死体が放置され、野犬に食われるままにされる。空気には腐臭と血の臭いが充満し、目を開けていられないほどだ。
織田信忠は、この修羅場の中心に立ち、首の杯を掲げて青白い月に向かい、高らかに笑い続けた。
ナタの奥地、火神宮。
マヴィカは聖火壇の前に立ち、両手を固く握り締めている。目の前には届いたばかりの戦報が置かれ、一行一行が刃となって彼女の心を突き刺す。
「浮羽の湾六部族……全滅……長は皆斬首……平民死者七万……」
彼女の手は震えていた。
火神として、彼女は戦争も死も、数多の凄惨な光景を見てきた。だがこれほど残酷で、人の心を失った行いを見たことはない——いや、想像すらしなかった。
「織田信忠……」彼女はその名を呟き、声はひどくしゃがれている。
背後の侍従が低く語る。「陛下、織田軍はさらに東へ進軍を続けています。兵力は十万近く、装備も整っており、散らばった我々の部族では食い止められません。遅くとも一ヶ月後には火神宮へ到達します」
マヴィカは瞳を閉じる。
侍従の言葉は事実だ。ナタの各部族はそれぞれ独立し、統一された軍を持たない。織田信忠のような極悪非道な侵略者を前に、民は屠られる小羊に等しい。
だが、自らの民が虐殺されるのを見て見ぬふりはできない。
瞳を開くと、炎が宿る——本物の火、火神の力が体内で沸き立つ。
「伝令を送れ。全部族は火神宮へ集結せよ。来られる者はすべて来い。来られない者は……現地で抵抗を組織し、時間を稼げ」
侍従は礼をして退いた。
マヴィカは振り向き、巨大な銅鏡の前へ進む。これは普通の鏡ではなく、歴代火神から受け継がれた通信の法器で、テイワット七国の同盟者と連絡を取ることができる。
手を鏡面に押し当てる。掌から炎が湧き出し、鏡へ流れ込む。
鏡面に波紋が広がり、次第に一人の姿が浮かび上がる。
金色の瞳、山のように揺るぎない佇まい。
鐘離だ。
「鐘離先生」マヴィカの声は平静を保っているが、よく聞けば微かな震えがある。「ナタは助力を必要としています」
鐘離の眉が少し寄る。「何事か?」
マヴィカは深く息を吸い、戦報の内容をすべて語り伝える。六つの部族、七人の長、七万の平民……髑髏の酒盃、暴虐の数々、凄惨な状況。
彼女は誇張しない。事実だけで十分に慄然とさせるものだった。
話を聞き終えた鐘離は、長い間黙り込んだ。
あまりに長く、マヴィカは通信が途切れたのかと思った。
そして彼が口を開く。
「織田信忠は……父である信長よりも狂っている」声は穏やかだが、金色の瞳に冷たい光が走る。「あまりに狂気に囚われ、人として守るべき最低限の線すら捨て去った」
マヴィカは歯を食いしばる。「鐘離先生、璃月も戦争が終わったばかりで、休養が必要なことは承知しています。だけど私は本当に……助けが必要です。民が虐殺されているのに、私は……彼らを守ることすらできない」
鐘離はゆっくりと頷く。
「マヴィカ、火神よ」彼は語る。「覚えておけ——侵略者が横暴でいられるのは、罪に代償がないと思っているからだ。今こそ、このような凶行にどれほどの報いが待つか、知らしめる時だ」
彼は振り返り、背後の者たちに何か指示を出している様子だ。
しばらくして、再び鏡の前へ戻る。
「璃月は出兵する」彼は告げる。「三万の精鋭が即日出発する。さらにモンド、スメール、稲妻の同盟者にも連絡しよう。テイワット七国は、いかなる国の民が虐げられるのも傍観しない」
マヴィカの瞳に涙が浮かぶ。
「鐘離先生……ありがとうございます……」
「私に礼を言う必要はない」鐘離は首を振る。「正義のために戦う人々に感謝せよ」
通信は途切れた。
マヴィカは鏡の前に立ち、自らの姿を映して見つめる。瞳の炎はますます激しく燃え上がる。
外では警報の角笛が鳴り響く。各部族の戦士たちが火神宮へ集結しつつある。
戦争は終わっていない。
そして今回、織田信忠が相手にするのは、無防備な平民ではない——テイワット全体の怒りだ。
浮羽の湾、天守閣。
織田信忠はまだ酒を飲み続けていた。髑髏杯の酒は三度入れ替えられ、頬は薄く紅潮しているが、思考は明晰なままだ。
「公子」側近が進み出て、低く報告する。「斥候の報によれば、ナタの各部族が火神宮へ集結しています。あの火神は……璃月と連絡を取ったようです」
信忠の笑みが固まる。
「璃月……」彼は呟き、突然大きく笑い出す。「よし、来い! 仇を討つ相手が見つからずにいたところだ!」
立ち上がり、髑髏杯を掲げて将軍たちに高らかに呼びかける。
「諸君! 璃月の者たちが来る! 八万の我が軍を滅ぼした鐘離が、死にに来るのだ!」
将軍たちは顔を見合わせ、同調すべきか迷う。
信忠は気にしない。杯の酒を一気に飲み干すと、髑髏杯を勢いよく地面へ叩きつけた。
「伝令! 軍は総じて戦備せよ! テイワットの者どもに、織田家の武士が最後の一人まで戦う姿を見せてやれ!」
彼の瞳に狂気の炎が燃える。
その炎は、マヴィカの宿す炎とはまったく異なるものだった。




