天狗と誘拐と女性と 11
龍富視点
昼食後からいくらか過ぎた時間。
部屋へと入る陽射しもまた穏やかで眠気を誘うにはいい具合である。
その中で一人の男性が布団の中に入っている状況だ。
「ん……」
部屋の男性、龍富は目が覚めて言葉を出す。
今、龍富は部屋で仮眠を取っていたのであった。
起きるにはちょうどいいと思考して、龍富は上半身を起こす。
「そんなには……寝てないはずだ……」
龍富は体感で寝た時間を考えて言葉にする。
正直、体感での寝た時間はあてにならないが、おそらくはそれほど寝てないと考えていた。
「準備しなきゃ」
ゆっくりと起き上がって準備を急かすようにと龍富は自分に言い聞かせる。
予定では柄池が部屋に入ってきて、自由時間に行くところを教えてくれるという事である。
これは先に柄池が提案したので、龍富は任せて寝ることができたのだ。
布団をたたみ片付けて、そして自分のスマホへと手を伸ばす。
「ん……?」
スマホの時刻を見て龍富は違和感を呟く。
「こんな時間なのに、ガットまだ来てないのか?」
龍富は違和感を呟いた。
部屋に来ると予定していた時間は過ぎていて、それにも関わらず柄池は来ていない。
「なんかあったのか……?」
それを何かあったかと捉えて龍富は言葉に出す。
龍富は寝起きだが、頭を働かせて柄池に起きた可能性を考える。
更にと連絡システムを起動して見ると、特に連絡らしい連絡はなかった。
「お節介で……連絡もできずにってところか」
思考の結論として龍富は髪をかきあげて言葉にする。
今日を含む柄池に今まで起きた事、それを考えればこの結論は十分ありえた。
これでも高校時代での退魔師同盟の活動も柄池はお節介は多かったのだ。
「探しに行こうか」
龍富はその言葉と共に荷物を持って部屋を出て、部屋の鍵をかけた。
「あの、すいません。ガット、じゃなくて柄池って人知りませんか?」
「ああ、女将を手伝ってくださった人の……友人ですか?」
龍富は通路で会った旅館の男性職員に柄池の事を聞く。
それに対して、女将に関わった人かと男性は聞き返す。
流石に女将を手伝ったということは職員にも広く知られているようだ。
「はい、ちょっと探していて」
「いえ、私は見てないですよ」
龍富は肯定をして、男性職員は見てないと返答する。
龍富は他にも5人くらいの職員に聞いていて、結果は全員行方知らずと答えた。
柄池の存在は知られていて、聞いた職員は柄池を知らないとは言わなかった。
「分かりました、ありがとうございます」
頭を下げて礼の言葉を龍富は言い、通路を足早に移動する。
龍富は旅館を広範囲に探したが、それでも見つからず、途中で足を止める。
「ここにもいないのか、てっきり世話焼いているのかと思ったけど」
龍富は見つからないことを言葉に出すと共に、辺りを見渡す。
やはり柄池が来る様子はない。
「電話してみるか」
そこで次の手段と電話するかと言葉と共に、スマホを取り出した。
旅館を探せばすぐ見つかると予想して、電話までは必要ないと考えていた。
そのため、電話は今までしなかったのだ。
「……?」
電話をかけて少しする、その間に龍富は疑問が生じる。
「……出ないな。なんでだ?」
龍富は出ないことに疑問を呟く。
更には首をも傾げてだ。
「電話に出れないほどのお節介? ……いや、それにしても……」
思考をすると共にその思考を言葉に出す。
龍富はこの出来事に対する異質さを感じ始めた。
(おかしいな、それでも一回伝言ぐらいはしてもいいのに……いや、まさか)
その異質さを心の中でも龍富は呟く。
何も連絡をしない時間が長い、いくら世話を焼くにしても、そろそろ連絡の一つをしても良い頃。
現に柄池が世話を勝手に焼くことがあっても、その旨は龍富に連絡をしていた。
「連絡システムの信号の方、使ってみるか。みんななら何か知っているかもしれないし」
言葉と共に龍富は連絡システムを起動して、連絡を試みる。
と、通路の方から急ぎ足で大越が近づいて来る。
龍富としては好都合であった。
「あ、大越さん……ガット見なかった?」
「ううん、見てないけれど……龍富君は見ていないの?」
龍富は早速と柄池の事を聞くと、止まって大越は見てないと解答する。
「ああ、それが俺が部屋に入ってから見てなくて」
「え……?」
龍富は自身に起こった事を話す。
すると、大越は驚きと言葉に対しての疑問の言葉が出る。
空気が変わったことが分かる、険しい方に。
「確認だけど、お昼食べてから自由時間について話す予定だったよね? それなのに見てない?」
「その予定だけど、それもやってない」
大越は確認を取るための言葉を出して、その予定もやってないと話す。
視線を外すと共に大越の顔は深刻の色を強めた。
「今日は柄池君と一緒の部屋でしょ、私。それでも私……お昼食べてから見てないの」
「え……嘘だろ?」
大越は柄池を昼食以降見てないと話す。
その言葉は龍富の顔も深刻にさせるに十分で、嘘だと言葉に出てしまう。
「龍富君に何も言わず、出てった可能性は?」
「いや、それは有り得ない。ガットが勝手に外に行って、これだけの時間連絡をよこさないのは」
大越は別の可能性について聞き出すと、龍富の返す言葉は有り得ないと出す。
「正直言って……何か嫌な予感がする」
「無事ならいいけど、ガットは大ごとに首突っ込んだんじゃ……」
大越は嫌な予感がすると話し、龍富は柄池の無事を祈る言葉を出す。
せっかくの自由時間、これは自由時間を潰しても他の皆を巻き込まないといけない。
「みんなには本当に悪いけど、みんな集めて探したほうがいいな」
龍富は決断の言葉を出した。
ここまで起きている事を判断して危険な事でないにしても、柄池一人での対処は荷が重い。
その起きた事を踏まえて龍富は連絡システムでみんなを呼び寄せることを決断した。




