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人魚捜索 19

今回、龍富視点

 その後、もっちは依頼した人魚達の元へ龍富達同伴で送られて、以降問題なく別れることになる。

 狼男達も龍富が別の退魔師に連絡を取って連行されて行き、問題の根も取り払われた。

 そして時間は夜になったばかりの時間。

 今現在、龍富達は宿に着いたところであった。

 龍富達は宿の待合所にいる。


「ところで、大丈夫だって言ってたけど、本当に大丈夫だったのか、ガット?」


 龍富は柄池の脇の傷を見ながら聞く。

 あれからもっちを送る前に傷の手当てを簡単にしたのだが、これでも柄池は八人の中で一番傷が酷いのだ。

 他の被害が軽いのもあったが、龍富としては不安も出てくる。


「大丈夫、良くなっているから心配しない」


 柄池は包帯を巻いて覆った傷を2回ほど叩いて、問題ない事を行動と言葉で示す。


「それならいいけど……」


 龍富は腑に落ちないところもあったが、一応の形で納得の言葉を出す。

 これでもさっきまで運転もして来たことから、龍富は不安もあったのだ。


「おーい、部屋入る前にちょっと話いいか?」


「どうかした?」


 古賀松は手招きしつつ、話の提案をした。

 柄池は言葉と共に龍富と招かれるままに古賀松のところへ行く。


「あの錠あっただろ? あれってさ、俺たちでも使えればって思うんだけど?」


「あの錠、退魔錠のことか……」


 古賀松は人差し指を真上に出してその指を回しながら錠についての提案をする。

 龍富は言葉を出して、会話を聞く姿勢を作る。

 ちなみに今回の使った錠は退魔錠という正式名称があるが、殆どの退魔師は錠という名で通している。


「あれが俺達でも使えると、戦闘での有効打は増えるしさ、不意を突いて錠をかけるとか……」


「そうだね、確かにその通りだけど……」


 御堂は提案の補足を古賀松に続く形で行い、柄池は部分的な同意は言葉で伝えた。

 伝えた後に少しの間、柄池は目を閉じる。

 龍富は反応と話の内容から、この意見について柄池は自分と同じ意見だと察した。


「やっぱり、それは賛同できないし、皆に持たせることは出来ない」


 柄池は目を開けて、賛同できないと言葉で伝える。

 この提案について、龍富は柄池と同じ意見であった。


「錠だって持たせれば、王駕くんは動きやすくなるだろ。悪いことじゃないはずだが?」


「確かに。それも言えてるし、皆に持たせれば今回の任務ももっとスムーズに行ったと思う。それでもあの錠はリュートのみに持たせたほうがいいと思っている」


 古賀松は錠を持たせる有効性について言葉にするも、柄池は一部同意しつつ却下の意思を言葉で伝える。


(同意はできるまともな提案だって分かるけど、それでも俺も賛同はできないな)


 龍富としても御堂の意見、癪なところもあるが、古賀松の意見も戦闘で有効になるという点で、心の中で同意しつつも提案の拒否していた。


「聞きたいね、どういう理由か? 相応の理由があるのだろ?」


「ああ。悪用されるって心配があるんだ。盗まれて悪いことに使われるってこともあってね。みんなにとって貴重な力でもあるのは分かる。でも、化者の力を無力化するってことは俺たちの敵としても貴重な力とも言えるんだ」


 大空は理由を望むと言葉で表し、その理由を柄池は説明した。


「あーそういうことか、じゃあ無理か」


「そうよね、私もこんな結果になるだろうと思っていたわ。その方がいいと思うわよ」


 大空が納得の言葉を出すと、八雲は却下する方がいいと話した。

 もしかすると、車の中であの四人は錠についての話をしていたかもしれない。

 帰りの車に乗った人も行きと同じ組み合わせであったので、可能性としてはあり得ると龍富は感じていた。


「俺もガットと同意見だな。加えて提案した人間も悪いことに使うんじゃ、と思うと却下するしかない」


「あー酷いなー王駕くん、信用されてないってーのは。じゃあ俺じゃなくて、サブローに提案してもらえればあるいは……」


 龍富は柄池と同意見だと話して、古賀松に視線を送るとともに提案を信用できないと付け加える。

 古賀松は言葉で残念がるとともに、別の方法の可能性について言葉にしていた。


「ははは、悪いけど、誰が提案したとしても俺は却下だね」


「ちぇー、そう理由があるんじゃ俺も納得だしな、却下で良いぜ」


 柄池は軽く笑いながら、別の方法でも可能性はないと話し、古賀松は却下を受け入れたと言葉に出す。


「まあ、俺も却下で良いよ」


「あと、愛川さんと大越さんは何か意見ある? 遠慮なく言っていいよ」


 御堂も却下を飲むと話して、柄池は愛川と大越に話を振った。


「私も却下で良いわよ」


「私も」


 大越も同意見と伝え、愛川も続けて同じと伝えた。


「じゃあ、マッツの提案は却下と言うことで。あと、こういう提案は遠慮なく話していいからね。話しにくいことなら俺だけに通すってこともいいから」


 柄池は周りを見渡して、確認として再度却下を伝えた。

 付け加える形で、提案も遠慮なくやって良いと柄池の言葉で話した。


「じゃあ部屋割りだけど、申し訳ないけれど今回も二人部屋しか取れなくてね、あみだくじで部屋割りを決めるよ」


「またなのか……」


 柄池は部屋割りについて話し、前回と同じく二人部屋だとも伝えた。

 龍富は呆れる意思を声で出す。

 ただ、状況はやむを得ないため、この言葉だけで否定の意を伝えることはやめにした。

 柄池は自分の荷物から探し始める。


「ん? ありゃりゃ? あみだの紙どこいったっけ……」


「ないのか? ならちょっと良いか?」


 柄池は荷物の中から探しても、見つからないと言葉にすると、御堂は柄池に近づいて話を持ちかける。


「俺がパソコンで作ってみるよ、自動で部屋割り決められるプログラムを」


「出来るの? じゃあ……悪いけど、お願い出来る?」


 パソコンを出しながら御堂は提案を持ちかけて、柄池はそれを言葉で受け入れた。


「ああ、五分か十分ぐらいあれば今からでも作れるぞ」


「ありがとう、今から作れるんだな。それじゃ俺は荷物を探しているから、お願いするよ」


 御堂は話を聞くとすぐにパソコンの電源を入れて、完成する時間も話した。

 礼を述べつつ柄池は荷物の中を探す。

 龍富としても短時間で出来るのはありがたかったので、意義はなかった。


 それからは龍富は柄池の元で何か手伝えることはないかと離れたところで見守り、愛川と大越、古賀松と大空はそれぞれ話し合い、八雲は御堂の近くで本を読んで時間を過ごした。

 御堂がパソコンのキーボードを叩き始めてから、いった通り五分で御堂は口を開く。


「出来たぞ、柄池。今回部屋は二人用だってことから、二人部屋専用のプログラムだ」


「おーすごーい!五分で出来た!」


 御堂は完成の報告を済ませて、愛川も驚きの声を出す。

 声には出さないも、龍富も驚きであった。


「部屋割りに細工はしてないけど、エンターキーで動作するから、気になる人は一応動きを確かめてみて」


「じゃあ、試しに俺がやってみてもいいか?」


 御堂は動作確認を言葉で頼み、龍富がそれを名乗り出た。

 御堂はパソコンから下がり、龍富は近づいてパソコンのエンターキーを押す。

 すると、パソコンは二人一組の組をそれぞれ名前の異なる4つ分を表示した。

 龍富はもう一度押してみると、先ほどの結果とは違うものが出る。


「ああ、これなら大丈夫だろ。細工もなさそうだし」


「それじゃあ、柄池が決めてくれ」


 龍富は細工がないことを確認したと周りに伝えると、御堂は言葉で柄池の決定権を託した。

 それに応じる柄池は悔しさがにじむ顔でパソコンに向かっていく。

 結局、柄池のあみだくじは見つからなかった。


「あー、分かった。エンターキーを押すだけで良いんだな」


 柄池は了解を伝えて、部屋割りの選択をパソコンで決定した。

 これで、それぞれの部屋割りは決まったことになった。

 その後は八雲も動作確認をやっていて、パソコンのエンターキーを何十回も押していた所を龍富は見ていた。

 この結果、御堂と八雲が夕食が遅くなったことにもなる。

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