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97.ルミナVSゾーク

魔王に挑もうとする三人の前にギルデッド・スターズの三人が立ちはだかる。


ルミナの前にはゾーク。


リリスの前にはセレネア。


ライナの前にはヴァルゼルがそれぞれ立ち塞がった。


城門前


ルミナとゾークが戦いを繰り広げていた。


ルミナは縦横無尽に動きゾークに攻撃を仕掛ける。


炎、水、風、岩、多種多様の魔術弾がゾークに襲いかかるがゾークが纏っている鎧に触れた瞬間に消える。


「どれだけ魔術を撃ち込もうがこの沈黙鎧サイレント・プレートの前では全て無力」


ゾークはルミナの攻撃などお構いなしに突っ込んで来る。


大盾でルミナの体勢を崩し、戦鎚を振り下ろす。


ルミナは魔術障壁でゾークの戦鎚を防ぐ。


「アースランス!!」


地面から土の槍が飛び出すが、これも鎧に触れた瞬間粉々に砕ける。


「無駄っ!!」


戦鎚を横に薙ぎ払うゾークに対しルミナは魔術障壁を再び張り防ごうとするが、今度は力づくで魔術障壁ごとルミナを吹き飛ばした。


「勇者を先に行かせたのは失敗だったな。お前と私とでは相性は最悪だぞ。私はお前に一方的に攻撃が出来るがお前の攻撃は私には一切届かん」


ルミナは考える。


魔術は一切受け付けない鎧。


物理攻撃の短剣もあるがあの鎧の前には魔術と同じく無力。


魔術で武器を生成しても魔力でできた武器だからおそらく触れた瞬間に砕ける。


攻撃手段が全て封じられ八方塞がり。


だがルミナの目は輝きを失ってなかった。


その目を見たゾークは一切の油断をしなかった。


「参る!!」


ゾークが一瞬でルミナとの間合いを詰め、大盾を横に薙ぎ払った。


(速いっ!!)


魔術障壁は間に合わない・・・。


ルミナは杖で咄嗟に受けるが巨体の攻撃に小柄なルミナが耐えれるはずもなく身体が、吹き飛ばされる。


地面を転がり、息が詰まる。


「……っ」


咳き込みながら、ルミナは立ち上がる。


杖を、地面に突く。


魔力はある。


頭も冴えている。

だが、使えない。


(あいつの言う通り私にとって、最悪の相手)


ゾークは戦鎚と大盾を構え直す。


「か弱い女子をいたぶる趣味はない。降参するならば一思いにあの世に送ってやろう」


「逃がしてはくれないのね」


フッと笑うルミナ。


「それは無理な相談だな。お前達は私が崇拝する魔王様に盾突いた。その行為は万死に値する」


「それじゃあ、死ぬのは嫌だからあなたを倒す!!」


「そうか・・・ならば死ね!!」


ゾークが、突進する。

速い。

重い。

避けきれない。


ルミナはゾークにではなく地面に魔術陣を描いた。


「何をしても無駄・・・!!」


ゾークの足元に巨大な穴があき穴の中に落ちる。


「これがどうした!?」


ゾークはルミナを穴の中から見上げる。


「魔術は効かないけど物理は効くんでしょ?」


ルミナは魔術で穴と同じくらいの巨大な岩を浮かばせ、ゾークに向かって落とした。


だがゾークには無意味。戦鎚を振り上げ岩を粉々に砕く。


砕けた岩が鎧にガンガンと当たるがゾークはものともしない。


「これは!?」


次にルミナは近くの湖から水を汲み上げ、ゾークに落とす。


巨大な水量がゾークを襲う。


「水は戦鎚じゃあ砕けないでしょ!!」


「ぐっ!!」


ゾークは大盾を上に構えるが圧倒的な水量に飲み込まれる。


(これで倒せたとは思わないけど・・・)


穴の中に水が満たされてる。


「はあ、はあ、はあ・・・。なかなかいい攻撃であった」


ゾークが水の中から上がってきた。


見た目には何も変わってないように見えるがゾークは息が上がっていた。


「工夫して魔術師がこの私に少しとは言えダメージを与えた事に敬意を表しよう」


ゾークが戦鎚を構える。


「か弱い女子と言った事は訂正しよう。一人の戦士として全力で叩き潰す!!名を名乗れ」


「ルミナ・セレフ」


「ルミナ・セレフ。ゆくぞ!!」


ゾークの周りに闘気と魔力が溢れ出す。


ルミナは吹き飛ばされないように踏ん張るのでやっとだった。


次第に闘気と魔力が収束していきゾークの体に内包されていく。


ルミナは全身に悪寒が走った。


「喰らえ。我が武技!!」


(来るっ!!)


そう思った時にはルミナの視界には灰色の空が広がっていた。


「えっ・・・がはっ!!」


言葉を発すると同時に口から血が溢れ出し、全身に痛みが走った。


轟閃雷槌ごうせんらいつい


ルミナは自分が何をされたかも分からず痛みだけが襲ってくる。


唯一分かったのは戦鎚から血が滴り落ちてる事からあれで殴られたという事だけだった。


立ちあがろうとしても全身の骨が軋み指一本動かない。


治癒魔術を唱えようとしても口が震えて上手く唱えられない。


全身が恐怖で震え上がってる。


ルミナは頭で今まであった事を思い出していた。


考えてみると強敵と戦う時にはいつも誰かと一緒だった。


血晶巨獣グロマルス

イルシア

バルグロス

氷葬竜イグナ=へヴァル

混沌竜ヴェル=ナーガ


一人で強敵に挑むのはこれが初めてだとルミナは思った。


そう思った途端、体がさっきより震え、孤独に苛まれ思考が真っ白になっていくのを感じた。


死にそうになった事は何度もあった。


でも不思議と恐怖はなかった。


それは近くに仲間がいたからだ。


仲間が必ず何とかしてくれると信じていたから。


でも今は誰もいない。


ボロボロになった自分を何とかしてくれる仲間はいない。


自分で何とかしないといけない。


自分に近づいてくる足音にルミナは目だけで見るしかなかった。


「私の武技を喰らってまだ息をしているとは大したやつだ。だが、ここまでだ」


ゾークが戦鎚を上げる。


ルミナにはその動きがスローモーションに見えた。


(ダメ・・・。体は動かないし、反撃しても打ち消される。ゾークの動きは止められない)


「さらばだ。ルミナ・セレフ」


ゾークはルミナに向かって戦鎚を振り下ろした。


ルミナは諦め目を閉じた。


(ごめんなさい。やっぱり私、一人じゃ何もできなかった)


ルミナの目から涙がこぼれ落ちる。


『やれやれ、我をあの勇者の小僧から託された事を忘れていないか?』


ルミナの頭の中に何者かの声が響いたかと思ったら、ルミナのローブの中から何かが飛び出し彼女とゾークの戦鎚の間に割り込んだ。


戦鎚がその何かに弾かれゾークは体勢を崩した。


「え?」


「何者だ!?」


ゾークがルミナの方を見ると、そこにあったのは氷の結晶の塊だった。


だが氷の結晶の塊からは尋常ならざる魔力を放ち、心臓のようにドクンと鼓動を打っていた。


「あなたは・・・」


『氷葬竜イグナ=へルヴァル』


氷の結晶から放たれる魔力は氷葬竜イグナ=へルヴァルの顔から首の部分までの形を形成していく。

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