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後編

盗聴などの行為は犯罪です。良い子はまねしないでね。(一応注意書きです、なのでその手の批判等はご遠慮ください。)

義兄は問題なく日本で最も偏差値の高い最高学府に合格して入学し、私も中学2年生になった。

義兄の大学の入学式の日、私は何か入学祝いを贈ろうと思っていたのだが、当日まで何も思い浮かばず、結局入学式の日に直接聞くことにした。


「義兄様。入学のお祝いに何か欲しいものはありますか?」


「なんでもいいの?」


「はい。私が用意できそうなものであれば、なんでも良いですよ。」


義兄は嬉しそうに微笑んで、全く予想もしないプレゼントを要求してきた。


「沙菜からのキスが欲しい。」


「えっと・・・キスですか?」

「そう。キス。」


なぜ義兄がそんなプレゼントを欲しがるのかはわからなかったが、頬に軽くキスをすると、腕を腰に回されて


「そのキスじゃなくて、唇にして。」


私はなんとも言えぬ恥ずかしさで、義兄を直視できずに目線を下に向けて沈黙してしまうが、義兄は腕を解いてはくれなかった。


「それ、プレゼントにならないと思うのですが・・・。」


「そうかな?私は沙菜にキスして貰いたい。沙菜、お願い聞いてくれないの?」


私は結局義兄のお願いは拒否できず、自分の唇を義兄の唇に重ねた。

唇の柔らかい感触がなんだかすごく恥ずかしくて、やっぱり義兄の顔を見ることができない。


私がうつむいていると、なぜか今度は義兄から私にキスをしてきて、私は驚きのあまり義兄の顔をまじまじと見つめてしまった。




今までかなり微妙な関係を保っていた私と義兄だったが、このキスを境に、義兄の私に対する態度が明らかに妹的なものから、恋人的なものへと変化した。

義兄から当たり前のようの与えられる親密な口づけに戸惑いつつも、それを拒否するという選択肢は私にはもう残されてはいなかった。


理性という名の天使が私に、この状態はおかしいと囁いてくれるが、これが惚れた弱みというやつなのか、とにかく決してマインドコントロールでもストックホルム症候群でもないという自覚はあったので、私が病んでいるわけではないのだと思いたい。


それに、まだ中学生の私に義兄がキス以上の行為を強要することはない。


・・・と思ったが、理性という名の天使が「それ以上したら犯罪者だろ」と囁いてくる。

もしかしたら私に前世の記憶がなくて、大人の人格が備わっていなければ、義兄との関係に完全に酔えたのかもしれないが、前世の大人視点の冷静な私がどこまでも鋭い批判的な目線で義兄を観察してしまう。


****


義兄との関係は健全な男女交際の域を出ることなく続き、私はとうとうゲームの設定と同じ年齢に到達したが、ゲームの舞台である高校に進学することは回避することができた。

物語補正的なことが働いて、どんな努力をしてもその高校に進学させられてしまうのでは、という恐怖におびえていたが、幸い義兄からの働きかけもあり、私は女子校に通うことになった。


ゲームの世界の入学を回避できた私は、これまでビクビク生活してきたこともあり、人付き合いについても極力避けてきたので、私は友達がいないぼっちだったのだが、高校ではすぐに友人ができた。

それに、女子校ということもあり、絶対避けたい婚約者もヒロインもいないという安心感が、私をさらに楽しくさせた。


そう、私は高校入学で完全に浮かれていた。


私が帰宅すると玄関には義兄以外のものと思われる靴が置いてあった。

義兄が家に連れてくる友人は一人しかいなかったため、挨拶するために部屋の扉をノックしようと思ったところで、中の声に驚いて手が止まってしまった。


「おまえ、沙菜ちゃん食っちゃったの?」


「まさか、お前のような人間と一緒にするな。大事に大事に育ててるよ。」


「でも、こんなヤンデレ男に惚れられて沙菜ちゃんは不幸だよな。沙菜ちゃんはこの世界を乙女ゲーム側の世界だと思い込んでるんだろう。」


「私は病んでない。

それはさておき、まあ、沙菜は前世も女だったみたいだから、ここの世界と酷似している乙女ゲームに男性版のSIDE-Bが存在していたことは知らないか、思い出していないみたいだな。」


「かわいそう。乙女ゲームの死亡フラグ回避したと思ってたら、実はギャルゲーの世界通りの人生を歩んでるとか。」


「どこがかわいそうなんだ?

ゲームの九十九悠希とは違って、俺は狂ってもいないし、沙菜を虐待もしていない。

沙菜を可愛がりまくって、自分だけを見るようになるまで辛抱強く待ってるだけだ。」


「はいはい。わかりました。」


私は二人の会話を聞いて、扉は開けずに自分の部屋へと戻った。


「なんで、そんな肝心なことを思い出さなかったの?」と心の中でひとりごとを呟いた。


義兄の会話を聞くまではすっかり忘れていたが、この乙女ゲームの世界そのままの男性版のギャルゲーが存在していたのだった。

発売日も同時で、乙女ゲームの攻略対象者の恋人や婚約者が、男性版のギャルゲーでは逆に攻略対象となるゲームだった。


私は前世で男性版はプレイしていなかったのだが、同人誌などの二次創作では九十九悠希が沙菜を閉じ込めて凌辱するようなものを良く見かけたので、男性版のギャルゲーをプレイしていた友人に、乙女ゲームでは全く登場しない九十九悠希について聞いた記憶が、たった今思い出された。


「ねえ、男性版の九十九沙菜って、義理の兄に性的虐待を受けてた設定なの?」


「全年齢対象のゲームなんだから、そんな過激な設定あるわけないじゃん!

九十九沙菜には二人ライバル役がいて、一人は婚約者、もう一人は義理の兄で、婚約者は楽勝なんだけど、この義理の兄が厄介で、沙菜を溺愛して盗聴盗撮をするストーカーみたいな存在なの。

で、九十九沙菜を攻略すると、最後は自殺してしまうという。

ちなみに、バッドエンドは九十九沙菜は義理の兄と婚約させられて、一生囚われて監禁されるのを匂わせたエンドを迎える。」


****


私は色々と混乱したせいか、そのまま部屋で寝てしまった。


目を覚ますと私の部屋で義兄がパソコンを操作していた。

目を覚ました私に気が付くと、近付いてきて、義兄の手が私の頬にふれる。


「沙菜。おはよう。」


あんな話を聞いた後だからか、義兄の笑顔が本物なのかどうか疑ってしまう。


私は何を言ったら良いかわからないのと、義兄と向き合いたくなくて、逃げるように義兄の手を無視してベッドから出ようとすると、両腕を抑えられた状態で、ベッドに戻されてしまった。


「さっき、私と大輔の会話聞いてた?」


例えるなら、蛇に睨まれた蛙だろうか?

義兄は私が部屋の外で立ち聞きしていたことを知っていたらしい。というかわざと聞かせた?


「わざと、私に聞かせたんですか?」


「さすが沙菜、よくわかったね。」


「なんで?」


「沙菜?俺と婚約するか、しないかどっちを選ぶ?」


ゲームの世界であれば、もし間違った選択をしてもセーブ地点まで戻れるが、今は現実なのでそういうわけにはいかない。


「婚約しないを選ぶとどうなるのですか?」


「沙菜にはもう近付かないと約束する。」


「じゃあ、婚約するを選択したら?」


「もちろん、ギャルゲー版でいうところのバッドエンドと近い状態になる。」


義兄が何を考えているのか、全くわからない。バッドエンドということは、私は監禁エンド?


「監禁は無しにできますか?」


一応、そんなことを聞いてみる勇気は、まだ私に残っていたらしい。


「監禁なんてしないよ。安心して。」


そうか、それなら少し安心・・・とか思ってしまう私は、もうかなり義兄に毒されているのだろうか?


しかし、答えは決まらない。


だって、なぜわざと私にこの世界がもう一つのゲームの世界かもしれないということをバラしたのかが、わからないでいた。

ゲームでの設定を考えると、義兄は私のことをずっと盗聴盗撮をしていたということになるし、そうだと思うと、色々と納得が行くことが多いのも確かだった。


でも、そこまでして私を監視する理由がわからない。

そんな風にぐるぐる考えていたら、


「沙菜に選択肢を与えてるのは、ゲームの世界なんかに囚われず、沙菜に自分の人生を歩いてほしいから。」


いや、だからさ、盗聴とかするような人のまともなセリフを信じるほど、私はバカじゃないですよ?


私が眉間にしわを寄せていると、


「じゃあ、質問をかえようか?

沙菜は、どんなことを想像して自分を慰めてたの?」


ギャー!!!!!と心の中で叫んだ。

私は恥ずかしさと怒りで、義兄のお腹を蹴って、義兄の手から逃れた。


そして、とりあえずまくらを放り投げながら、「変態!鬼畜!異常者!変質者!」と大声をあげた。

義兄は私に蹴られたところに手を当てながら、クスクスと笑い出した。


「沙菜に蹴られて罵られるのも、なかなかいいもんだな。」


「なんなの?何が目的なの?」


「何って言われても困るけど、俺、壊れた沙菜よりも壊れてない沙菜がいいから、沙菜が自らの意思で俺のこと選んでくれたら嬉しいなって。」


「私はそんな偽善者みたいなセリフには騙されないわよ!!!大体言葉遣い変わってるじゃない!今までずっと猫被ってたわけ??」


「沙菜もだろ?いつものお淑やかな言葉遣いはどこにいった?」


「うるさい!感情的になると、前世の私が出ちゃうの!大体私は小1までただの一般庶民よ!」


「でさ、沙菜は何を想像して自分を・・・の答えをくれないわけ?」


「くれるわけないでしょ!!!」


「じゃあ、その時の声、録音してるから聞いてみる?」


「私に蹴られて喜んだり、私を辱めて喜んだり、ドSなのかドMなのかどっち?」


「大抵の人間は、どちらの要素も持ってると思うけど?だから、どっちも・・・が答えかな?

沙菜を泣かすのもぞくぞくするけど、さっきみたいに沙菜に罵られるのも楽しい。」


作った笑顔ではない楽しそうな笑顔で、いつの間にか間合いが詰められている。


「変態は近付かないで下さい。」


私の拒否する言葉は受け入れられず、また押し倒されて同じ体勢に戻されてしまう。

覆いかぶさる状態で、いつものように触れるだけのキスを受け入れたが、今日は一点だけいつもと明らかに違う状況が発生していた。


何がとは言わないが、ナニが硬くなって私の太ももに当たっている。


それになぜかキュンとしてしまう私も義兄と同類の変態か?

前世以来誰ともしていないから、欲求不満じゃないと言えば嘘になるが、義兄とのバッドエンドも怖い。


「俺、今世ではまだ童貞なんだ。今世のはじめては全部沙菜としたかったから。」


正直に言っていいですか?

義兄様は残念なイケメンだったんですね。


「まさか大学の入学祝いの時のキスが、ファーストキスとか言わないですよね?」


「ここまでの流れで、自分が寝ていた時に何もされていなかったと思うなんて、沙菜は純粋で可愛いな。」


そうか、私は寝込みを襲われてたのか。

それを聞いてなぜか私はズルい!と思ってしまった。


「沙菜?怒った?」

「ズルい!」

「は?」

「お義兄様、ばっかりズルい!!!」


なんてことだろう!

そうか、寝込みを襲うとか、そんな美味しいシチュエーションを私は提供していたのか?

私、鴨ネギじゃない。


「ズルいとかいうなら、沙菜も俺の寝込みをいつでも襲ってくれて良いよ。」


「襲ってくれって言われて襲うなんて、つまらないから遠慮します。」



「沙菜。そろそろ限界だから、もうしていい?俺のハジメテを貰って?」


はじめてを貰ってって、どこの乙女だ。

というか、だからキュンとするな私!


「私は、これからは選択肢を慎重に選びたいので、先ほどの選択肢は選びません。」


「うん。仕方ないね。」


「とりあえず、お義兄様のはじめては遠慮なく貰うことにします。」


「うん。沙菜が受け取ってくれると嬉しいよ。」


****


朝起きると、ベッドの上にはすでに義兄の姿はなく、私はもしかして寝たらポイのような存在だったのかという、一抹の安心感をおぼえる。


シャワーを浴びて、学校に行く用意をしてリビングへ行くと、何故か記入済みの婚姻届、しかもそこにはちゃんと母親からの婚姻の同意を承諾する旨も記載されていた。


「沙菜はバッドエンドが嫌みたいだから、バッドエンドとは違う終わり方なら問題ないだろ?」


私はその婚姻届をすぐさま破り捨てた。


「バッドエンドじゃなくそれじゃworstエンドじゃない!」

「俺との結婚がworstエンドだなんてひどいな。happiestエンドだろ?」


今のやりとりをして思ったが、比較級的に言えばbadよりもわるい終わり方が存在するということか。だから英語は嫌いなんだ。


「お義兄様、人生のエンドは死ぬということで決まっておりますので、申し訳ございませんが私にはハピエンもバッドエンドも存在しないのですわ。」


「沙菜。もう兄妹の枠を超えた関係になったんだから、俺のことは悠希と呼ぶこと。

それと、無理な敬語も無し。

あと、さっき破った婚姻届だけど、破られると思ったから偽物だから安心しろ。」


「いつの間に、両親を説得したの?」


「いつの間にというか、沙菜の母親と俺の父親が結婚する時に、沙菜と絶対結婚したいからとりあえず沙菜と父親の養子縁組はしてくれるなと頼んでおいた。

あとは最近まで根気よく説得した。

さすがに俺が10年近くも言い続けるものだから、両親も俺に沙菜を諦めろと説得するのを諦めたらしい。」


両親よ、良心はどこへやったの?


「私は、まだ何も選択してないから!」


ニコニコと機嫌の良さそうな笑顔で近づいてこられて、いつもしていたキスよりもたっぷり濃厚なものを受け取った私は、なんとなく朝食という気分になれなくてそのまま学校へ向かおうと、義兄から離れようとするが、なぜか腕をほどいてもらえない。


「沙菜、選択というのはどちらか正しい方を選ぶのが重要なのではなく、選択してからからどうするのかが重要なんだよ。」


「私、そういう正論いう人は信用しないって決めてるんです。」


「じゃあ、正論はやめる。」


昨夜の余韻が若干残っている身体を煽るかのように、制服の下から直接肌に触れられ、深く口づけされて、期待と不安が混ざったような複雑な感情に怯えてしまう。

唇を離されて告げられた言葉に、どこか安心してしまう私はきっとどうかしている。


「選択肢が残されていると思わせてあげた俺は、優しいと思わない?」


優しいとは思いません!


読んでいただき、ありがとうございました。

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