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姫さまと九人の女騎士  作者: 転生新語


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プロローグ

「さあ、遠慮(えんりょ)なく食(た)べてください。残(のこ)っている食料(しょくりょう)は、すべて出(だ)しますから」


 城(しろ)のなかで円卓(えんたく)、といえば聞(き)こえは良(よ)いが、実態(じったい)は粗末(そまつ)な食卓(しょくたく)を私たちは囲(かこ)んでいる。私を含(ふく)めて、鎧(よろい)を着(つ)けたままの女(おんな)騎士(きし)が九人(くにん)。その私たちに慈愛(じあい)をもって微笑(ほほえ)んでくれるのが、姫(ひめ)さまだった。身分(みぶん)の差(さ)など気(き)にもせず、同(おな)じ食卓(しょくたく)に腰(こし)かけている。


 わかっている、これは夢(ゆめ)だ。繰(く)り返(かえ)し、何度(なんど)も見(み)てきて、醒(さ)めれば薄(うっす)らと記憶(きおく)の片隅(かたすみ)にしか残(のこ)らないものである。それでも私は、この光景(こうけい)が大好(だいす)きだった。


 窓(まど)もなく、ろくに光(ひかり)も差(さ)さない、小(ちい)さな塔(とう)の最上部(さいじょうぶ)に私たちはいる。仮(かり)に窓(まど)があっても、開(あ)ければ敵(てき)軍(ぐん)から矢(や)が飛(と)んでくるだろう。外(そと)へ光(ひかり)が漏(も)れれば格好(かっこう)の標的(ひょうてき)となるので、食卓(しょくたく)にあるささやかな燭(しょく)台(だい)の灯火(ともしび)だけが、私たちを照(て)らす光(ひかり)である。


 客観的(きゃっかんてき)には絶望(ぜつぼう)しかないのだが、姫(ひめ)さまを始(はじ)めとして、皆(みな)が笑顔(えがお)で語(かた)らっていた。これからも私は、この光景(こうけい)を何度(なんど)も夢(ゆめ)に見(み)ながら微笑(ほほえ)むのだろう。これは私たちの、最後(さいご)の晩餐(ばんさん)なのであった。

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