天狗と誘拐と女性と 2.5
龍富視点
時間は任務が行われる当日まで過ぎる。
今回の掲示板機能は早速活用され始め、今回行った話し合いのまとめとしても残される。
更には、一言を掲示板に載せてから反映も早く、待ち合わせで何分で着くか、現在の場所はどこかと、その様な話も出来ていた。
そして待ち合わせから予定通り8人が集まり、移動をしていた。
「そう言えば、掲示板機能で何か不具合はあった?」
「いや、俺から見ては特になかったけどな」
御堂は疑問を投げて、龍富もその疑問に答えた。
これで全員が掲示板機能を使った事になるので、感想を聞くことは可能であった。
「そう? バグじゃなくても、使いにくい部分とか、こうしたほうがいいとかそんなのでもいいんだ」
「んー……と聞かれたもののな、今のところはないんだよな」
更に深いところを探ろうとバグだけでなく、他の不具合についても御堂は聞こうとする。
柄池はそれに対して、少し困った様子を見せて答えた。
問題そのものがないので、それを探ろうとしても答えようがない状況では、回答に困る柄池の気持ちも龍富はわかる気はする。
「特に無しだな」
「同じく」
「ないわね」
「問題ないよ」
「このままでも、大丈夫じゃない?」
古賀松、大空、八雲、愛川、大越の順に答える。
バグがないと言う状況で安心するかと思った龍富だが、御堂の表情は気が晴れていない様子であった。
「……そっか。何かバグとかありそうだったけど、とりあえずはもう少し使って様子見という事にするか」
御堂は腑に落ちない気分を出しつつ、結論を出した。
そこで、柄池は龍富に近づき声をかけた。
「あとさ、リュート。着くまでどれくらいかかるか?」
「もう少し歩くと思うな」
柄池は着くまでの距離に疑問を投げかけて、龍富はスマホの時間を確認してもう少し歩くと答える。
今回は旅館に泊まることになり、探す場所も旅館から近いことで先に旅館に移動することとなる。
「今回は行ったことある宿じゃ無いのか?」
「大抵の宿が初めて行く場所だよ。四月から8人で行った場所は最初の宿以外は全て初見だよ」
古賀松は宿のことで話すと、柄池は最初の宿以外は初めて寄ると話す。
「高校の時の宿はほとんど初めて行った場所だったしな、以前行った宿に行くっていうのが珍しいな」
「そだね」
龍富は宿の事についても高校の時もほとんどが初めて寄ると言葉でも補足し、柄池も同意の言葉を出す。
「退魔師御用達の宿なんてものもあっていいと思うけど、意外とそういうのは無いのか?」
「一応あるんだよな。最初の宿はそんな感じだったな」
続けて古賀松は退魔師御用達の宿について言葉でも話題を広げて、龍富もその話題に乗って肯定の言葉を出す。
単純な興味にしろこういう話題が古賀松から出る事に龍富は少し感心していた。
「あそこ、あの時期が来ると土の精が結構発生するからね、退魔師の出番と」
「ああ、それでな。でも、退魔師に頼って経営とか大丈夫なのか?」
柄池は退魔師御用達の理由を土の精がよく出るためと話した。
それに大空は退魔師に頼るところで不安視していると言葉にする。
「大丈夫よ、土の精がよく発生する場所では珍しい植物等の食材が取れるって話も聞いたことがあるから、それ目的で経営採算を取っている可能性があるわ」
「よく知っているね、そういうことで経営やっているってわけ」
回答しようと龍富は口を開いていたが、先に八雲が大空の言葉に回答を付け加える。
龍富も回答に驚くが、柄池も八雲の知識を驚き混じりの声で評価をした。
「成る程……」
大空は回答に関心の声を出す。
体を動かすのが得意な大空にしては意外な話題だったので、そこでも龍富は感心していた。
「そういえば気になったんだけど、天狗って化者の特徴は以前聞いた以外にあるの?」
「あ、私も気になる。何かあるのかな?」
大越は別の話題として天狗についても言葉で振って、愛川もそれに乗る形を言葉で表す。
「そうね。他の特徴としては固体としての数も相当多くて、天狗の社会も裏で形成されていることかしらね」
「おお、それはすごい」
話題に乗る形で八雲は天狗について話し、愛川もその言葉に凄いと評価を出す。
「天狗社会にも上下関係があるからね、人間社会の様に。更には会社の人員が全員天狗であった、なんてこともあったわよ」
「うわぁ、そんなことまであんのか……」
八雲は更にと天狗の事について話し、御堂から驚きの言葉を引き出す。
この情報を八雲自身で振った事に驚き、すぐさま龍富の言葉を割り込ませる。
「おい、よくそんなことまで知っているな。これ、本当に知る人ぞ知る情報だぞ」
「いい情報経路があってね、そこから伝わってきたのよ。ダメだったかしら?」
柄池、大空、古賀松、大越も驚きの表情を出す中で龍富は言葉を出して、八雲はいい情報経路で経由した情報だと言葉を述べた
かつてとある企業が相当不利になるような理不尽とも言える契約を相手企業に結ばせたことがあった。
その結ぶ事になってしまった相手企業が全員天狗の企業で、社員全員で契約を持ちかけた企業へと報復を行なったのだ。
更には他の天狗達も裏で報復を隠蔽し、一般社会からは冗談混じりで天狗の仕業かと思われつつ、契約は白紙になったという。
「いや……俺たちだけの範囲で知られるくらいは問題は無いが、一般まで知られたらとんでも無いことになるけどな」
「大丈夫よ、化者絡みの話は普通の人への口外はできないと承知しているから」
龍富は一応は問題ないと答えて、八雲は口外は普通の人にしないと補足もする。
この契約を持ちかけた企業はたちが悪いことから、報復は退魔師側でも不問として、波を立てないようにしていた。
それでいて退魔師でも天狗でもない立場の人間から話を聞くとは龍富は驚きがあった。
「それならいいけど、気をつけてくれよ」
「善処するよう気を付けます」
気をつけてくれと龍富は付け加えて、八雲も善処すると答える。
口外相手は選ぶと言うが、得体の知れないとも言えた八雲の情報経路は龍富に不安を湧かせていた。
(詳しいことは理解してたけど、ここまでとはな……どうやって知ったんだ?)
横目で八雲を見つつ龍富は不安を心の中で語る。
そこで大空は口を開いた。
「アタシも気になってきたな、天狗ってのが。他には特徴はあるのかい?」
「そうね、脚力は結構優れているって話よ、他の化者以上に。建物を次々とひとっ飛びで移動出来る程よ」
大空は天狗についての興味を表して、八雲は別の特徴を話し始める。
天狗の話題を続ける事になってしまい、情報経路についての話は後回しとなった。
不安はあったが、おそらく大丈夫だと信じてここで聞くことを龍富は放棄する。
「化者の時でも凄いけど、人間の姿でも化者の時より劣るけど凄い脚力は残っているのよ」
「ほほー、化者ってそんな優れた力もあるんだな」
天狗の脚力について八雲は語り、会話の間に古賀松も関心の声を寄せた。
「天狗に関わらず、化者の人間状態は普通の人よりも脚力が優れる、遊泳能力が高い等の特殊部分がある場合もあるのよね」
「へ、へー……そうなんだー」
更にと八雲は話を続け、会話の内容に少し引いたような声で大越も関心の声を出す。
「結構歩いたし、そろそろ目的地に着くかな?」
「歩いた時間的にはそろそろ着いてもいい感じだな」
柄池はそろそろ着くかと龍富に聞く。
ちょうど移動の会話ネタとして時間を潰せたと思いつつ、龍富は着いてもおかしくないとスマホの時間を見て答える。
「予定では着いたら荷物置いてすぐに行くんだっけ?」
「そうだね、休憩もないけど、行けそうかい?」
大越はついた後の予定について聞き、柄池は肯定しつつ、愛川に視線を向けて疑問を投げかける。
よく見ると愛川もそれほど疲れている様子もなく、問題はないかもしれない。
「あ、うん。私は大丈夫、多分行けると思う」
「旅館からは遠くない場所だから、頑張ってね」
愛川は大丈夫と答えて、柄池は頑張ってと返す。
龍富達は旅館へと続く道を歩んで行った。




