高速戦闘
俺はすぐさま鑑定を行った。
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『イレギュラー』
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鑑定がまったくあてにならない。
「鑑定は役に立たない」
「アレはただの悪意の塊でありんすね。『サンクチュアリ』」
猫の獣人が地面に陣を描いた。
その陣の中に居るとなんだか温かい。
「体力が回復していく……」
後ろに下がっていたセバスが驚いた表情で声を出した。
学校にいる戦闘組にも回復魔法を使える者はいるが、集団回復魔法を使える者はいない。
「あっしはバックアップいたします」
「それじゃ私は攻めですかね~」
「これなら私も戦えますな」
「めんどくさい展開だな~」
「お前、本当にめんどくさがりだな。俺の戦いでも手を抜きやがって」
「翔。目の前の敵に集中して。……リーダー」
全員が俺の顔を見た。
「指示を」
全員があの化け物を倒すことで一致している。
俺も可能ならあいつを楽にしてやりたい。
いや、仲間になった二人の為だ。
ちゃんとあの世に屠ってやろう。
「ヤツの攻撃を防ぐのは翔と猿に任せる」
「分かった」
「了解。めんどくせーけどな」
この二人は相性がいい気がする。
やる気もあるようだし、任せよう。
「バックアップは猫に任せる」
「あい任された」
まぁ自分で言ってたけどね。
「攻撃は香奈とデュラハン」
「絶対に倒す」
「やってやりますよ~」
攻撃力が高い2人はアタッカーなのは当然だ。
「セバスは遊撃を頼む。一番難しいところだがお前ならできるな?」
「もちろんでございます」
優雅に礼をするセバスはやはり頼りになるな。
「話は終わったか?」
狐が声をかけてきた。
「待ってくれるなんて親切だな」
「私が本気を出したら瞬殺だからな」
「言ってろ」
指示を念話に切り替える。
個人念話では無く集団念話だ。
それぞれが伝えたいことは全員が聞こえるようになる。
(まず最初は防御主体で相手の攻撃を受けつつ情報を取るぞ!)
(((了解!)))
「『鋼鉄の加護』『スピードブースト』『パワーブースト』『ディフェンスブースト』『ステータスアップ』」
猫が全員にバフを付与し始めた。
「『グラビティ―フィールド』『自戒の念』『スピードダウン』『パワーダウン』『ディフェンスダウン』『ステータスダウン』」
デュラハンが相手に大量のデバフを付与した。
「小癪な……」
流石のあいつでも頭が下がるのを必死で耐えている。
「『勇者のオーラ』発動!」
「『剣鬼のオーラ』発動!」
翔と香奈がオーラを出して万全の準備を行う。
「金剛棒」
木のこん棒が、鋼鉄で出来た綺麗なこん棒に変わった。
攻撃力が段違いで上がりそうだ。
「『眷属召喚』」
セバスが眷属となっているう蟻やゾンビを召喚した。
俺のスキルとは異なり彼が自由に出し入れできる魔物集団だ。
「俺のアレをこっちに呼ぶか」
警戒アラートではダンジョンに出る事に制限をしたと言っていた。
セバスが召喚に成功しているってことは呼ぶことに制限はかけられていないってことだ。
「こい。お前ら」
俺は予備兵力の蟻たち100匹を呼んだ。
この蟻は赤蟻姫が作った蟻で攻撃用の蟻だ。
以前俺たちを苦しめた爆発する蟻の強化番だ。
「手始めにあいつに飛んで行け」
20匹ほどの爆弾蟻をあいつに飛ばす。
この蟻の改良点は飛べるようになり、爆発の威力が上がった点だ。
あいつの周囲にはグラビティフィールドがあるから頭上から落ちるように誘導する。
蟻たちは重力に引っ張られて速度を上げて直撃する。
爆発の余波は重量であまり来ない。
(さてこれでどうかね)
(傷一つ付いていなさそうですね)
(変な生き物でありんすな)
(めんどくせ~)
(攻撃反応! 全員警戒!)
香奈の言葉を受けて防御姿勢を取る。
「『写し鏡』」
ヤツのスキルが発動した瞬間。
俺たちに尋常ではない重みが襲った。
「『邪天反転』」
すぐさまデュラハンがスキルを発動し、押しつぶされる前に身体が軽くなった。
「『水源爆水』」
今度はあいつの周囲から大量の水が溢れ出した。
「『虚空空虚』」
溢れた水を猫の獣人のスキルで作られた穴が吸っている。
「秘剣『煌軌螺羅』!」
「『影鋼糸』」
香奈のスキルで胴を刎ねられ、セバスのスキルで細切れにされた。
(気配が消えていない。警戒を緩めるな!)
細切れにされたヤツの身体はもぞもぞと動き出して一つになり、元に戻った。
「フフ、フフフフ、フハハハハハハハ!!」
元に戻ってすぐ笑い出した。
姿は戻っているが邪悪さはより増している。
「……少し、本気をだろそうか」
今まで虚無だった瞳に何か意思を感じた。
プラスな意思ではなくマイナスの意思だ。
瞳の闇が更に濃くなっていく。
「『瓦解する世界』」
弱い風が俺たちを吹き抜けた矢先、俺達にかけられてバフやヤツにかけられていたデバフの一切が消えうせた。
「まずはお前を殺そうか」
そうして指をさされたのは翔であった。




