表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
71/75

75.雪の朝

 クリスマスの次の日。


 朝。


 目が覚めた。


 部屋の中は静か。


 あやめは布団の中で少しぼんやりする。


 そして。


 カーテンの隙間が白いことに気付いた。


「……?」


 起き上がる。


 カーテンを開ける。


 外を見る。


「雪です」


 屋根。


 道路。


 庭。


 うっすら白い。


 積もっている。


「三センチくらいですかね」


 この辺りは、あまり雪が降らない。


 だから。


 ちょっと嬉しい。


 あやめは急いで着替える。


 外へ出た。


 空気は冷たい。


 吐く息が白い。


 そして。


 地面。


 誰の足跡もない。


「……」


 あやめは一歩。


 踏み出す。


 サク。


 白い雪の上に。


 自分の足跡。


「おお」


 もう一歩。


 サク。


 また足跡。


「なんか」


「楽しいですね」


 あやめは少し歩き回った。


 足跡。


 足跡。


 自分の足跡が増えていく。


 なんとなく満足。


 でも。


 あやめは時計を見る。


「……」


「新聞配達」


 仕事だ。


 あやめは自転車のところへ行く。


 雪。


 ちょっと積もっている。


「まあ」


「なんとかなるでしょう」


 出発。


 最初は。


 まだ良かった。


 でも。


 すぐ分かった。


「……」


「大変です」


 まず。


 滑る。


 自転車。


 危ない。


「これは」


「乗らない方がいいですね」


 押して歩く。


 でも。


 歩くのも大変。


 足元。


 ぐに。


 ずる。


 取られる。


「うわっ」


 何度か滑りそうになる。


 それでも。


 なんとか配達。


 ポスト。


 新聞。


 ポスト。


 新聞。


 いつもより。


 かなり時間がかかる。


 手も冷たい。


 足も冷たい。


 そして。


 やっと。


 最後の家。


 新聞を入れる。


「……終わりました」


 あやめは空を見た。


 朝の空。


 うっすら青い。


 あやめは小さく言う。


「雪」


「楽しいのは最初だけですね」


 あやめはきっぱり結論を出した。


「雪なんか」


「大っきらいです」


 そう言いながら。


 あやめはフェアリーハイツへ戻った。

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ