Re:build

都市《静域》。
そこではすべての行動が観測され、記録され、評価される。
人々は“誰かの目”に応えるように、日々の任務を淡々とこなしていた。

青年ノアもまた、《シーカー》として日常を送っていた。
だが、ある任務の最中、彼の左目が“記録されない光”を捉えたことで、世界の輪郭がわずかに揺らぎはじめる。

それは、記録されない“声”。
思い出したことのない“記憶”。
誰にも知られていない“存在”。

観測がすべてだったこの世界で、
彼の中にだけ“何か”が残りはじめていた。

――これは、記録ではなく、記憶にだけ残された物語。

見えていたはずの世界が、静かに崩れはじめる。