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退魔師組織の協力 3

ここから愛川視点

 それから、8人は日々を過ごし、任務の日にちとなった。

 今回は車ではなく、電車に乗ってそれぞれ待ち合わせの場所に来たのである。

 待ち合わせの場所で8人が揃った後、退魔師の支部へと8人は向かっていたのであった。

 時間は午前、昼にはまだ早い時間帯。


「大丈夫、愛理栖ちゃん。結構歩いたけど、まだ行けそう?」


「うん、まだ頑張れるよ」


 大越は愛川の側で歩きながら声をかける。

 愛川も歩きつつ、歩けることを言葉にする。

 8人は龍富を先頭にして歩き、愛川と大越を後ろに置きながら移動していた。


「以前よりは歩けるようになったんじゃない? 体力ついてきた?」


「私もあのままじゃ良くないからね。体力つけるように頑張っているんだ」


 大越は以前よりも歩けるようになったと話して、愛川も頷いて答えた。

 大越も気付いてくれたことで、愛川も声の調子が上気味になっていた。

 初回の任務以上の距離は歩いていたものの、愛川の体力はまだ温存できている。


(でも、そろそろ着いてくれるといいんだけどな……)


 ただ、そろそろ尽き掛けると言う予感は愛川の心の中で思っていた。


「しかし予想以上に歩いたな。龍富、もうそろそろ着くか?」


「時間的に後少し歩けば着くな。サブローは大丈夫か」


 御堂は着く時間について聞くと、龍富は答えて御堂のことを心配する。


「ん……まぁなんとか歩けるな」


 御堂は歩ける事を伝えて、一息を吐いた。

 柄池は移動速度を落として、愛川の近くによる。


「愛川さん、大丈夫? もう少し頑張ってね。無理だったら休み入れるから」


「あ、うん歩けるし、不味い時は言うから」


 愛川の方を向いて柄池は心配の言葉をかけると、愛川は歩けることを伝えた。

 それから8人は歩いて行くと、建物が視界に入ってくる。


「着いたぞ、ここだ」


「おお、ここね。俺は正直、疲れが出始めたとこだし、ちょうどいいぜ」


 龍富は止まって着いたことを告げて、古賀松も疲れについて言葉にしていた。

 はっきりとした距離は分からないが、古賀松も疲れが出始めているくらいには歩いたことだろう。

 愛川もこれ以上歩けば、歩けなくなったかもしれない。


「ここが退魔師支部……表は公共施設だがな。任務の受付なんかの退魔師の諸用もここでやるな」


「ここでね……そんなに派手なものではないんだな」


 龍富はみんなの前でこの場所についても話し始める。

 大空は場所の見た目についても言葉にした。

 周りにはほとんど建物がなく、見た目はどこにでもあるような建物でもあるので、派手なものを期待していればその意見には同調できる気もした。


「少しぐらいは休む時間は欲しいな、大丈夫だよな?」


「予定では休みの時間はあるから、心配するな」


 古賀松は休憩の有無について確認を取ると、龍富は心配ないと話す。


「ってことだしみんなももう少し歩いてね、そしたら休みだから」


 柄池はみんなに休みについて改めて話して、8人は屋内への移動を再開した。

 すると入り口で二人の見張りの男性が待ち構えていた。


「申し訳ありませんが、証明書の確認を」


「ああ」


 見張りの一人が入り口の前に出て言葉で確認を求めると、龍富は肯定の言葉とともに証明書と思われるものを出す。

 その証明書は学生証やカードとほぼ同じサイズであった。


「龍富王駕さん……雷剣さんの息子さんと確認しました。他の方含めて8人で来たと言うことで間違いありませんね?」


「そうだ、間違いない」


 見張りは身元の確認と共に人数についても確認をした。

 龍富は人数についても肯定をし、愛川は雷剣と言う人が父親の名なのかとも感じる。


「では、お通り下さい」


 見張りは言葉と共に頭を下げることで通行の許可を出した。

 許しを得た8人は支部の施設に入ることになる。


「もう少し歩いたら、待合室があるからそこで休もう」


 少し歩いてから龍富は休憩場所について話す。

 そこから歩くと、待合室という立て札がある部屋に辿り着き、龍富がドアを開けて入ってから、他の皆も続けて入る。


「歩いたー」


「お疲れー」


 愛川がたくさん歩いたことを無意識に口から出してしまい、それに対して大越はお疲れとの労いの言葉をかける。

 御堂は一息つきながら肩を回していた。

 パソコンも持っていそうだったので、それが肩に負担であったのだろう。

 愛川と御堂、それと古賀松は部屋の畳の部分に座る。


「ここで待てばいいんだよな? リュート」


「そうだ、ここで待てば、後は」


「後は父さんが来るから、そこから話をするからね」


 柄池は龍富に確認を取り、龍富は肯定の言葉を出す。

 だが、龍富の言葉の途中で他の言葉が入った。

 龍富と柄池が後ろからの声に気付いて後ろを向くと、後ろには龍富、柄池よりも背の高い男性が立っていた。


「うわぁ!」


「ああ、驚かせちゃったかい? ごめん」


 龍富、柄池は驚きの声を出す。

 その声に男性は謝る。

 もしかしてとの予想が思い浮かび、愛川は予想を口にする。


「もしかして、この人が……」


「父さん……もういたんだ……」


 愛川の声の後に龍富は続く。

 愛川も予想していたのだが、やはりこの人が龍富の父親で間違い無いようだ。

 雷剣は片方だけ分離したメガネをつけて、長く黒い髪を髪の先端で纏めていた。


「そうだ、僕が龍富王駕の父、龍富雷剣(りゅうとみらいけん)だよ」


「女性陣は挨拶しとくと……うごっ」


 雷剣は自己紹介として名を名乗ると、柄池は女性陣に向けての言葉が龍富のどつきによって中断されることになる。


「長い距離を歩いたようだし、気を遣わずに休んでいていいからね。任務について細かいところは後で話すから」


 雷剣は労いの言葉をかけると大越と大空も畳の部分へと座る。

 八雲は愛川が見ない間にいつの間にか座っていて、本を読んでいたようだ。

 雷剣は言葉の後に八雲の方へ視線を移す。


「そう言えば、雷剣って名前ですけど、どういう漢字なんです?」


「ふふふ、そこを気にするとは……いい趣味を持っているね」


 愛川はふと気になった疑問を言葉にすると、その疑問を評価しつつ愛川へと視線を移す。


「僕の名前は雷一文字とつるぎの剣と書くんだ……なかなかにかっこいいだろう」


「あ……えっと、かっこいいんじゃないですかね」


「うえっ? ……俺もかっこいいしイカすと思います」


 誇らしげに雷剣は説明すると、御堂は評価の言葉を話して、御堂が視線を向けた先の古賀松も戸惑いながらも評価の言葉を出す。

 愛川は男子二人がそう言っているのだからカッコいいのだろうと判断した、正直よく分からないが。


「そうだろーやっぱりかっこいいと思うだろ? 王駕は分かってくれないけど、やっぱりかっこいいと思ってくれる人はちゃんといるんだよ」


「ま、まあ雷剣さんのお父さんもすごい人ですよね」


 雷剣は名前のかっこよさを言葉でも再確認して、柄池は雷剣の父親について話した。

 龍富に至っては雷剣から視線を外して誤魔化すような気不味い笑顔でいた。


「そう言えば、そのお父さんの名前ってなんですか?」


「僕の方の父さんかい? 鉄拳豪斎って名前だよ」


 再び浮かんだ愛川の質問に雷剣は答えた。

 その答えに戸惑いの空気が流れる。


「あ、あー……二つ名ってやつですよね? かっこいい名前じゃ」


「……その……それが本当の名前。龍富鉄拳豪斎りゅうとみてっけんごうさいが本当の名前なんだ」


 大空は二つ名かと聞き取ったようで確認を取るも、大空の言葉の途中で割って説明したのは、龍富であった。


「え゛?」


 その説明に大越と大空と御堂は仰天の言葉を出す。

 柄池は知っていたのか苦笑い、八雲は興味が無いのか座って読書、そして古賀松は視線を外し、口を片手で塞いで震えていた。


(私、まずいこと聞いちゃった……?)


 愛川は空気の代わり具合に心の中で戸惑いの言葉は生まれる。

 愛川自身も二つの質問でここまで変わると予想はできなかった。


「すごくかっこいい名前だろ? あと、お祖父さんの前では名前を笑うことはしないほうがいいからね。拳骨が飛んで来るから」


「そういうことだからね、みんな……」


 雷剣は自らの父親のことを話して、柄池は雷剣の言葉を借りて皆に伝える。

 すると、もう一度八雲の方へと視線を向けてから口を開く。


「今回は様子見に来ただけだからね、お邪魔もしたかもだし、後でまたね」


 その後に雷剣が周りを見渡し、この場を離れると伝えて部屋から出て行った。

 古賀松も落ち着いたようで呼吸を整えているようだ。

 笑いのツボに何かがはまってしまったのか。


「……もしかして、退魔師ってこんなセンスばっかりか?」


「……そうなんだよな。否定できない」


 御堂は退魔師について聞くと、龍富は肩も落としながら視線を下げて答える。

 よく分からないが、愛川には退魔師にはかっこいいセンスがあるのだと会話を解釈していた。

 それから8人は休憩で会話などをして時間を過ごしていった。

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