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『領邦官吏職掌録』森林官長の職務と権限について
森林官長は、領主の命を受け、領内の森林およびその附属地を統轄する官職である。
その職掌は樹木の育成と伐採、木材の売買、狩猟地の保全、境界の監督に及び、領主より委任された権限をもって、密猟、盗伐その他の森林法違反を取り締まる。
森林官長には官舎が与えられ、薪炭、狩猟の獲物、附属農地からの収益など、俸給のほかにも相応の便益が認められる。
森林の収益は領邦財政の重要な柱であり、その管理を誤れば国庫を損なうばかりか、建築、製鉄、軍備にも支障を来す。ゆえに森林官長の任免は慎重を要し、領主の信任厚き者をもってこれに充てる。
なお、森林官長の職務は木材の管理のみにとどまらない。
人里に接する森林の境界を守り、魔獣の出没を監視し、危険の兆しあらば速やかに領主へ報告することも、その責務である。
とりわけ深き森に接する領地では、地形と獣道に通じ、土地の者をよく掌握する森林官長の働きが、城壁や駐屯兵にも劣らぬ重要性を持つ。
王都の官吏の中には、森林官長を田舎の山守りと見なす者もある。
されど、一山の木材がもたらす富と、一山を失うことで生じる損害を知る者は、その職を軽んずることはない。




